カタワレ
以前から読んでいただいている方お待たせしました。初めて読んでくださる方ありがとうございます。よろしくお願いします。
クラウドは肘を太ももに置き、手を組むと真っ直ぐテーブルを見つめる。すると急に周りの空気が冷たくなったように感じるほど鋭い声音で話した。
「悪いがセレナに話をしてからじゃないとカインには話さないよ。今日は陛下と話をするために参上した。」
「・・・そうか。残念だな。じゃあ待つとするか。」
カインは身震いしそうな空気の中、聞き返しても無駄と判断してソファーから立つと足取り重く、親達の中へ突入した。
「父上、いつまでしょうもない事を続けているのですか。もう私たちは帰りますよ。大公殿下は今日は何も話さないようです。」
カインに肩を叩かれ、振り向き様にセブルスはクラウドを見た。
「大公殿下!お聞かせください!私の娘への贈り物についてはどう・・・」
「だーかーら!何も話さないって言われたんだよ!何も聞くな。陛下、御前失礼しました。本日のところは私ども親子は失礼いたします。近日中にはまた招集ください。」
「陛下、大公殿下、私も失礼致します!」
「ボンド!逃げる気か!話は終わっておらんぞ!」
カインが父親を引きづりながら部屋を出るとその後をボンドも早足に追いかけた。嵐が去ると部屋は沈黙に包まれる。
「はぁ・・・クラウドすまんな。皆、忠誠心があって良い家臣なんだ。」
ガイがクラウドの正面に腰掛けると背もたれに身体を預け仰け反った。
「私の方こそ此度は急に書簡をお送りしたり夜会に参加してしまい申し訳ございません。急いでいましたので。」
「ほぅ?そんなに私のことが信用できないとは心外だ。」
「・・・私はこの日を待ち望んでいました。お約束をお守りください、陛下。」
「断る。」
ガイは腕組みをしてにこやかに笑い、返事をするがクラウドは眉間にシワを寄せた。
「セレナ嬢はマルクスの妃と考えていたが彼奴には王の座は重いようだ。第ニ王子であるアルフォンスに王太子位を与え、セレナ嬢を妃に迎えることを思いついた。」
「そうですか。残念です。では約束放棄としてこの国を頂くまでです。」
クラウドは立ち上がり、天井に掌を向けると眩く光を放った。
「衛兵!!此奴を捕らえよ!!」
❇︎❇︎❇︎
「親父、さっき読んでた陛下宛の書簡にはなんて書いていたんだ?教えてくれ。」
王宮からの馬車に乗るとすぐさまカインは核心に迫った。カインとしては口を割らなくても仕方ないと諦め半分で聞いたが聞かれた本人は一瞬動きが止まっただけで話す気ではいたようだ。
「13年前の約束を守らなければこの国はエルトニアのものになると。」
「は?」
「すでに宰相だった私がなんの約束をしたのか知らされていない。それも国の存亡が天秤にかけられる約束とは・・・書簡に易々と記すとはあの若造、この国と戦争をする気なのか?」
クラウドは大公だ。それに王相当の権限が与えられていると今日発表していた。それが意味することは書簡に書かれていることが冗談では済まされないということだろう。
カインは短い付き合いだがクラウドがそんな喧嘩早い奴には見えなかった。でも戦争をする様な事が書かれていたのは事実。頭の整理がつかず混乱した。
「そもそも陛下とクラウドは親しそうだった。それはなぜなんだ?」
「それはおそらく陛下の父である先代の王の妹君が向こうの公爵家に嫁いだから遠い親戚ということからじゃないだろうか。」
要するにクラウドの祖母がナルシャ王国の姫だったということ。それで交流があったのかもしれない。13年前に何か重大な約束をするほどの仲と考えるしかなかった。
セブルスは口元を手で押さえながら目を瞑り考えを整理した。
ーーなぜ成人になったその日に動いたのか。
ーーなぜセレナに求婚してきているのか。
13年前の約束がセレナ自身ではなくセレナが持つ"力"に関係しているものだとしたら・・・。
「カタワレ・・・なのか」
「えっ?」
「うむ、あの2人を近づけるな。」
セブルスは低い声で話すがカインは陽気に返事をした。
「それは無理だ。お互い想い合ってる様だからそのうちくっつくよ。それに結婚させる気だろ?」
「結婚については保留だ。それなら見張っておけ。あの若造はセレナを利用する気かもしれん。」
「利用ってまさか!クラウドがセレナの力のことを知っているというのか?!」
「そう考える方が辻褄が合う。個人で動いているとは考えにくい。警戒しろ。」




