表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『第一印象、マイナス100点。 ―最悪な出会いが、最高の出会いになるまでの物語。』  作者: 季波


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/29

第23話「本当の気持ち」

講義が終わり、学生たちが教室を出ていく。

「昨日さ、教授に研究室呼び出されたから、

『何かやらかした!?』って身構えたんだけどさ」



「それで?」



「落とし物届けてくれただけだった」



「お前、被害妄想強すぎ(笑)」

教室は少しずつ静かになっていく。 廊下には学生たちの話し声が響いていた。



勇人は小さく息を吸い、教室の前に立つ桜子へ歩み寄った。



「桜子」



突然名前を呼ばれ、桜子はゆっくり振り返る。

「……勇人、どうしたの?」

少しだけ不安そうな表情だった。



勇人は視線を合わせたまま言う。

「今日、少しだけ時間あるか?」



桜子は一瞬驚いたあと、小さく頷いた。

「……わかった」



「じゃあ私は講義終わったら、先に帰るね」

真司は言った。



「うん、ごめんね」

桜子は小さく微笑みながらも、どこか落ち着かない様子で言った。



放課後。

二人は大学の中庭にあるベンチへ向かった。

夕方の風が木々を揺らしている。

しばらく沈黙が続いた。



先に口を開いたのは勇人だった。

「この前は、ごめん」



桜子が顔を上げる。



「急に避けたり、一人で決めつけたりして……悪かった」



その言葉を聞いた瞬間。

桜子の目に涙が浮かんだ。

「ずっと不安だった……」

震える声だった。

「どうして、急に避けるようになったの?」

「私、本当に分からなかった」

涙がぽろりと頬を伝う。



「このままずっと……前みたいに笑えないのかなって思ったら……」



桜子は唇を噛む。

「気づいたら、泣いてた」



勇人は胸が締めつけられるような思いで、その言葉を聞いていた。

ふと、夜空の言葉が静かによみがえった。

『本当の答えは、ちゃんと本人の口から聞くのが一番だから』



桜子は涙をぬぐいながら続けた。

「勇人と一緒に過ごした時間、本当に楽しかったの」



「バーガーショップも、ゲームセンターも、タピオカも、ショッピングモールも」



「BAR Lampで話した時間も」

「……また、勇人と笑いたいって、そればかり考えてた」



「勇人に聞いても、『俺の問題だから』って……」

「何も話してくれなくて」



「だから、何も言わずに離れていくのが……すごく悲しかった」

涙をこぼしながら、桜子は勇人を見つめた。



勇人は静かに目を閉じた。

「……本当にごめん」

「ちゃんと話す」



そして、ゆっくり口を開く。

「俺さ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ