表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/12

3.共学

聖エーデル修道院学校は、長い歴史を持つ名門校だった。


しかし、その栄光は少しずつ色褪せ始めていた。


少子化による生徒数の減少、寄付金の減少、物価の高騰。


理事会では、毎月のように重苦しい空気が流れていた。


「このままでは、あと三年も持ちません。」


帳簿を閉じた第一のシスターが静かに告げる。


第二のシスターが大きくため息をついた。


「何か手を打たなければ……。」


「もう十分、打ってきました。」


第三のシスターが指折り数える。


「黒人シスターがゴスペル部を作り、聖歌をラップ風に編曲(アレンジ)して全国大会を目指しました。」


しかし、地区予選敗退。


「アイドル部も作りました。」


優勝すれば学校を救えると、生徒もシスターも本気だった。


けれど、予選敗退。


「動画配信も始めました。」


「修道院カフェも開きました。」


「文化祭も地域へ開放しました。」


どれも一時的な話題にはなった。


だが、経営を立て直すには至らない。


部屋は静まり返る。


やがて第一のシスターが口を開いた。


「……最後の方法があります。」


二人は黙って顔を上げた。


「男女共学です。」


その一言で、空気が止まる。


「この学校は百年以上、女子教育を守ってきました。」


第二のシスターが呟く。


「ですが、伝統だけでは子どもたちは守れません。」


第一のシスターは帳簿を見つめた。


「学校そのものがなくなれば、教育も居場所も失われます。」


長い沈黙の後、第三のシスターが微笑んだ。


「学校を残しましょう。」


その一言で決まった。


翌日、講堂に全校生徒が集められた。


第一のシスターが演壇へ立つ。


「皆さんに、大切なお知らせがあります。」


生徒たちは顔を見合わせる。


「来年度より、本校は男女共学となります。」


一瞬の静寂。


「ええっ!?」


講堂中に声が響いた。


「男子が来るの!?」


「うそでしょ!」


「ちょっと楽しみかも。」


「私は反対!」


期待と不安が入り混じる。


最後列にいたメアリーは、小さく首をかしげた。


「男子って……そんなに珍しいものなのかな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ