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無口で清楚なコーニャお嬢様、実は落語の話になるとグイグイくる  作者: 春風亭吉好
俺はコーニャお嬢様に、寄席体験をさせたい
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第22話 春家もも、前座勉強会を提案する

「前座勉強会ってどういう事?」


 俺は幼馴染であり、落語家の前座でもある春家はるやももにコーニャの寄席へのハードルを下げるにはどうしたらいいか相談をした。

 そしてももから返ってきた答えは前座勉強会という事だった。


「ほら、コーニャさんは真打の落語だと緊張しちゃうわけでしょ? 前座の落語だけならハードル下がるかなって」

「前座だけで寄席をやるって事?」

「もちろんお金を貰って普通の寄席の時間じゃ無理だけど、寄席が始まる前の午前中に貸切で前座だけの会をできないかなって。お客さんじゃなくて友達に聞いてもらう……みたいな?」

「なるほど……」


 確かに前座の落語だけならコーニャも緊張しないだろう。まずはそれで寄席という空間に慣れてもらう。

 ももをはじめ前座達からしても人前で落語ができる機会が増えるのはメリットがある。

 前座は寄席の開口一番や、真打の二ツ目の落語会の開口一番でしか落語をできない。前座だけの落語会は基本的には禁止されている。

 友達に聞かせるというていで前座の落語会、つまり前座勉強会をしたいという事だ。


「いいアイディアだと思うけど無許可じゃできないだろうな」

「もちろん。私は師匠に確認するから、九くんもおじさん……席亭に聞いてみてよ。午前中に前座の勉強のために貸切にできるかって」

「許可してくれるかなぁ」

「大丈夫だよ。私からって付け加えといてくれたら」


 うちの親父は昔からももに甘い。もものお願いなら確かに断らなそうだ。


「わかった、聞いてみるよ。あ、その前にコーニャ本人に聞いてみないとな。俺達だけで勝手に話を進めて本人が嫌がったらしょうがない」

「確かに。そしたらコーニャさんの返事があったら教えてよ。それから私も動き始めるから」

「おう。じゃあ今日はありがとうな」

「いえいえー。私は友達の中でも歴史の深ーい幼馴染だからね」

「ん? ああ、そうだな。昔から助けてもらってるよ」


 なんだか少し含みのある言い方をしてももは帰っていった。

 それから俺は早速コーニャに先程の旨をメールするとすぐに返事が来た。


『ありがとうございます。とても素敵なご提案です。それなら私も勇気を出して寄席へ行けそうです』


 コーニャとメールのやり取りは数える程しかしていないが、コーニャらしい丁寧な文面だ。また会った時に改めて意思を確認するとしてとりあえず前向きそうだ。


「そしたらももに連絡しておくか。コーニャは、大丈夫そうです、と」


『OK。じゃあこっちも動くねー』


 1分もしない内にももから返事が来た。ならばこちらも動かねば。俺は帰宅すると親父に前座勉強会の件を持ちかけてみた。


「ん、いいじゃねぇか?」

「軽っ! 最初は断られる事も考えてたけど」

「別に興行の邪魔にならなきゃいいよ。寄席が開く前に高座で前座が落語の稽古をして、それを友達が聞くってだけだろ。別にこっちは何も困らねぇよ。ま、何より可愛いももちゃんの頼みだからな!」

「そこは嘘でも可愛い息子からって言ってくれよ」

「未来の寄席のアイドルと平々凡々な男子高校生じゃ可愛さのレベルが違うだろうよ。あ、許可出す代わりにお前も朝の準備を手伝えよ」

「それは最初からやるつもりだったよ。じゃあ後は梅歌ばいか師匠の許可が取れたら本格的に動くからさ」

「おぅ、頑張れよ」


 親父があっさり許可を出してくれたお陰でなんとかなりそうだ。後はももからの連絡を待っていたら22時過ぎ位にメールが来た。


『師匠からの許可が下りたよ。だけどちょっと条件というか……』

『条件って?』

『んー、電話していい?』

『あー、今部屋にいるからかけていいぞ』


 梅歌師匠からの条件とはなんだろうか。程なくしてももから電話がかかってきた。

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