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女学園にて無期留年を言い渡された僕は、毎日奴隷のようにサウナで働かされています。(※ただし、神熱波師)  作者: 米太郎
おもてなし

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29話 ボスの襲来

「さて、草津滉斗。なぜ生徒会室で、くつろいでいるんだ?」

「呼び出されましたので……」


 会長は相変わらず冷たい雰囲気を装ってるけど。少しだけ優しさが見え隠れしている気がする。ここ数日、なぜか昼休みに生徒会室へと呼び出されるのだ。


「ここへ着いたのなら、仕事をしろ。お前は、あくまでも奴隷だからな」

「はい。わかりました」


 まだ奴隷呼ばわりだけども。まぁけど、反論してまで否定したいわけじゃない。僕の気持ちというよりも、会長を含め、生徒会メンバーが楽しい気持ちになってくれるのなら、なんと呼ばれても気にしなければいい。居場所がなかった僕に居場所を与えてくれる人たちだし。僕の仕事である、おもてなしをしよう。

 早速、副会長が大きなお弁当箱の包みを開けながら、片手間に頼んでくる。


「草津ー、ちょっと飲み物がないんだけど? 買ってきてくれない?」

「ここに来る時に買ってきました。副会長の今日の気分は、『グレープフルーツジュース』ですよね」


「あれ、もうあるの……? すげー!? それも、私の気分よくわかったじゃん? サンキュー!」


 副会長の行動パターンや嗜好は簡単にわかった。朝練がある月水金は、グレープフルーツジュースを求める。購買に売っている100%のグレープフルーツジュースがお気に入りだ。

 今度は、女原さんがぼそりとつぶやく。


「……草津、足りない」


 小さなお弁当箱から副菜をつついて食べている女原さん。『何が足りない』とは明確に言わない。それだけ言われても、こっちがわかるわけないじゃん。……と、昨日までは思ってたけど、女原さんの行動、表情を見れば自ずとわかる。


「はい、タルタルソースです」

「……!? なんでわかった!?」


 女原さんは味覚に偏りがある。偏食家の女原さんは、基本的になんでも追加で味付けをして食べている。特に僕がおかしいと感じたのは、玉子焼きには、タルタルソースを付けるというところ。それが一番の美味しいらしい。タルタルソースって、ほとんど卵から作られているんだけどね。そんな嗜好も既にチェック済み。


「それも、これ……。私の大好きなヤツ……」

「これ、忍くんも好きって言ってましたよ」


 ひっそりと耳打ちして伝えてあげると、目がトロンとなって、たっぷりタルタルソースが掛けられた玉子焼きをパクリと頬張る。

 悦に浸り過ぎて、口からヨダレが出てきてるんだが。このままだと、玉子焼きも垂れ流してしまいそうだけども……。まぁいいか……。


 会長に仕事をしろと言われるから、この場の人たちを精一杯おもてなしする。それが僕の使命だからね。あとは、会長だな。


「今日も可愛いですね」

「……!!!?」


 会長に近寄り、真正面から堂々と言う。

 会長は明らかに動揺して、机をバンと叩く。


「な、な、ななな……なにがよ!!!! 意味わかんない! コイツを退学にしろ!!!」

「ははは、湯乃ー。退学にしちゃダメでしょ? こんな有能、他にいないよ?」

「会長が喜んでる。珍しい」


「……」


 二人に言われて、少し冷静になって僕のことを見てくる。


「そういうことは、二人きりの時に言うようにしろ……。そうしたら、思いっきり殴ってやるんだから……」


 会長はこういうのが一番反応が良い。少し揶揄う気持ちもあったけれども、先程よりも少し上機嫌になっているように見える。

 会長は褒められると、弱いからね。


 和やかにお弁当を仲良く食べる昼休み。

 みんなに満足してもらえているようで、最近ではしょうもない話もするようになった。これが僕の仕事だって今は思えるな。

 毎日、こんな風にして過ごせたら、この学園も過ごしやすくて良いのになぁー……。

 そんなことを思う平和な昼休み。


 不穏な足音がドアの外に近付いてくるのがわかった。音を察知した会長は、ピリッと生徒会室の空気を引き締めた。

 訪問者により、お昼の平和な時間は壊される。


「おいっすー、来たぞー」

「呼んだ覚えはないのですが?」


 手をひらひらさせながら、部屋に入ってくるなり、来客用のソファーにドカッと座る。足を組んで腕を広げ、威圧感がすごい……。


「約束通り、兄ちゃんに働いてもらうおっかなーって思ってな」

「あなたと約束なんてした覚えがないですが? 草津滉斗は私の下僕ですので、勝手に使わないで頂きたい」


 会長が僕を庇ってくれているが、ボスの鋭い眼光が僕を突き刺す。


「前に協力してくれるって言ってたじゃーん? そいつ、なんでもできそうだから、ちょっとうちが経営しているお店で働いてもらいたいんだけどなー? 契約書も持って来たから、ちゃちゃっとサインしちゃってよ」


 会長が立ち上がり、僕とボスの間に割って入る。


「ダメです。コイツは私のものなので、私の言うこと以外は聞きませんよ。貴方が作る契約書になんて、絶対にサインさせませんから」


 会長が守ってくれている。しかし、ボスは怯む様子を見せなかった。なにか考えがあるのか、ニヤリと微笑んでいる。


「まぁいいよ。なにか言い分があるなら、サウナで聞くわ。まずは、来客をもてなすものでしょ? ここの次期経営主様になるわけだしさー?」

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