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『第一印象、マイナス100点。 ―最悪な出会いが、最高の出会いになるまでの物語。』  作者: 季波


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12/30

第12話「ドキドキは、すぐ隣に。」

「もう少し見てもいい?」

桜子が期待を込めた瞳で二人を見つめる。



「もちろん、いいわよ」

真司は微笑んだ。



「今日は付き合うって決めたしな」

勇人も笑って頷く。



三人はショッピングモールの奥へ歩いていく。

最初に入ったのは洋服店だった。

店内には色とりどりの夏服が並び、桜子は興味深そうに辺りを見回す。



「可愛い服がいっぱい」



真司はラックから白いワンピースを取り出した。

「桜子、これ着てみない?」



「いいの?」



「もちろん」

「見るだけでも楽しいわ」



店員に案内され、桜子は試着室へ入る。

少しして、カーテンがゆっくり開いた。

白いワンピースに身を包んだ桜子が、少し恥ずかしそうに立っている。



「……どうかな」



勇人は一瞬、言葉を失った。

(やばい……。)

普段より少しだけ大人っぽい。 目が離せなかった。



「勇人?」

真司が肘で軽くつついた。

「感想は?」



「……似合う」

思わず本音が口をついた。



桜子はぱっと笑顔になる。

「本当?」



「うん。」

勇人は照れ隠しに頭をかいた。

「すごく似合ってる」



「ありがとう」

(こんな服、初めて着た。)

(少しだけ、大人になれた気がする。)



その笑顔に、勇人の心臓はまた少し速くなった。



「ふふ」

真司は二人を見て、小さく笑う。

「勇人って、褒めるときだけ素直なのね」



「いいだろ、別に」

勇人は少しだけ顔を赤くした。



桜子は最後まで迷ったが、そのワンピースを選んだ。

会計を済ませ、紙袋を大事そうに抱える。

服を見終えると、三人は隣のコスメショップへ向かった。



「いい香り」 桜子は目を輝かせた。

「こんなにいっぱい並んでるの、初めて見た」



真司はテスターのハンドクリームを手に取る。

「手、出して」



「こう?」

桜子がそっと手を差し出す。



真司は少しだけクリームを塗ってあげた。

「どう?」



桜子は手のひらを見つめる。

「すべすべ」

「それに、いい匂い」



嬉しそうに笑う桜子を見て、勇人も自然と笑顔になった。



「桜子」



「ん?」


「これも似合いそう」

勇人が指差したのは、淡い桜色のリップだった。



「桜色」

桜子はくすっと笑う。

「名前まで私みたい」



その時だった。



近くにいた店員がにこやかに声をかける。

「そのカラーでしたら」

「こちらのテスターでお試ししますね」

店員は「TESTER」と書かれたリップを手に取り、微笑んだ。

使い捨てのリップブラシを取り出し、テスターから丁寧に色を取る。

「失礼します」

店員は桜子の唇へ優しくリップをのせた。

「こちらのお色、とてもお似合いですよ」



桜子は少し照れながら小さく微笑んだ。

「本当?」



勇人は思わず見とれる。

「……似合ってる」



真司も頷いた。

「ええ。桜子らしくて、とても素敵よ」



「彼氏さんも喜んでますね」



勇人は固まった。

「えっ?」



店員は真司にも目を向ける。

「あっ……もしかして、恋人ではなかったんですか?」



勇人は慌てて首を振る。

「ち、違います!」



桜子は不思議そうに答えた。

「友達だよ?」



その天然な一言に、真司は吹き出した。

「桜子はそのままでいて」



「?」



首をかしげる桜子を見て、勇人は耳まで真っ赤になる。



桜子はテスターで試したリップを手に取った。 「これ、ください」

会計を済ませ、小さな紙袋を受け取る。



コスメショップを出ると、真司が笑いながら言った。



「今日は勇人の負けね」



「何がだよ」



「顔、真っ赤」

「うるさいな」



桜子は二人を見比べ、不思議そうに首をかしげる。

「二人とも本当に仲良しだね」



その一言に、勇人と真司は顔を見合わせる。

そして、どちらからともなく笑ってしまった。



三人は笑いながら、ゆっくりとショッピングモールを巡った。



三人は笑いながら、ゆっくりとショッピングモールを巡った。



「明日も三人同じだし、一緒に行こうぜ」



「うん」

桜子は嬉しそうに笑った。

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