第24話「本当の答え」
「BAR Lampでお酒を飲んだ日、桜子が真司に寄りかかってるのを見てさ」
「その前も、二人が自然にくっついてることが多かったし」
桜子は静かに聞いている。
「特にあの時の桜子……すごく安心した顔をしててさ」
少し間を置く。
「その瞬間、思ったんだ。」
「俺は、真司と桜子……二人の時間を邪魔してるんじゃないかって」
桜子は目を見開いた。
「え……?」
「そんなっ」
「真司は昔から、桜子のことを大切に思ってた」
「俺なんかより、ずっと前から」
「だから俺が間にいるより、二人でいる方が幸せなんじゃないかって……」
勇人は苦く笑う。
「勝手に、そう思い込んでた」
桜子は首を横に振る。
「違うの。」 「しーちゃんとは幼馴染だから、昔からああいう距離感なの」
涙をこらえながら、勇人を真っすぐ見つめる。
「あの日は酔っていて、しーちゃんが支えてくれた」
「でも……」
桜子は一歩近づいた。
「それだけで、私の気持ちを決めないで」
「ちゃんと、私の言葉を聞いて」
勇人は静かに頷いた。
「……ああ」
「ちゃんと聞くよ」
夕暮れの風が、二人の間を優しく吹き抜けた。
「あの日は、酔った姿を勇人に見られるのが恥ずかしくて……」
「それが誤解を生んじゃったなら、ごめんなさい」
初めて、迷いのない声で名前を呼ぶ。
「……桜子」
「勇人といるとね」
「初めて行く場所も、初めて食べるものも、全部楽しかった」
「一緒に笑って、いろんなことを知って……。」
「気づいたら、その時間が一番大切になってた」
「だから私が会いたかったのは……勇人なの」
「俺も一人で全部決めつけて」
「勝手に距離を取ったりして」
苦く笑って、小さく頭を下げる。
「本当に、ごめん」
桜子は涙の残る瞳で勇人を見つめる。
そして、ゆっくり首を横に振った。
「もういいよ」
「ちゃんと話してくれたから」
その言葉に、勇人の胸の奥で張り詰めていたものが、少しだけほどけた。
「桜子、俺――」
その時、勇人のスマホが鳴った。
画面を見ると、真司からメッセージが届いていた。
『今、時間あるか。話したいことがある』
「桜子、ごめん。急用ができた」
「また連絡するから」
「わかった」 「またね」
桜子は小さく頷いた。




