22話 救世主?
「どうしたのかしら?」
僕は警備員に生徒会室へと連れられて、その場で再び取り押さえられた。会長の前で跪かされている。
会長は、一切驚いた表情を見せず、こうなることを予見していた顔をしていた。
警備員が来るタイミングが異様に早かったのも、予め仕組まれていたということを証明してくれている。
会長は僕を見下しながら、薄ら笑みを浮かべる。
「脱衣所だけに飽き足らず、寮へ忍び込んだんですか?」
「くっ、お前が嵌めたんだろ……」
この後の流れは言わないでもわかる。僕のことを断罪しようということだろう。警備員によって押さえつけられた僕は、地面へと頭を押さえつけられている。
後ろから被害者として、白崎さんのさん浴乃さんも部屋へと入ってきた。
「女性を目の前にすると何をするかわからない人なんですね」
「やっぱりで男って不潔極まりないね……」
「くっ……」
どうにも弁解が出来ない。
浴乃さんや、白崎さん黒崎さんが下着姿で拘束されているのを見て、少しでも嬉しいという感情を持ってしまったのだから。
会長が笑いをこらえきれずに、ニヤニヤとしながら質問してくる。
「意外と聡明な草津。物は試しで聞いてみますが、少しは楽しんでいただけましたか?」
「楽しめるなんてことはないよ……。騙されたっていうのに……」
白崎さんは首をひねる。
「せっかくなら楽しめばよかったのに?」
「その二人は枕営業もわずやるような人間なので、何も遠慮はいらなかったのだぞ?」
「芸能界って、大変なんだよね。このことは秘密だからね」
それであればと少し後悔する気持ちが湧かないでもないが。
せめて、二人が傷ついていなくて良かったと胸をなでおろす。
とはいえ、僕はやってはいけないことを……。
「お姉ちゃん、これで良かったんだよね?」
「ありがと念には念を入れて、あなたも行かせて正解だったわね」
浴乃さんは、会長から頭を撫でてもらって嬉しそうであった。僕はまた騙されてしまったというわけだ。
浴乃さんと、会長が両足跪かされた僕に近寄ってくる。そして、高い所から見下してくる。
「これって、見えそうですか?」
あえて、僕にスカートの中を見せるように一歩近づいてくる。
「……見えないですよ」
「ふふ、普通なら見えない部分だよね。さっきは、私のも見れて嬉しかったかなー? 滉斗くんのえっち」
「……騙してたんだね」
「そんな言い方しないで欲しいなー。私は元々お姉ちゃんの味方だし。君はとってもいい働きしてくれたから、お礼をする気持ちだったんだよ?今もそうだし。もっと見たいでしょ?」」
無言でいると、僕にスカートを被せてくる。視界が浴乃さんのスカートの中だけになる。抵抗できない僕に対して、無理やり見せてくる。
「男子って、大変だよね。これだけで罪になっちゃうんだもんね」
スッと離れていくと、浴乃さんは会長と同じく悪い顔をしている。
「ここでの猿芝居はもういい」
「はーい」
会長にとがめられて、浴乃さんは下がっていく。
「お前は、自分を大事にしろ」
「……うん」
姉に褒められると、少し萎れた態度で答えた。
「さて。貴様の罪が増えたわけだが。このことを、一度公にしようと思う」
「そんな……。そんなことしたら、大変なことになっちゃうんじゃ?」
「あえて公表する。そうすることで、この学園の注目度を上げるのが目的。伝統ある輝舞女学院が男女共学になったことでの問題点を公にし、その上で悪さをする男子の更生プログラムをアピールする。元からいる女子のサポートと共に、男子に対しても行き届いた教育をすることをアビールする。それにより、遠くから志願者も増やす」
会長が理路整然と説明をする。僕の頭では追いつけなかったが、僕の罪も計算のうちということだろう。
「……はぁー。お姉ちゃんは相変わらずすごいなぁ。やっぱり私のお姉ちゃんは完璧だね! 流石生徒全員の憧れの存在!」
「っく……。なにが完璧だ……。僕はこれからどうなるっていうんだよ……」
浴乃さんは、僕の頭をポンポンと撫でる。会長も一緒になって僕の頭へと手を置く。
「貴様は、悪いようにはしないと言っているだろう? しっかりと更生できるということをアピールしてもらう。これからは、学外での奉仕活動も増やす予定だ」
「どれだけ、僕を奴隷として扱き使う気なんだよ……」
「黙れ。私はこの学園を守る使命がある。どんな手を使ってでもだ」
どうやっても逃れることはできないのか……。
「それじゃあ、私たちもアピっておけばいいですか?」
黒崎さんがスマホを手に、危ないことを言い出す。かなりの影響力がありそうな彼女たち。SNSか何かで拡散されたとしたら……。
四面楚歌とはこういうことかもしれない。僕はもう、終わりだ……。
誰でもいいから助けて欲しい……。
誰でも……。
心の中で願っていると、生徒会室のドアが開かれた。
「おおぉー、これは盛大にやってるねぇー。邪魔するよー」
まったく救世主には見えない、派手な柄のシャツの男が部屋へと入ってきた。以前来たヤツとは違う派手な男。胸元のボタンを大きく開いて、室内だというのに色付きの眼鏡をしている。




