↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/37

月明かりで重なる影たち

このページを開いていただきありがとうございます。

窓からの月明かりが2人を照らす。


クラウドは抵抗しないセレナの腰に手を回すともう一度唇を重ねる。セレナはようやく意識が浮上して両掌で阻止した。


「ク、クラウド様!ま、待って。」


ーどうしてこんなことになってるの?!


パンクしそうな心臓をなんとか抑えようとするが状況が飲み込めない。今わかることは2人の距離が近すぎることだ。私はただ馬車まで送ってもらっていただけなのに。


「ん?待ったらまたしてもいい?」


悪びれもなく爽やかに笑いかけるクラウドはセレナの耳元で囁き、手を避けて頬に唇を落とした。


「ちょっと!待ってっていうのはそういうことじゃないの。」


クラウドの口元へ掌を向けて距離を取ろうとしたが、次の瞬間チュッとセレナの掌へリップ音を落とすとクラウドは微笑んで見せた。


「残念。」


セレナの頭が沸点に達してしまう。瞬時に手を引っ込めると俯き、気持ちを落ちつかせる為に肩で息をするが頭が熱くなりすぎて眩暈を起こしふらついたのだろうクラウドが肩を抱いて支えていた。


「すまない。正直になりすぎたな。」


次には膝の下に腕を潜らせセレナを横抱きにすると歩き出していた。


「えっ?クラウド様?!私は自分で歩けるから・・・」


「時間がない。私の話をこのまま馬車まで黙って聞いていて欲しい。」


真剣なクラウドにそう言われ、セレナは口を閉じ、側にあるクラウドの金の瞳を見つめた。その瞳はいつもより深い黄金色の光を灯している様に見えた。


「今日からもう隠すことはやめたんだ。今までごめん。やっと迎えに来たよ。」


「迎え・・・?」


黄金の瞳と桃色の瞳が絡み合う。


セレナにはその言葉が腑に落ちないのに何処かで聞き覚えのある台詞だからなのかストンと心の中に言葉が届いてしまった。


「クラウド様は私を迎えに来たの?」


「あぁ、自分には術(すべ)も力も無くてずっと我慢していたんだがもう大丈夫。術を手に入れた。」


クラウドは歩きながら自信に満ちた声色で話を続けた。


「事情があったにしろ隠していてすまない。実は私はエルトニアの王子なんだ。今日発表の許しが出た。だから迎えに来たんだよ。」


「王子?!」


「そうなんだ。これから貴女の家族にも話をするよ。カインは薄々気付いてたけどね。くくっ。」


エルトニア帝国の王子といえば自分宛てに贈り物をしてくれた第一王子なのか気になるところだった。でも第一王子ということは自分へ求婚してくれた相手ということになる。考えているとさらに赤くなってしまう。

この人はいつから私のことを想って接してくれていたんだろうと。私はそんな気持ちに気づかず、自分の気持ちを閉じ込めていたのだから。


「クラウド様は・・・公爵家の出じゃなかったの?それに王子って第一王子?私への贈り物は貴方からだったの?聞きたいことがいっぱいだわ。」


「私が第一王子だよ。公爵家との繋がりは本当で母の生家がウィリアム公爵家なんだ。エルトニア帝国の王族の名前はミドルネームがあって母の生家、ラストネームは父、エルトニアの名前を授かることになっているんだ。だからクラウド・ウィリアムは嘘じゃないよ。」


セレナの勉強不足に他ならない。でも通常は自分の家の名前を名乗るはずで誰が王族の名前だからミドルネームとラストネームがあると疑うものか。


「確信犯じゃない。笑って許されるなんて思わないで。」


セレナは目線を逸らして怒った様にしたかったが心情はそれどころではなかった。やっぱりクラウドが第一王子だったという驚きと嬉しさで心が満たされるが贈り物をくれた気持ちと自分の気持ちは同じものなのか不安になった。ナルシャ王国公爵家との結婚は政治的な結びつきが理由かもしれないしそれ以外もあり得る。同じ気持ちかもしれないと浮かれそうになったがまた気持ちは落ち込んだ。それに先日、結婚はこちら都合でお断りしたところだ。今更感が半端ない。


「でもセレナ嬢は許してくれる。」


馬車が見えてくるとクラウドは歩くスピードを緩めセレナに問いかける。


「早く迎えに行きたい。もう一度贈り物をするから。私は断られても何度でもする。」


馬車に着き、御者に扉を開けられるとクラウドが中まで運んでくれ、椅子に降ろされた。セレナは礼を言うとクラウドの袖を掴み問いかける。


「クラウド様は私に何を望んでいるの?公爵家の後ろ盾?ナルシャ王国の宰相の父の力?他には・・・」


「何を言ってるんだ!俺はセレナが好きなんだ。なぜ分からないんだ?いい加減に気づいてくれ。」


やれやれと眉尻を下げるクラウドに対し、セレナは言われた言葉を反復する。


「好きって、気づくことなんて何もなかったわ。」


「好きでもない奴を王族との面倒な争いから助けたりなんかしないし他の奴と婚約するとわかって手順を踏まずに急いで贈り物なんかしない。それに毎日図書館にだって行かない。俺は別に本なんて・・・」


クラウドは正直になりすぎて口を滑らしたことに気づき口元をおさえた。


「どれだけ鈍感なんだ?だから手紙にも書いたけど王子としてではなく1人の人間として結婚を申し込んだんだ。覚えていて?」


クラウドはセレナの返事を待たずに箱から出て扉を閉めた。セレナは窓から身を乗り出し、


「クラウド様!私は・・・」


「どうか昔のようにクラウドと呼び捨てで呼んで欲しい。セレナ、私は貴女を愛している。」


ついにクラウドの気持ちが書けました。これから真相をどんどん書いていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。