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『第一印象、マイナス100点。 ―最悪な出会いが、最高の出会いになるまでの物語。』  作者: 季波


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第10話「BAR Lampの夜」

店内が少し静かになった。

夜空はカウンターの中でグラスを片付けながら、三人へ笑いかける。



「さて、何飲む?」



桜子はメニューを見つめた。 聞いたことのない名前が並んでいて、少しだけ目を瞬かせる。

(こんな飲み物があるんだ……。)



「……何がおすすめ?」



「初めてなら、ノンアルコールカクテルかな」

夜空は穏やかに笑う。

「甘めにも、さっぱりにもできるよ」



「じゃあ……それがいい」



「了解」


夜空は冷蔵ケースから果物を取り出す。

手際よくカットし、シェイカーへ材料と氷を入れた。

リズミカルな音が店内へ響く。

カシャ、カシャ、カシャ――。

グラスへ静かに注ぎ、最後に飾りを添える。



「お待たせ」



「桜子さんはシンデレラ。フルーツをたっぷり使った人気のノンアルコール」



「真司くんはバージン・ブリーズ。クランベリーの爽やかな味だ」



「勇人はサラトガ・クーラー。ジンジャーエールが効いてるから、君らしいと思ってね」



「蓮さん、このカクテルきれい」



勇人はメニューをのぞき込みながら言った。

「蓮さん、飯も作れる?」



「もちろん」

夜空は笑う。

「何食べたい? 作るよ」



「俺、オムライス!」



真司は呆れたように勇人を見た。

「子供なんだから」



「いいだろ、うまいんだから」



夜空は楽しそうに笑う。

「勇人は相変わらずだな」

「二人は?」



桜子は少し迷った。

メニューには洋食も軽食も並んでいる。

けれど、初めての場所で何を頼めばいいのか分からない。



その様子を見て、真司がそっと口を開いた。

「桜子は、和食の方が好きだと思うわ」

「家でも、そういう料理が多かったものね」



桜子は真司を見た。

「しーちゃん、よく覚えてるね」



「当たり前でしょ」

真司は少しだけ得意げに笑う。

「何年一緒にいると思ってるの」



勇人は二人を見比べる。

「二人はずっと一緒なんだな」



「そうよ!」

真司は勝ち誇ったように言った。

「幼稚園児のときからずっと一緒なのよ」



夜空は頷いた。

「じゃあ、出汁巻き玉子でも作ろうか」

「うち、和食も出せるよ」



桜子の表情がふわりと明るくなる。

「本当に?」

「食べてみたい」



勇人は、桜子の無邪気な笑顔に一瞬だけ見惚れてしまう。

「……じゃあ、俺もそれ食う」




真司がすかさず言う。

「あんた、オムライスは?」



「両方食う」



「食べすぎよ。」 「でも、私も和食好きだから楽しみだわ。」



夜空は満足そうに微笑んだ。

「じゃあ、出汁巻き玉子とオムライス」



夜空が料理を運んでくる。

「お待たせ」

「出汁巻き玉子とオムライスだよ。」



「いただきます」

桜子は一口食べて、目を丸くした。 「……おいしい」



夜空は微笑む。 「よかった」



真司も出汁巻きを口に運ぶ。

「……これ」 「懐かしい味」

「お出汁が効いてるわね」



勇人が首をかしげる。

「海外にも和食あるだろ?」



真司は小さく首を振る。

「あるけど、やっぱり味が違うの」

「こういう出汁の味って、久しぶり」



夜空は三人を見て静かに笑った。 「……面白い子たちだな」

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