表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/5

3話 交わらぬ愛情

「では、エリオール連合国(※1)は我がぺルジェ王国の属国化を目論んでいて……。」


「手始めにアルベール家(※2)と有力貴族を結びつけようと……。」


モクレンの蕾が固く閉じる小ヴェルリナ宮(※3)。アレンはサブリナを呼び出し、それぞれが集めた情報を交換していた。


「フローラは思慮深い方ではないし、印象操作さえすれば発言権を持たせられる。侯爵家という立場も利用しやすい。」


「敵からすれば扱いやすいと言うことですわね。」


ざあっと二人の間に風が吹く。寒さに眠る草木の前では、二人の間を取り持つものは何も無い。


「私はフローラの方を何とかしますわ。陛下は上層部の方を……。」


「頼む。あれでも一度は愛した女だ。」


サブリナは何も言わずに立ち去ろうとした。


「待て。」


「なんですの?」


アレンは前のめりになりながら、立ち上がる。


「……随分、落ち着いているな。」


「どういう意味ですの?」


アレンはしばし口ごもる。


「少しくらい嫉妬するかと思った。」


サブリナは腕をぎゅっと握る。


「私をそんな可愛げのある女だと思って?」


「いや、そうだ。そうだったな。」


振り返ることなく、サブリナは離宮を去る。


「(私たち、もう終わったでしょう─────?)」


置いてきたはずの後悔が、サブリナの身を裂く。



──────────。



「証拠は揃いまして?」


「はっ、陛下の密偵が目撃した宰相グラヴィルとフランシスの会合。内容もフランシスが内側から入り込み、上からグラヴィルが叩くものと。」


「やはり。」


「ただ……やはり難しいのはフローラ嬢との婚約です。何せフローラ嬢を利用しようとしている、という証拠がない。」


サブリナはふう、と息をつく。


「きな臭いところがあっても、フローラは証言するはずがありませんし……。」


「では、やはり……。」


「私が引き出しますわ。」


「そんな、危険です!」


サブリナは言い終わる前に、ハンスの胸に飛び込んだ。


「……ハンス、あなたは私だけですわね?」


「き、急に何を?」


「私以外愛しませんわね!?」


「……もちろんです。」


「私が老いて美しくなくなっても!?」


ハンスは唇をサブリナのそれに置く。2人の影はしばし重なり合っていた。


「誓います。このハンス・グザヴィエ・ド・ギーシュ。今までもこれからも、私の女性はあなただけだと。」


「……信じてますからね。」


ハンスはサブリナを強く抱き寄せた。

冬の淡い光に、二人の影だけが長く揺れていた。




※1……ぺルジェ王国の敵対国

※2……フローラの家系。侯爵家。

※3……王宮の離宮


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ