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無口で清楚なコーニャお嬢様、実は落語の話になるとグイグイくる  作者: 春風亭吉好
俺とコーニャお嬢様、オチケンを作ろうとする
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第15話 コーニャお嬢様、こんな部員がほしい

「とりあえず先生、落語と関係ない私物だけ片付けてもらえますか?」

「アハハー、置いといちゃダメかな?」

「ダメですよ。ただでさえそんなに広くない部屋なのに。できるだけ無駄な物は減らしてスペースを作らないと」

「ちぇー、アタシのお陰で部室があるのにさ」

「それは感謝してますけど、先生がこの部屋を私物化しているのを黙ってあげるんだからおあいこです」

「ほーい」


 そう言って私物を片付け始めるコスメ先生。先生のお陰で部室に使える部屋を見つけた俺達はまずはそこの掃除を始めた。


「四畳半だからなぁ、部員は多くても4、5人か。まぁ最低限の3人をクリアできればいいし。なぁ、コーニャ?」

「はい……」

「なんだ、さっきから不安そうな顔して」

「ええ……落語のお話がしたくてオチケンを作ろうと思いましたけど……改めて考えると……」

「考えると?」

「落語好きな人が……どれだけ来てくれるでしょうか……?」

「確かに……」


 コーニャの不安はもっともだった。普通の高校生で落語好きは珍しい。

 コーニャはお祖父さんからの影響で、俺は寄席の席亭の息子だからだけど、普通は高校生で落語を聞いた事ある人自体が珍しい。


「まぁ、でも最初からみんな落語を知ってるわけじゃないし、知らないところから好きにさせればさ……」

「そうなんですけど……上手く……話せるかな……って」

「あ……」


 そうか、コーニャは俺やコスメ先生みたいに落語を知っている相手だから楽しそうに話せる。落語を全く知らない相手だと普段の無口なコーニャになってしまうのか。


「最初は落語を知ってる人が……いいなって」

「そうか……。よし、落語好きを探そう。コスメ先生もすぐに見つかったんだし、なんとかなるさ」

「……はい」

「盛り上がってるとこ悪いんだけどさー。2人も掃除手伝ってー」


 そうして部屋の掃除を終えて、コスメ先生は英語研究室へ戻り、俺とコーニャは部室の申請の為に生徒会室を訪れていた。


 待ち構えていたのはもちろん、生徒会長の北袋天きたぶくろそらだ。


「なるほど、顧問は小須こす先生がやってくださり、部室は4階の開かずの部屋と。確かにあそこは盲点でしたわ。管理者が小須先生のまま使用目的が宙ぶらりんになっていた。小須先生がいいと言うなら生徒の私の立場から反対する事もできません。いいでしょう」


 そう言って生徒会長は申請の書類に判を押してくれた。これであの部屋は晴れて落語研究会の部室になったのだ。


「ありがとう……てんちゃん……」

「だーかーらーテンじゃなくてソラです。ソラ!」

「あう……」


 ピリピリしている生徒会長の前に萎縮しているコーニャ。この学校を作った人物の孫であるコーニャにこれほど強気に出られるのは、家柄も近いこの人くらいなんだろう。コーニャは偉ぶらないし。

 それから生徒会長はコホンと咳払いをして切り出した。


「それで、顧問、部室はいいとして。部員はどうにかなったのかしら?」

「それはこれからだけど」

「ちゃんと3人いないと部として認められませんから」

「うーん、コーニャのところのメイドさんじゃダメかな?」

「ダメに決まってるでしょう! ちゃんとこの学校の生徒です!」

「ですよねー」


 ダメ元で言ってみたけど秒で却下された。まぁ仮にセバスさんが部員になったら俺の居心地が悪いが。


「ま、まぁ、どうしても、どーーしても見つからなかった場合は……」

「ん、生徒会長、なんですか?」

「な、なんでもありませんわ。さぁ、早く部員を見つけないと認証しませんわよ」

「わかったよ。じゃ、行こう、コーニャ」

「はい……それじゃあ……」


 生徒会長にせき立てられ俺達は生徒会室を後にする。なんか最後生徒会長の様子がまた変だったな。

 片やコーニャは最後までオドオドしていた。2人の仲も取り持つ事ができるならなんとかしてやりたいが……。


 とりあえず俺達は顧問に改めて報告するために英語研究室へ向かった。


「良かったじゃん。これでアタシも正式に顧問かー」

「そうですね、後は肝心の部員をどうするか……」

「落語好きの生徒ねー。聞いた事ないなー。知ってたらアタシも気付きそうだし。アニメ好きとかならいっぱいいそうだけどね」

「とりあえず宣伝用のポスターを作るかな。コーニャ、絵とか描ける? 俺はそういうの苦手でさ」

「はい……絵でしたら少し自信あります」

「あ、そうなんだ。得意そうだもんな。じゃあちょっと描いてみてもらえる?」

「わかりました……」


 この日はそれで解散し、翌日。コーニャは家で描いてくれたイラストを見せてくれたのだが……。


「どう……ですか……?」

「お、おう……」


 普通に下手な俺より女の子の、しかも美術センスのありそうなお嬢様であるコーニャの絵なら間違いないだろうと思って託したのだが……。


「芸術的だね……」

「ありがとうございます……」


 コーニャは普通に褒められたと思って喜んでいる。

 だがそのイラストはなんとも前衛的というか、下手を通り越して理解し難い画風。

 着物を着ているらしき男女のようだがグチャグチャッとしてなんだかわからない。手足の数すら違う気がするし。いわゆる画伯な作風だった。


 お嬢様でも苦手な事はあるもんだ。

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