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兎と猫  作者: 藤原 智
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五話 命名 職業

「ひいいいいいいっ!!」

「あははははっ!」


 地を這うようにして逃げる私の姿を見て、三人は楽しそうに笑っていた。


 直哉。

 リンク。

 華菜。


 三人は、最初の部屋でいろいろ教えてくれた人たち。


 名前の付け方。

 職業の選び方。


 最初は怖かったけれど、話してみればみんな親切だった。


 本当は“うさぎ”という名前にしたかった。

 でも、同じ名前の人がすでにいるらしく、使えなかった。

 だから私は、少し悩んだ末にこう名乗ることにした。


 詩兎・ウタウサギ。


 名前を決めた瞬間、みんなと同じように、自分の頭の上にその名前がふわりと浮かび上がった。


 次に職業を選んだ。

 職業はいくつもあったけれど、私が選んだのは、


 シーフ。


 いわゆる盗賊職だ。

 選んだ理由は単純だった。

 一番素早そうだったから。

 危なくなったら、すぐ逃げられそう。

 ただ、それだけの理由だった。


 シーフを選んだ瞬間、服装が一瞬で変わった。

 気がつけば靴まで履いている。

 半袖。しかもへそが出ている。

 ショートパンツで足もほとんど丸出しだ。

 防御って何だろう、と思った。


 さらに、左右の腰にはナイフ用のホルダーが付き、いつの間にか短いナイフまで収まっていた。

 いつの間に……?と戸惑ったけれど、三人は「そういうもんだよ」と当たり前みたいに言った。


 それから三人に「せっかくだし、クエストやってみれば?」と誘われーー

 結果が、この状況だった。


 後ろを振り返る。

 そこには、でかい蜘蛛みたいな虫が、がさがさと足を鳴らしながら私を追いかけてきていた。

 気持ち悪すぎる。

 腰が抜けて、もうまともに逃げることすらできない。

 その情けない姿を見て、三人はまた笑っていた。 


「た、助けてぇ……」


 そのとき、華菜の声が飛ぶ。


「ウィンドカッター」


 次の瞬間、透明な何かが虫へ向かって一直線に走った。

 一瞬だった。

 蜘蛛みたいな虫は、何が起きたのかもわからないまま、細かく切り刻まれて地面に散った。 


「ざまぁみやがれ」


 リンクが、やたら誇らしげな顔で中指を立てる。


「いや、やったの私だからね?」

「いいじゃねえか。俺らチームだろ」

「ていうかダサっ。“ざまぁみやがれ”って何?」

「あぁ!? 俺の決め台詞だぞ! バカにすんなよ!」

「まあ、ダサいよな」

「お、直哉くん、気が合いますねぇ〜」


 直哉と華菜が、ぱんっと軽くハイタッチする。


「これだから知能の低い者は・・・」


 リンクはふてくされたように唇を尖らせた。

 そのやり取りがなんだか可笑しくて、私は思わず吹き出してしまう。


「うさぎさんも笑ってるじゃん」

「ちっ、うさぎさんもそっち側かよ」


 その時に、直哉さんから提案があった。


「うさぎさん、俺らのクランに入らない?」

「いいじゃん!それ!」

「お!そうだな。可愛い子は、大歓迎だ」

「く、くらん?」

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