2話 若き王の矜持
「我が国と同盟を結びたまえ。アレン・ジョセフ・ド・ペルジェ新国王。」
ペルジェ王宮大広間。各地から集められた調度品や金銀財宝が飾られており、テーブルは大理石。毎日磨きあげられているそれは、覗けば顔が映るほど光っている。
「互いに理のある公平な条件だと思われますが。」
そんな神聖な場で足を組み、ピンッと指先で書類を弾くのは、エリオール連合国宰相、グラヴィル。
「先のサバナ共和国独立戦争では、お世話になりました。もっとも、我が国は負けて立場が危ういですが。」
「よくお分かりで。新国王なら分かるでしょう、ここでどうするのが国のためか。」
グラヴィルは同盟という言葉を使っているが、実質ペルジェ王国が属国になるような不利なものである。
「我が国の体制が不安定な時に、そっくりそのままいただこうというわけか。」
「なんとでも言いたまえ、新国王。財政は火の車と聞いたぞ。同盟を結べば国民が植えることは無い。利口になりたまえ。」
「ふっ……。」
アレンは汚いものを触るように、指先で書類を摘む。
ひらっと投げると、書類はろうそくの火で燃えてしまった。
「なっ!自分が何をしているのか分かっているのか!」
「もちろんですよ、宰相。我が国はそちらに下る気はない。」
宰相の顔は険しくなる。
「飢えるのは兵ではない。貴様の民だ。」
「お望みならお好きにどうぞ。そちらにも議会があるだろう。戦争と言うなら、議会の承認を得なければいけない。すぐに動けるとは思えないが?」
「この若造が!あまりナメるな!エリオール連合を!」
アレンは姿勢ひとつ崩さず、目線を合わせて静かに語る。
「このアレン・ジョセフ・ド・ペルジェ。どう思われようと、この国の王は私だ。私の代でペルジェ王国の歴史に幕を下ろす訳にはいかない。どう言われても飲むわけにはいかないな。」
「〜〜〜〜!後悔するぞ!」
宰相は怒って広間から一人で出ていく。
「直ちに国王軍の配備!」
「はっ!」
「密偵を回せ。奴らの隙は一つ残らず潰せ。ペルジェ王国も国民の命も渡さん!」
側近が広間から出ていくと、アレンはふう、と一息つく。
「あの女にも声をかけておくか。あまり使いたくはなかったが。」




