第四十九話 蘇りし者達
蘇生の儀式。
それは、高位の僧侶系魔法を習得した者だけが行なえる、神秘の魔術である。
その一つ、第七レベルの【通常蘇生】の儀式が、今、古い寺院の地下で執り行われていた。
苔生した石造りの儀式室の中央に、石の祭壇が築かれ、その上に安置された忍び服の少年の遺体の前で、年老いたかつての高僧ホスリードが、呪文を詠唱している。
手指が複雑な印を描き、抑揚の無い低い声が地下室全体に響き渡っていた。
それを見守るのは、ライガとエリーエル、アンナ、それに老僧の孫娘シーナであった。
呪文は祈りと成って神の御許に届き、その与えられし力は、周囲の魔素を活性化させ、収束させ、形と成す。
無風の地下室で僅かに超常的な風が巻き起こり、天井に浮かべられた光源の光球を揺らした。
『失われし、命の源よ、再びこの肉体に戻り、復活せよ』
ホスリードから、最後の祈りの言葉が発せられる。
魔法は完成し、少年の遺体を仄かに白い魔法光が包み込み、次の瞬間、それが弾ける。
それを周囲の者達が、固唾を飲んで見守っていた。
そして、セディルの遺体に変化が起こる。
「おおっと?」
その変化に、ホスリードが困った声を出す。
セディルの肉体から、蒸気が迸るかのように白い靄が抜けて行き、その身がどんどんと萎びて行く。
瞬く間に、彼の遺体からは全ての水分が失われ、その身体は干からびた『ミイラ』と化してしまったのだ。
「「「……………………」」」
見守る者達の間に、暫し沈黙の時が流れた。
「し、失敗ですわっ!?」
そう叫んだのは、エリーエルだった。
彼女も鬼ではない。
自分を護って死んだセディルの蘇生成功は、心から祈っていたのだ。
しかし、蘇生に失敗は付きもの。
対象と術者のレベルや能力値、スキル、それに触媒に使用される魔術素材などによって、成功率は上下するが、確実に成功する魔法とは言えないのだった。
「ど、どうするんですか……?」
アンナも動揺し、オロオロと身を捩っている。
知識も無く、蘇生に立ち会うのも初めてな彼女は、この事態にどうして良いか判らないでいた。
「……もう一度、魔法を行使して頂けますか、ホスリード老師。今度は、【完全蘇生】をお願いします」
蘇生の儀式には、二度目がある。
状態のかなり悪い死体からでも、肉体を再生させて完全復活させる僧侶系の最高位魔法だ。
ライガは、その魔法の行使をホスリード僧侶に求めた。
「お祖父さん、判りますか? 今度は【完全蘇生】の魔法を使うんですよ」
「ふむふむ、【完全蘇生】が必要かな? おお、そうじゃ、こうであったわ!」
シーナに促されると、老僧はその魔法の事を思い出した様子で、再び呪文の詠唱を行ない始める。
「今度こそ、成功しなければ、平民は……」
「セディル君……」
エリーエルとアンナが、不安な表情ながらも、老僧と共に祈り始める。
祈りには力があり、それは時に神々の下にも届くのだ。
朗々たる呪文の詠唱。
天使の少女の真摯な祈り。
皆が、彼の復活を念じる。
そして、老僧の最後の呪文の囁きが完成した時、再び白い魔法光が、ミイラ化したセディルの遺体を包み込む。
奇跡は起きた。
光の中にある死者の身体に、見る間に水気が戻って行く。
下忍の刃に貫かれた傷が綺麗に塞がり、失われた血液が再生した。
【完全蘇生】の効果によって、その肉体は完全な状態に復元され、0点に成っていたHPも最大値まで回復する。
同時に、彼の魂に蓄積された魔素が、その肉体を強化して行く。
一定値まで魂に蓄えられた魔素は、それを納めた肉体に影響を与える。
骨や筋肉、腱や内臓、血管や皮膚が、より強靭なものへと変わる。
身体能力は強化され、能力値が1点上昇し、HPとMPの最大値が向上した。
それが即ち『レベルアップ』。
セディルは蘇生と同時に、『レベル2』の忍者に成ったのだ。
「んはっ……!!」
死んでいたセディルの身体が身動ぎ、呼吸が再開した口から息が吐かれる。
閉ざされた目が自ら開き、彼の漆黒の瞳が、包帯を巻かれた自分の顔を覗き込む複数の人達の姿を確認した。
「師匠、アンナさん、それにお嬢様……」
セディルは声を出す。
そして、自分があの下忍マスターとの戦いで、一度死んだ事を思い出した。
死亡した彼を、ライガ達が何とか生き返らせてくれたのだ。
「良かった、セディル君……。本当に良かったわっ……」
喜びに嗚咽するアンナ。
彼女は口元に両手を当てて、涙を流している。
「はい、アンナさん、戻って来ました。僕の冒険は、まだまだこれからのようです」
自分の為に泣いてくれるアンナを見て、セディルは嬉しそうに頬を緩め、手を突いて祭壇の上に上半身を起こした。
「お嬢様を護る仕事は果たして死んだのだから、まあ良しとして置くか」
ライガはいつもと変わらぬ彫像のような立ち姿で、セディルにそう言った。
彼は死んだが、仕事だけは果たしたのだ。
「ありがとうございます、師匠!」
「礼なら、蘇生の儀式を成功させてくれた、ホスリード老師に言え。それと、蘇生して貰う為に支払った寄付金は、働いて俺に返せ」
「………………」
当たり前の話だが、仲間以外の他人に魔法を掛けて貰うのは、無料ではない。
特に寺院では、特定の無償奉仕以外で人に魔法を掛ける際には、必ず『寄付』という名の料金を徴収するのだ。
セディルは、生き返った途端に借金持ちに成ってしまい、少しげんなりしたのである。
「平民……」
そして今は男の子に変装し、憔悴し切った様子のエリーエルが、セディルに近付いた。
「ご無事でしたか、お嬢様。あいつだけは何とか倒したけど、ちゃんと師匠と合流出来たんですね」
エリーエルは無事だった。
セディルが下忍マスターを倒し、彼女が連れ去られるのを阻止したからだ。
「ええ、見ていましたわ。お前が戦うところは……」
そう低い声でセディルに答えるエリーエルの目は、何故か据わっていた。
さっきまでの、彼の復活を神に祈る健気な天使の姿は消え去り、冷めた蒼い目と表情が、鋭い氷のように少年を突き刺していた。
「えーと、僕、何かしましたっけ?」
「お前、ライガと一緒に、わたくしに嘘を吐いていましたわね?」
いつの間にか、ライガの呼び名が『管理人』から本名に変わっている。
あの後、エリーエルの心境にどのような変化が起こったのかは、死んでいたセディルには判らないのだが、取り敢えず『嘘』の内容には彼も心当たりが合った。
つまり、ライガとセディルの戦いを間近で目にした彼女は知ってしまったのだ。
二人が、伝説の忍者である事を。
「嘘って、職の事ですか? まあ、それも方便ですよ。話したとしても、今の時代、誰も信じてくれないだろうし……」
そう言ってから、セディルは自分の身体の違和感に気付いた。
今までよりも、身体が少し軽く動くような気がするのだ。
「師匠、僕の荷物の中に、『ステータスカード』がありましたよね?」
「ああ、お前の荷物は、全て回収して来た」
ライガは自分の収納鞄から、セディルのカードを取り出し、彼に渡した。
セディルは受け取ったカードで、自分の【ステータス】を確認する。
レベル:2
名前 :セディル・レイド
HP :46/46 MP :44/44 状態 :正常
職業 :忍者 年齢 :12 性別 :男 種族 :半人間 属性 :混沌
筋力 :33 敏捷 :39 魔力 :37
生命 :33 精神 :33 幸運 :44
スキル
【絶対天与】【能力強化】【忍装備可】【秘伝忍術】【盗賊能力】
【回避能力】【攻撃強化】【奇襲攻撃】【即死攻撃】【二刀流可】
【二回行動】【HP増強】【MP増強】
魔法
一般系レベル:10 忍者系レベル:1
特殊装備品
『収納鞄』
彼の【ステータス】の内容に、変化が起きていた。
レベルが1から2に成り、『HP』『MP』、能力値が上昇した。
そしてついに念願だった『忍者系忍法』も、第一レベル忍法が使用可能に成っている。
「よーし、やったっ! ついに、レベルアップしたっ! 今日から、僕はレベル2だっ!!」
初のレベルアップの感激に、生き返ったばかりのセディルは、思わず拳を握りしめてガッツポーズを取る。
地下通路で『大鼠』と『ワイト』を倒し、単独で『下忍マスター』をも倒した事で、十分な『経験値』という『魔素』が貯まったのだろう。
最上位職である忍者にしては、割と早い成長をしたと言える。
「ほうほう、良かったですのう、少年」
「はい、あなたが僕を生き返らせてくれた人ですね。ありがとうございます、えーと、ホスリード……老師?」
自分を生き返らせてくれた老人、おそらくは僧侶に、セディルは礼を言う。
肉体の傷が完全に癒えて体力も全回復している事から察して、老僧はセディルに【完全蘇生】の魔法を使ったのだろう。
という事は、彼はレベル15以上の高位の僧侶という事になる。
(それにしては……、何だか雰囲気が、幼いと言うか、不安定と言うか……)
死からの復活だけでなく、何か途轍もない危機一髪を乗り越えたような、と喜ぶ老僧を見てふとそんな気分を味わい、背筋に汗を浮かべるセディルであった。
しかし、それでも彼は死から蘇った。
セディルにとっては二度目となる、死からの目覚め。
この世界に於ける冒険者としての通過儀礼を果たし、セディルはまた一歩、自分の目標に近付いたのであった。
そこは地下の儀式室。
禁忌の魔法や、人に知られたくない儀式を秘密裏に行う際、こうした場所はよく用いられる。
どことも知れぬ場所にある、そうした部屋の一つで、今呪文の詠唱が続いていた。
部屋の中央に置かれた青銅製の祭壇に、一人の男の死体が横たわっている。
頭部が、忍び装束を着た胴体から切断されており、それをくっ付けるようにして置かれている。
人間であれば、十歳前後の子供の体格。
眠るような死に顔を見ても、あどけない幼顔だ。
しかし男は、子供では無く、れっきとした成人だった。
それは、『小人族』の大きな特徴。
この種族は、大人でも人間の子供のような姿をしているのだ。
その死んだ小人族の男の前で、一人の男性が複雑な魔法印を指先で描きながら、独特な韻律の呪文を唱えている。
漆黒の法衣を纏った、細身で長身の男。
長い金髪に細く尖った長い耳、その繊細な目鼻立ちは、人間の中では滅多に見られないような美形の男子。
それは、『エルフ』と呼ばれる種族の特徴だった。
森の精霊が受肉して生まれたとも言われるエルフ族は、魔法に対する高い適正を持つ事で知られている。
彼らは『大森林』の中に王国を持ち、最大人口を持つ種族『人間』とも対等の存在として接していた。
多くのエルフは森で暮らしているが、中には変わり者のエルフもおり、人間社会に出て来て冒険者に職を求める者もいた。
人間よりも長い寿命や高い知性を持つ彼らは、時に人と衝突する事もあるが、概ね人間の良き友人と見做されている。
しかし、その黒衣のエルフは、通常のエルフとは少し違っている。
エルフの肌色は、深雪のように白い。
だが男の肌は、黒檀のように黒いのだ。
それはエルフの中でも、『ダークエルフ』と呼ばれる種の特徴だった。
普通のエルフは豊かな森に暮らすが、ダークエルフは住処を選ばない。その生活習慣や文化、信仰もエルフとは違う。
それは人間で言うところの人種の違い程度のもので、エルフとダークエルフは、表立って敵対関係にある訳ではない。
それ故ダークエルフの姿は、人の街でもよく目にする事があった。呪文詠唱を続けるダークエルフの男も、そうした者の一人なのであろう。
そして、彼の魔法は完成した。
『失われし命の源よ、滅びし肉体よ、今再び一つに成りて、再生、復活せよ』
呪文と祈りが一体となり、対象となった小人族の男の死体を、魔法光が包み込む。
その途端、男の切断されていた頭部が胴体と癒着した。
骨が繋がり、神経と血管が修復され、肉が盛り上がって皮膚が再生する。
「ぐっ、がはぁっ!!」
完全再生された身体を震わせた男は、カッと目を見開き、詰まっていた息を吐き出す。
死者は、生者となって甦ったのだ。
「成功しましたか、やはりあなたは運が良いですねえ、ロ・ビルド」
僧侶系最高位の魔法、【完全蘇生】の行使を終え、ダークエルフの男は懐から眼鏡を取り出すと、それを顔に掛けた。
エルフの幼少期から成人するまでの成長速度は、人間と変わらないが、二十歳くらいでその成長は一旦停止する。
そこから百歳くらいまでは、不老として生きる為、エルフの年齢を外観からは判別する事は難しい。
愉快そうに笑うダークエルフの男も、見た目は二十歳そこそこの美青年。
眼鏡を掛けた事で、男の知性的な一面が一層際立った。
「……ゲプローサス、俺を生き返らせたのは、お前か……」
小人族の下忍ロ・ビルドは、どんよりとした目で、蘇生の儀式を行ったダークエルフの男を見上げる。
「ええ、そうですよ。私しかいないでしょう? あなたは、首と胴体が別れ別れに成っていたんですよ。私が魔法を使わなければ、野犬の群れに食われた他の下忍達のように、本当に死んでしまうところでした。あなたが私と同じレベル15で、【幸運強化】のスキルを持つ小人族でなければ、ねぇ」
自らの能力に自信を持つ傲慢な者の言い様で、ゲプローサスと呼ばれたダークエルフは、同僚に状況を説明し始めた。
部下達とは死んだ場所が離れていた為に、ロ・ビルドの死体だけが無事に回収する事が出来た、と。
様々な幸運が重なり、条件が揃っていなければ彼の蘇生は難しかったのだ。
「……蘇生の礼は言って置く、『闇僧侶』ゲプローサス」
「どう致しまして」
ロ・ビルドも、その状況は理解した。
だから彼は、同僚の男に礼だけは言う事にした。
闇僧侶とは、普通の僧侶職に就く者よりも、戦いの技に長けている武闘派の僧の事だった。
僧侶系の派生職であり、基本職ではあるが、戦士と共に前衛を勤める事も可能な攻撃力を持っている職なのである。
「だが……、俺は任務に失敗した」
祭壇の上で身を起こし、ロ・ビルドは死ぬ前の記憶を脳裏に蘇らせ、屈辱に身を震わせる。
エリーエル捕獲の任に就いた彼は、十二人の配下を失い、自らも殺されるという結果によって、その仕事に失敗したのだ。
マスターレベルの矜持にヒビを入れる、完全なる敗北である。
「その事は気にする必要は無い、との父上の言質を貰っている。良く戻って来たよ、ロ・ビルド」
儀式室の奥から、一人の男の声がした。
薄暗い壁際から、魔法光で照らされる部屋の中央へと彼は歩み寄る。
それは長身の青年だった。
金髪の巻き毛に白い肌、名工が削り出した大理石の彫刻のように優美な顔立ちに、鍛えられた戦士の肉体を持つその男は、鞘に納まっていても尚、禍々しい邪気を放つ剣を佩いている。
「気にするなとは、どういう意味だ、レドバック? お前の父、ウォルドーズ伯爵は、そんな甘い男では無い筈だぞ」
現れた男。
その名、レドバック・ウォルドーズの言葉に、ロ・ビルドは確認を求めた。
「もう事情は、私達も承知しているんだよ」
ジーネボリス帝国の貴族、ガレッザ・ウォルドーズ伯爵を父に持つ男レドバックは、ロ・ビルドの疑念に柔らかい微笑で答えた。
「事情だと?」
ロ・ビルドは不審に思う。
自分は、今生き返ったばかり。
配下も全員死亡し、誰もあの場の状況を報告していないというのに、既にその事情を理解しているとは、どういう事なのか。
「戦ったんだってね、『伝説の忍者』と」
「ッ!! 何故、それをっ!?」
自分の死因は、首を刎ねられた事による即死ではあった。
しかし、そこから即座に失われた筈の伝説の職『忍者』に就く者が、この世にまだ存在した事にまで思考が進むとは思えない。
ロ・ビルドは、確認する為にレドバックを険しく睨む。
「父上は、知っていたんだよ。その忍者の事を」
「あなたが戦った相手は、世界最後の『忍者ハイマスター』なのだそうですよ」
レドバックとゲプローサスが、その事を、ロ・ビルドに説明する。
エリーエルを護る男の素性をウォルドーズ伯爵が知ったのは、ロ・ビルド達が彼女の捕獲に向かった後だった。
その男は、最後にして最強の忍者。
いくら人数を集めようとも、ただの下忍である、彼らの勝てる相手ではない。
「父上は、自分の不手際を認めたよ。だから、君へのお咎めも無しだ」
「勝てる訳がありませんねぇ、そんな相手。ただの下忍のあなたでは」
レドバックの言葉も、ゲプローサスの嘲りも、今のロ・ビルドにとっては、どうでも良い問題だった。
今の彼は、ただ一人の者の事を考えていたのだ。
「その忍者の男に関しては、伯爵閣下は、もう関わるなとの仰せですよ、ロ・ビルド」
そんな彼の考えを知ってか知らずか、ゲプローサスが、彼の思念に釘を刺す。
「エリーエルの事も、父上は、当面放って置くと決めたよ。つまり私達の任務は、これで終了した。ご苦労だったね、ロ・ビルド」
二人はそう言って、地下の儀式室から出て行った。
部屋には一人、蘇生された下忍マスターの男が残る。
その下忍の上位職にして、失われた筈の職『忍者』。
否、それは失われてなどいなかった。
本物の忍者は、今もこの世界にいるのだ。
その事を知る者は、少ないながらも現れ始めていた。
だがロ・ビルドは、ある重要な情報を、同僚にも伯爵にも報告しなかった。
あの男が、『最後の忍者』では無い、という事実を。
彼は戦ったのだ。
レベルは低く、まだまだ若輩者ではあっても、間違いなく忍者の職と技を受け継ぐ一人の子供と。
負わせたのは、致命傷。
手応えは確実にあったので、ロ・ビルド同様、その子供も死んだ筈だった。
だがしかし、聖職者による奇跡によって、死者は生者と成って生き返る。
自分がこうして生き返った以上、この奇跡があの子供の身に起きぬと、誰が言えようか。
「あの、小僧ぉぉっ!! もしも次に会った時には、もう一度殺すっ!! 今度は、頭を踏み砕いてっ、確実に殺してやるっっ!!」
それに気付いた時、ロ・ビルドは、その子供に猛烈な敵愾心を抱き、憤怒に目を血走らせ、童顔を鬼面のように歪めた。
それは恨みと嫉妬。
自分が得られなかった『忍者』という職に就いた少年セディルの存在を、『ただの下忍』のロ・ビルドは許せなかったのだ。




