20
ズンドコ、ズンドコ話は続く。
「「姉様~~~www」」
「………」
双子は最愛の姉に引っ付いて離れない。
その周りにはハートが乱舞していた。
当の姉はといえば、どうやら先程の衝撃で目を回してしまったようだ。彼女の様子に逸早く気がついたウォルヘルムは、慌てて双子を彼女からべりべりと引き剥がすと抱き上げて頬を叩いて呼びかけたが、どうも強く打ってしまったのか彼女は目覚めなかった。そんな様子に、双子は近くで騒ぎ出す始末。しかしウォルヘルムの一括で大人しくなると直ぐにウォルヘルムの指示に従って、庭園の外で待機していた侍女を呼びつけ一番近くにあった応接間に横にさせられる準備をするように伝えてからウォルヘルムの元へと戻ってきた。
「伝えてきたよ!」
「ウォルヘルム、姉様は大丈夫だよね!?」
「…ああ、軽い脳震盪でも起こしたのだろうな。ゆっくりとしていれば治るさ。」
心配そうに覗き込んできた双子に、先程までの元気は微塵もなくしょぼくれている。
ウォルヘルム自身もまた、全く起きる気配のない彼女にひんやりとしたが、そこまで心配するよな症状は出ていないので今は冷静に判断出来ていた。
「そんなに心配する事ではない。」
「…なら、いいけど。」
「ウォルヘルム、準備が出来たって!」
「ああ、わかった。」
ウォルヘルムは、くたりとしたレベティアナの背と膝の裏に手を回して軽々と抱き上げると、すぐ傍に控えていた侍女にティーセットの片付けを任せて、庭園を後にした。
*
「「姉様、ごめんなさい!!」」
「エリック、マーク、顔を上げて。…私は平気。」
勢いよく下げられた頭に、そっと暖かい手が置かれてすごすごと双子は顔をあげた。
「でも、姉様……」
「…エリック」
姉の顔を見た途端に、双子の兄エルリクスは顔を泣きそうに歪ませる。それを見たベティは、苦笑して彼を抱き寄せた。
「そんな顔しないで、本当に大丈夫なのだから。」
「でも、ここ、たんこぶが出来てるぞ…」
「ちょっと!レイ兄様は黙ってて下さい!」
「でも、たんこぶ…。」
「レ・イ・に・い・さ・ま??」
話が進みません。と、にこりと満開の笑顔で優しく一括されたのは、次男グレイシス。
彼は、執務の途中で事態を聞きつけて来たのだろう。忙しい筈なのだが、レベティアナが起きて間もなく、この部屋に訪ねてきていた。
「姉様……ごめんなさい。」
「マーク、貴方まで…。ううん。さっきは、受け止められなかった私が悪いのよ。ごめんなさいね。」
こちらも、苦渋の面持ちでどんよりとテンションが明らかに底辺をいっている双子の弟マグリクス。近づいていた彼の頭をエリック同様に引き寄せて抱きしめる。すると、マークは抱きしめ返してきた。
一方、兄二人は先程の妹の発言に心中で『いやいや、受け止められないから、ムリだから。』と盛大にツッコミを入れていた。
ちなみにこの双子、申し訳なさそうにレベティアナに誤っていたが、彼女だけが知らない事がある。
それは、彼らは彼女の前でだけ猫をかぶっているということ。それも特大の、国を揺るがすレベルの大どら猫。
今は彼女の抱擁のおかげ(?)でその顔を見ることができないが、多分いや確実ににんまりとほくそ笑んでいるであろうと、傍観している兄二人は推察していた。
盲目的に愛してやまないこの行き過ぎるシスコンぶり。それは、小悪魔を通り越して既に悪魔の域に足を突っ込んでしまっていた。
そんな本性を知っている他兄弟は、彼女の行く末を少々心配している今日この頃であった…。
20:了
双子ちゃん、だいぶ動かしてあげました。
一気に兄弟がワサッと出てきましたね!
あと、一人。。。




