神子の力
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「えっ?!!」
声がする方へ振り向くとそこには月光のような青白い光を放つ青年が空中から降り立つところだった。
「クラウド様?!どうしてここぶっ・・・」
「静かに。」
声を潜めることなく驚き、声を上げたセレナの口をクラウドが塞ぎ、腰に手を回すと声のトーンを落として囁く。
「セレナ、会いたかった。」
「ぷはっ!どうしてここに?!」
セレナもクラウドに習い、小さな声で話す。
「すまない。脱出に苦戦していた。でも今日が満月でよかった。」
「だ・・・脱出??」
セレナの頭上に?(はてな)マークが浮かぶ。
「何から話せば良いか・・・とりあえず陛下との交渉は決裂した。だから捕らえられて閉じ込められていた。」
「えっ???!そんなことって・・・」
「それよりここは冷える。セレナが風邪ひいてしまったら大変だ。こんなこと言うのはよくないとわかってはいるんだが、よかったら・・・部屋に入っても?」
未婚の女性の部屋に男性が入るなんて通常は憚られるが状況が状況だ。セレナは承諾して2人は静かに部屋に入ることにした。
「でも怪我もなくて無事でよかったわ。何かあったんじゃって心配で・・・って何かあったのよね。」
「まぁこの通り無事だ。今頃俺がいないことに気づいた看守には悪いが。ところで公爵殿とカインは?」
「2人とも王宮にいるらしいの。でも帰ってこなくて。」
「そうか。念のために防音の魔法をかけておくよ。気づかれるとまずいからね。」
クラウドが掌を天井にかざすと部屋が一瞬、眩く光ったがすぐに何事もなかったかのように部屋は静寂な佇まいに戻った。
「あまり長居は出来ないから手短に済ませる。これから話すことはセレナを危ないことへ巻き込んでしまう。知らない方が幸せかもしれない。それでも聞く覚悟はあるのか?」
「そのつもりで今日学校に行ったけど?」
「ははっ!頼もしいな。」
クラウドはセレナの意気込みのおかげで暗い表情からすぐに穏やかな表情を取り戻した。改めてセレナと居るとこれからも辛いことがっても元気になれる気がした。
「だって昨日話すって言ってたから・・・でも学校に来ないから本当に不安だった。なのに朝からアルにいきなり私と婚約が決まったって言われたりパニックで大変な一日だったんだから。」
「アルって第二王子のアルフォンス王子のことか?それはそれは陛下は余程俺とセレナをくっつけたくないと見える。・・・面白い。」
「阻止される理由があるってこと?」
セレナは自然と眉間にシワが寄ってしまう。ここ最近王族の私欲に振り回されてばかりでうんさりしていた。
「あぁ・・・心当たりがありすぎてね。」
クラウドは苦笑いをしながら窓際にある椅子に腰掛けた。セレナはため息をつきながらマリーが置いてくれていた温かいポットから2人分のハーブティーをカップに注ぎながら話を聞いた。
「時間がないから簡潔に話すよ。俺たちは人より変わった力を持っている。セレナは光の神子、俺は闇の神子の力を持っているんだ。そもそも大昔は1つだった陰陽の力が2つに分かれて今に至っている。」
「えっ?光の神子・・・?ってあの神話の?」
ーー私に魔力があるってこと?
神様が2人の少女へ自らの力を半分ずつ与え、それぞれ光と闇の神子となり、力を合わせて世界を平和にする有名な神話で何度も読んだことがある。セレナは戸惑いながらも自分にその神子の力があるかもしれないとわかり不安になりつつも嬉しくも思った。小さな頃から自分は魔法が使えないと諦め、代わりに知識だけは欲しいと思い図書館に通い、たくさんの本を夢みる気持ちで読んできた。
「神話だけど実話だ。神子の力は代々血縁者に継がれてきた。セレナの場合は母親であるマリア様から継がれたんだ。」
「どうしてそんなこと知っているの?」
クラウドは少しの間、目を瞑ると息を整えセレナへ視線を向けた。
「俺たちは小さい頃遊び相手でずっと側に居たからだよ。でもセレナは俺のことを覚えていなくて、おまけに光の力も使えなくて驚いたよ。」
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