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仮面の下の思惑

読んでいただきありがとうございます^_^投稿する度に読んでくださる方がいて嬉しいです。

ーー気分が優れない。アルを置いていくわけにもいかないし。


応接室のドアノブに手をかけるが開ける気にならないのは嫌な予感しかしないからだ。アルフォンスは何を考えているのか見当もつかないから予防もできない。すると勝手に扉が開いた。


ガチャ・・・

「セレナ?気配がすると思ったんだ。おはよう。」


朝一番から王子様スマイルが眩し過ぎる。寝不足もあいまってなのか淑女の嗜みである微笑み返しができない。相手が気を許しているアルフォンスだからというのもあるかもしれないが。


「アル・・・おはよう。」


「ん?顔色がすぐれないけど大丈夫?急に来てごめんね。」


「ううん。起きてたから平気。でも急に来るなんて何かあったの?話を聞いてから学校に向かう方がいいかしら?」


応接室は入ろうとするがアルフォンスが肩を抱えた。


「いや。学校に向かいながら話すから俺の馬車に乗ればいい。」


「そ、それはダメよ。王子の馬車に一緒に乗るなんて畏れ多いわ。ましてや通学のためだけになんて。」


セレナは異性と一緒に馬車に乗る事の重大さを父セブルスから小さな時から注意されていた。未婚の娘が異性と密室で2人きりになるのはもちろんのこと王族の馬車になんて絶対に乗っては行けない。


「俺たちは結婚するんだ。問題ないよ。」


「婚約もまだでしょ!私はお父様からその話も聞かされていないし。変な噂になってしまうわ。私はよくてもアルまで悪く言われてしまったら・・・」


ここ最近セレナの周りを取り巻く環境は激しく変動しており相手も含めて誤解されかねないことが心配なのだ。


「噂なんて暇なやつに言わせておけばいい。それに俺はセレナと噂になるの楽しみだな。」


「えっ?」


「だってセレナのことが好きだからね。一緒に噂になるのは大歓迎なんだけど?」


「!!?」


セレナは変な声が出そうになり口を押さえた。全身が熱くなるのがわかる。昨日もだがアルフォンスが自分のことを好きだなんて今まで考えたことがなかった。


「赤くなって可愛い。さぁ行こうか。朝食は大丈夫?軽食なら持ってきたけど。」


「だ、大丈夫よ。遅れてしまうわね。急ぎましょ。」


足早に玄関に向かいながらセレナは必死にアルフォンスへ公爵家の馬車にメイドと3人でなら乗ると説得を試みたが失敗。大事な話があるから2人で、王子が公爵家の馬車に乗るわけにはいかないとのことだ。


「待たせて悪い。出してくれ。」


アルフォンスが御者へ声をかけると公爵家の前から王族用の馬車が走り出した。


「セレナ、手短に話すよ。昨夜からエルトニアのクラウド大公が行方不明らしい。何か心当たりはない?もしかしたらセレナと接触してないかと思ったんだ。」


「クラウド様が行方不明?!それは大変じゃない。昨日は学校も欠席されていたし私は心当たりがないわ。自国に帰った可能性は?」


セレナは諦めて乗った馬車の中でいきなり質問され心臓が跳ね上がったが平然を装って返した。


「当てが外れたか。クラウド大公はセレナのこと慕っていたから帰るにしても連れて行ってしまうんじゃないかって心配してたぐらいだ。でも無事でよかったよ。」


「慕っていたなんて・・・気のせいよ。私たちは公爵家同士での交流をしてきただけよ。それも今となっては相手が王族だったから驚いちゃったけど。」


「じゃあセレナはクラウド大公のこと好きじゃないんだ?」


「ひゃっっ?!」


急にクラウドのことが好きなのか聞かれて心の声が漏れてしまった。クラウドのことはお慕いしているが誰にも知られたくない。


「ふ〜ん。好きなんだ。やっぱりね。」


「ち、ちが!アルの勘違いよ!」


セレナは顔を真っ赤にしながら両手を振る。


「はぁ〜セレナは昔から嘘つくの下手だから諦めなよ。好きになったのはしょうがない。学校でも人気だったようだし、これから頑張るよ。」


セレナの回答に目が据わっていたアルフォンスだったがセレナの向かい側から隣へ微笑みながら座り直した。


「よし!これから毎日一緒に学校に行こう。」


「ええっ?!」


「今まで一緒に居れなかった分一緒に居たいんだ。本当は帰りも一緒がいいんだけど時間がバラバラだと待たせるのも悪いからね。行きだけで我慢するよ。俺のお姫様。」


アルフォンスがセレナの頭頂部に唇を落とすタイミングで馬車が止まった。学校に着いたようだ。外が騒がしい。毎朝王子の到着を待つ令嬢は少なくないと聞く。アルフォンスが降り立つと歓声が上がった。マルクスが到着した時も見たことはあるがこんなに賑やかではなかった気がする。それだけ第二王子の方が人気ということか?あるいはハードン伯爵令嬢ベルの存在のせいでマルクスには令嬢達が近寄れないのかもしれない。


ーーそれにしても・・・ここで私が出るわけにはいかないのでは?


降りた後のことが安易に想像ついた。


「うぅ降りたくない。」


「セレナ?ほら手をちょうだい。」


「・・・はい。」


セレナは諦めてアルフォンスの手を取る。アルフォンスと同じ馬車から大事に手を添えられて降りてきた美しい銀髪の令嬢が姿を表すと令嬢達の歓声が一瞬で止まった。


(どうしてセレナ様が?)

(アルフォンス殿下と一緒にいらっしゃるなんて初めてよね?)


「・・・」


ーーやっぱり失敗だわ。


セレナはなんとか表情を変えずにひとりごちている横でアルフォンスは令嬢達へ微笑み話しかけた。


「おはよう。いつも出迎えありがとう。」


「「「おはようございます!アルフォンス殿下!」」」


「じゃあセレナ行こうか。教室まで送るよ。」


「ここまでで充分です。校舎も違いますし、ありがとうございます。アルフォンス殿下。」


「みんなの前だからって畏まらなくても・・・」


「そういう訳にはまいりません。弁えてくださいませ。」


「は〜い、でも教室までは送るからね。」


アルフォンスがセレナの背中に手を添えながら校舎に向かう。それを令嬢達が目で追っていた。


(あんな素敵な笑顔のアルフォンス殿下は初めて見たわ。)

(セレナ様と仲睦まじかったし、もしかして・・・そんな!)


2人が一緒に登校したという噂は一瞬で学校中に広まった。


❇︎❇︎❇︎


「あの女・・・懲りもせずアルフォンス殿下にまで手を出すなんて・・・」


「ベル?」


「あっ、は〜い♡お待たせして申し訳ございません、マルクス様。」


マルクスへ駆け寄って微笑み、ここが自分のポジションだと誇示してきた王子の腕へと自分の腕を絡めいつものテラスへ向かう。


昼休みはアルフォンス殿下のお相手は誰になるのかという話題でみんな盛り上がっていた。いつもランチをとるテラスに座るとベルが甘えた声でマルクスへ聞き出す。


「マルクス様〜♡なにかご存知ないですの?」


「何がだ?」


「アルフォンス殿下のことですわ。今朝はセレナ様と一緒の馬車でお越しになったようですよ。」


「なんだって?!そんなはず!」


マルクスは驚きでテーブルに手をつき立ち上がった。


「えっ・・・どうかされましたか?」


「セレナは昔から頑固だから異性とは一緒の馬車に乗りたがらないんだ。俺とも乗ることは拒否してきたから驚いた。」


「まぁ!でしたらあのお2人は既にそおいう間柄ということですか?!」


ーーマルクス様からクラウド様、次はアルフォンス殿下にまで手を出すなんて。尻軽な女。


「アルフォンスとセレナは今は忙しいから会えていないはずだが昔は姉弟みたいに仲良かったからな。一緒に居ても不思議ではない。」


「そうでしたか。でも最近までマルクス様の婚約者と言われていたのに切り替えが早過ぎませんか?」


そこでマルクスが爆弾を投下する。


「まぁ・・・アルフォンスが王太子になることになったからセレナと婚約を結ぶのかもしれない。きっと陛下はそれを望んでいる。」


「今なんと?王太子様はマルクス様しか・・・」


ベルは信じられない目でマルクスを捉えていた。


「そうだったんだが陛下に俺がセレナではなくベルを妃に望むと伝えたら王太子から外すと言われた。俺は真実の愛を選ぶよ。ベルずっと愛している・・・えっ?」


マルクスは退け反った。ベルが下唇を噛みながらマルクスを睨みつけていたからだ。


「私は未来の王妃になるのよ!王太子ではないマルクス様なんかいらないわ!」


ベルは立ち上がるとテラスから出て行った。


「ベ・・・ル・・・?」


マルクスはもう見えないベルの背中を探すようにテラスの入口を見つめていた。

次もお楽しみにしててください。

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