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無口で清楚なコーニャお嬢様、実は落語の話になるとグイグイくる  作者: 春風亭吉好
俺はコーニャお嬢様に、Vtuber体験をさせる
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第31話 コーニャお嬢様、Vtuberに興味を持つ

「Vtuberをやるッス」


 前座勉強会を観に行ったのが土曜日。そして週明けの月曜日の落語研究会の部室でねねちゃんがそんな事を言った。


「いや、メールでも言ってたけどどういう事?」

「前座勉強会の後にボクはお笑いライブに行ったじゃないッスか」

「行ってたな。それとVtuberがどういう関係?」

「ええ、そのお笑いライブのゲスト審査員の1人にVtuberがいたんスよ」

「……ぶいちゅーばー?」


 コーニャはポカンとして首を傾げている。そうか、お嬢様であるコーニャはVtuberどころか YouTubeとかも見ないかもしれない。

 俺はスマホで適当なVtuberの動画を再生してコーニャに見せてやる。


「ほら、こうやってCGで描かれたアバター……でいいのかな。それに合わせて喋って配信するYouTuberのこと。バーチャルなYouTuberでVtuberっていう」

「あ……、セバスちゃんがたまに見てます……。なんか男の子2人のこういうぶいちゅーばー?が仲良さそうにお話してるの……」

「あー……」


 恐らくイケメン系のVtuberの絡みを楽しんでいるのか。セバスさん、やはり腐っている……。


「それで、お笑いライブでVtuberって?」

「御口《おぐち》ラフタンって言う名前で活動しているVtuberなんスけど、普段は自分のチャンネルで好きなお笑いコンビの紹介や批評とかしていて。その知識量と楽しそうに話すノリがウケて人気なんスよ」

「へー、あんまりそっち系は詳しくないから知らなかったよ。それがライブに来てたの?」

「そうなんスよ。人の審査員に混ざってモニターを繋げてリモート参加してたんス」


 審査員席で人に混ざってモニターがあるのか。今だからこそできる技術なんだろう。確かにコロナ禍でそんなテレビ番組を見た事がある。


「で、そのラフタンがネタの批評したり、芸人さんと絡んだりしてるのがウケてて。ボクも帰ってからラフタンのチャンネルを見てみたンスけど毎日お笑いに関して語っているのが楽しそうで……」

「なるほど。それを俺達でやろうって?」

「ボク達って言うか、コーニャ先輩どうッスか?」

「え……私……?」


 思わぬ指定に驚くコーニャ。なるほど、ねねちゃんの言いたい事がわかってきた。


「つまりそこでコーニャに落語の話をたっぷりさせたいと」

「そうッス。コーニャ先輩のグイグイトークはボクらは聞いていて楽しいスけど、落語に興味なかったらビックリしちゃうかもッス。なまじ普段は大人しいイメージあるッスからね」

「ごめんなさい……」

「いえ、そのギャップが面白いッスよ。でも学内で誰にも彼にもあんな感じでお話するのは難しそうですし、だからVtuberとして身分を隠して好きに落語の話をするのはどうかなって」

「どうだ、コーニャ?」

「えっと……ぶいちゅーばー? ってよくわからなくて……」


 確かにVtuberを見た事もないのにいきなりやってみないかと言われても困惑するだろう。とりあえず試しにそのラフタンの配信を見てみる事にした。


『どうも〜御口ラフタンらふ〜。今日もラフタンのお笑い紹介チャンネルへようこそらふ。早速だけど今回紹介したいお笑いコンビはコチラらふ〜』


 画面に映ったのはケモ耳を付けた美少年とも美少女とも言えるアバター。声もボイスチェンジャーを使って加工しているようだ。ラフタンだからか語尾はらふ。

 毎回好きなお笑い芸人や番組を紹介しているようだ。世間的にメジャーな芸人というよりはあまり世に出ていないけれど知られてほしい、本当に好きな芸人を紹介している。


『で、このコンビのすれ違いネタが鉄板らふ〜。基本的にボケとツッコミは決まっているんだけど、たまにボケの田嶋さんがキレたりとかして〜。今度単独ライブがあるので絶対観に行ってほしいらふ〜』


 ラフタンを見ていて思ったのは決して悪い事を言わない。そのコンビの良いところ、見てほしいところを楽しそうに語っている。批評と言っても褒めるばかりだ。

 だから嫌な気分にならないしそのネタを見てみたいと思うようになる。


「コーニャ先輩、どうッスか?」

「楽しそう……」

「コーニャ、やってみるか?」

「……はい。こんな風に落語のお話ができたら楽しいかなって……」


 思った以上にコーニャが乗り気だ。コーニャの落語を語りたい願望は落語研究会の中だけでは収まらないかもしれない。

 それに学内でのイメージもあるから身分を隠して配信をするのも正解だ。


「そういえばVtuberを部活動の一環って言ってたけど?」

「ええ、落語を語る練習としてVtuberっていうのが、活動の一環になるかなーっと思ったッスけど」

「まぁ部員勧誘の宣伝に絡めて変に集まり過ぎてもなんだしなぁ。一応活動の一環となると顧問と、あと生徒会に確認だけしておくか」

「天ちゃん……」


 身分を隠すとはいえ学生としてYouTube配信がいいのかどうか。俺は後から問題にならないように確認のため生徒会室へ向かう事にした。

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