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1話 花の女神に絡む蜘蛛

「フローラ!離れなさーい!」


「いーやー!」


ポリニャック邸、大広間の昼下がり。

フローラは見知らぬ紳士と寄り添い、腕を組みながらうっとりとサブリナの元に現れた。


「あなた騙されてるわよ!別れなさい!」


「違うもん!バロワ様はフローラの王子様だもん!」


何やらサブリナは男からフローラを引き剥がそうとしているが、フローラは離れる様子がない。


事の発端は数十分前。


「ご機嫌麗しゅう。サブリナ様。こちら私の新しい婚約者、フランシス・ジョン・ド・バロワ様ですわ。」


スラリとした手足、顔は面長で、つり上がった目元はニコニコしており圧はあまり感じない。肌も整っていて美しい。が……。


「(胡散臭い……。)」


あれだけ恥をさらしておいてよく顔を出せたものだとサブリナは思ったが、フローラは自慢しに来たのだと思った。何故なら……。


「驚きました?無理もありませんね!

バロワ家と言ったらあのバロワ家ですもの!大国エリオール連合国の公爵にして、王族に名を連ねるもの!

ポリニャック家より、ド・ギーシュ家より名門貴族よ!」


この通りである。自分やハンスの家柄を貶されても、サブリナは受け流した。フローラだからだ。

それどころではないのだ。この国内情勢が不安定な今、海外の名門貴族と国際結婚?フローラはそこまで身分は高くない。一応血筋や歴史なら公爵家とも引けを取らないが。だからこそ……。


「利用されてるんじゃありませんこと?」


そして今に至る。


「何をおっしゃいます?ポリニャック嬢。私はフローラ嬢を心から愛しています。一目見た時感じました。この人は私の運命だと。」


「バロワ様……。」


「人の家でイチャイチャしないでもらえます!?」


茶番に付き合ってられない、とサブリナは切り込む。


「フローラ、あなたは本当にその方を愛してますの?」


「もちろん!自慢の婚約者です。」


ふふん、と胸を張るフローラに対して、サブリナは、では……と続ける。


「どうして『バロワ』様なんて堅苦しく呼ぶの?」


「え?」


きょとん、と目を丸くするフローラ。


「あなた、アレンの時はジョセフ様と呼んでましたよね?恋人ならお名前でお呼びしたら?」


「そ、それは、まだ出会ったばかりだから……。」


「でははっきり申し上げます。」


あなたは、と一息置く。


「フランシス様ではなく『バロワ』の名を愛しているのですわ!」


「なっ!?」


フローラはふるふると震えた。


「フローラ、私があなたの策略を翻してから、塞ぎ込んでたと聞きました。悪いとは思ってませんが、いい加減自分の足でお立ちなさい。

でないとあなた、今度こそボロボロに……。」


「うるさい!」


フローラの一喝が屋敷に響く。


「アレン様との婚約をめちゃくちゃにしておいて!私はずっとアレン様を愛してた!なのにあなたという婚約者がいたから……だから排除しようとしたのよ!」


「あなた、まだアレンのこと……。」


「アレン様のこと呼び捨てにしないで!行きましょう、バロワ様。」


「はい。」


サブリナ様、とフランシスは続ける。


「私はフローラ様を愛しています。たとえフローラ様の中に誰がいても、ね。」


にやりと腰を抱くフランシス。そのまま2人はサブリナの前から消えた。


「放っておかれればいいでしょう。アルベール嬢は貴方を殺そうとしたのをお忘れですか?」


影から話を聞いていたハンスが姿を現す。


「しかし、知ってしまった以上無視するのも……。あのフランシスとかいう男も胡散臭いですし……。」


「全く、お優しい人だ。」


「ハンス、私兵に命じてあのフランシス・ジョン・ド・バロワのことを徹底的に調べなさい。」


「はっ。」


ハンスは扉の奥に姿を消す。


「手遅れにならなければいいけど。」


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