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女学園にて無期留年を言い渡された僕は、毎日奴隷のようにサウナで働かされています。(※ただし、神熱波師)  作者: 米太郎
おもてなし

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28話 謎のおじいさん

 会長って意外と良い人なのかもしれないな……。

 ちょっと可愛いとか思ってきちゃってる自分がいる。


 結果的に、僕も学園に馴染めているし。いろいろと考えてくれてたんじゃないかって思ってしまう。先を読む力に長けているし、きっと会長の計算で僕は生かされている気がする。


「それじゃあ、これからもっと頑張ったら、『下僕』にしてあげるから。少しランクアップね」


 いたずらっぽく笑うのは、冗談を言ってる証だろう。これ以上一緒にいると、本当に好きになっちゃいそう……。

 先に上がってしまおうかな……。


「せっかくだから、背中でも洗ってもらおっかなー? 下僕くん?」


 僕が湯を出ようとすると、会長も一緒に立ち上がる。

 僕は目線が合わないように後ろを向きつつ、バスタオルで自分の大事な部分を隠す。


「今から身体を洗うんだから、タオルなんて撒かなくたっていいんじゃない?」


 会長が誘惑してきたところで、浴室のドアが開けられた。ここは何湯だったかはわかっていないが、おじいさんが浴室へと入ってきた。


「今日は客が少ないのぉー……」


 会長はさっとバスタオルで身体を覆うと、おじいさんに答える。


「あらら、おじいさん? 今の時間は私たちが貸し切りにしていたはずですが?」

「ほぇ、そうなのかの? 聞いておらんかった。すまんすまん」


「けど、良いですよ。もう話は終わったので、お風呂はみんなのものですしね」


 お風呂にいるときの会長は、素晴らしく人格が出来ているな。これが本当の会長さんだとしたら、僕は……。


「ほうほう。良いお嬢さんじゃな。そこの彼氏くんも隅に置けないのぉー。ほっほっほ」

「いや、おじいさん。僕は彼氏じゃなくって……」


「滉斗、否定しなくていいよ」


 会長が僕のことを制止してくる。


「えっ……、いや……? それってどういう意味です……?」

「こういうおじいさんは、カップルとか見るのが好きだったりするのよ。楽しい気分を害さなくていいでしょ? 私と付き合うっていうこと、そこまで否定したい?」


「いや、僕は嫌じゃないですけど……。会長さんがいいなら……」


 僕が意識し過ぎちゃったのかな……。

 自分の気持ちじゃなくて、おじいさんのことを優先に考える。人をもてなす立場にいる会長さんらしいな。


「わしゃ、いつも最初はサウナに行くんじゃが、そっちの彼氏くんも一緒にどうじゃ?」


 おじいさんに誘われてしまった。会長との話は、これで終わりでいいのかな……。もっと一緒に話していたい気持ちもあるけど……。チラリと、会長を見ると「行ってきな」と背中を押してきた。


 よろけながらおじいさんの元へと向かうと、おじいさんは僕を見定めるように眺めてくる。

 そんなに吟味されなくても、僕だってもてなす心はあるから。


「おじいさん、お供します!」

「うむうむ。よろしい、よろしい。わしゃが、サウナの整い方を教えてやろう」


「はい。ぜひお願いします!」


 おじいさんはうんうんと頷いて、満足そうな顔を見せてくれた。

 サウナには慣れているし、僕の熱波師としての腕を見せられるけれども。そういうのはいらないってことだろう。『もてなす』っていうのは、そういうことなんだ。おじいさんが満足するように、僕はそれをサポートするだけでいいっていうことだ。


「滉斗、やればできるじゃん。その意気で行っておいて」

「うす! それでは、いってきます!」


 何も装ってない素の会長。

 今度会えるのは、きっと僕がボスからの要求に上手く答えられた時。来年の学園志願者が倍以上に増えた時。そんな時が来たら、また会長と腹を割って話したいな。こんな会長だったら、親友になれそうな気がする。


「よろしくね。次に会う時は、風呂の外。だから、私には気軽に話しかけないようにしなさいね?」


 会長が鎧をまとい始めたようだ。ピリッとした空気を出す。いつもの会長も、お風呂の中の会長も、どちらも彼女なのだろう。

 何だかカッコいいな。やっぱり会長だな。


「はい!」

「よし! 行け!」


 おじいさんの元へ少し急いで向かうと、おじいさんはサウナの前まで来ていた。

 そのまま扉を開いてサウナの中へ入っていく。サウナの内装は、高級な和の雰囲気を感じる様相であった。おじいさんの雰囲気にとても似合っている気がする。


「お前さんも、あっちの彼女も。応援したくなるのおー」

「あ、ありがとうございます!」


 おじいさんは、上機嫌なまま段へと歩いていき真ん中へポスンと座る。僕もお辞儀をしてサウナへ入ると、おじいさんのお供として隣へ腰掛ける。おじいさんは滔々と話し出す


「整うというのはな、心の状態じゃからのぉー。サウナの暑さが大事なわけでも、水風呂の冷たさが大事なわけでもないのじゃよー?」


 優しい語り口のおじいさんは、僕の目をしっかりと見つめながら言ってくる。なんだか吸い込まれそうな目をしている。どこかの王様のような、包容力のある瞳。この人を熱波でもてなそうとか、少しでも考えていた僕が恥ずかしいな…………。


「ほぉほぉほぉー。やっぱりキミは最高じゃな。わしゃ、もう整ったぞいー」

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