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無口で清楚なコーニャお嬢様、実は落語の話になるとグイグイくる  作者: 春風亭吉好
俺とコーニャお嬢様、オチケンを作ろうとする
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第11話 コーニャお嬢様、生徒会長と会う

「オチケンを……一緒に作ってくれませんか……?」

「お、おう……」


 無口で清楚なコーニャお嬢様が実は、落語の話になるとグイグイくる事を知った俺こと上戸九うえとひさし


 コーニャを初めての落語会へ連れて行き、その帰りに俺が実は落語家のホームグラウンド、寄席よせ席亭せきていの息子である事をコーニャに知られた。


 それから落語好きのコーニャは俺の事を神と崇め始めたが、俺はそれだけはやめてくれと言って普通の関係に戻る。

 元々雲の上の存在だったコーニャと普通に話せているだけで特別感あるんだけども。


 そんなコーニャからのお願いがオチケン、落語研究会を作ろうという話だった。


「オチケンねぇ……。そこで放課後も落語の話をしたいと」

「そうです……。上戸くんや、他にも落語好きな方がいらっしゃったら、そこで落語のお話ができたら素敵だなぁと……」

「もう他の人とも話せそう?」

「は……はい。いつまでも上戸くんだけに頼るわけにいかないですし、1人でも2人でも落語のお話できる人を増やしたいです」

「そっか……。わかった。協力するよ」

「あ……ありがとう……」


 それまで学校中の生徒から高嶺の花だったコーニャ。

 それが落語の話ならこんなに楽しそうに話す事がわかり親しみやすいと知った。

 それを知るのが俺だけでなくなるのは少し寂しいが、コーニャの為には関係を広げた方がいい筈だ。


「でも……部活を作るのはどうしたら……」

「ああ、それだったら生徒会に許可を貰えばいいはずだ」

「生徒会……」

「俺は部活をやっていないけど、友達が去年新しい部活を作ったのを知っている。確か最初に生徒会の許可を貰っていた。まぁあの生徒会長様は厳しいけどな……」


 俺は我が校の生徒会長様を思い描いていた。そう、コーニャとはまるで正反対の人物なのだ。


「生徒会長……でしたら知ってます」

「そりゃ、生徒はみんな知って……」

「いえ……昔から知ってるんです」

「へ?」


 そうして俺とコーニャは放課後でもまだ残っているであろう生徒会長に会う為に生徒会室を訪ねていた。


「失礼しまーす」

「……」

「何かしら? あら、コーニャさん」


 生徒会室の机で書類に判子を捺しつつ応対したのは我が校の生徒会長である北袋天きたぶくろそらだった。1年生時から生徒会に入り、2年生で生徒会長に抜擢された才女だ。


「放課後に生徒会室に何の用かしら?」

てんちゃん……」

「天ちゃんじゃなくてソラ、そーらー!」

「あ……ごめんなさい……」


 そう、なんとコーニャと生徒会長は幼馴染らしい。

 北袋天。コーニャの父親が経営する神宿グループに次ぐ日本第二位の企業グループ、北袋グループのご令嬢。コーニャとは幼稚園の時から一緒だったそうだ。

 コーニャと同じくお嬢様学校ではなくうちの高校に入学した。コーニャが入ったのはお祖父さんが作った学校というのはわかるが生徒会長は何故だろうか?


 コーニャは清楚な金髪美人なので一部から『金髪の大天使様』と呼ばれているのに対し、生徒会長はそのクールな性格と真っ黒で綺麗な長髪から『漆黒の堕天使様』と呼ばれている。


 生徒人気もコーニャに次ぐNo.2。癒しを求める生徒はコーニャに惹かれるのに対し、生徒会長には刺激を求めるというか、多少Mっ気ある生徒が惹かれているように感じる。

 二次元でも金髪ロングなキャラが好きな俺は断然コーニャ派だけどね!


「それで、何の用かしら?」

「えっと……あの……」


 コーニャが生徒会長に萎縮している。幼馴染という事だけれども親しくはないのだろうか。まぁ生徒会長はキツいから普段清楚なコーニャも怖いのかもしれない。ここは俺が請け負おう。


「えっと、部活を作りたくて」

「貴方は?」

「俺は上戸九。コーニャと同じクラスで」

「コーニャさんと……。こんな冴えない男と。フーン……」


 見定める様に俺をジロジロ見る生徒会長。俺とコーニャが連むのを気に入らないのか。


「それで、部活って何の部活かしら?」

「落語……なんだけど……」

「はぁ? コーニャさんと、貴方が、落語?」

「いや、落語をやるわけじゃなくて、落語に関して語り合うというか」

「それにしても! コーニャさん、貴方は落語がお好きなの?」

「うん……。あまり周りには言えなかったんだけど……」

「確かに貴方は昔から絵本とか物語が好きでしたわね。小さい頃は一方的に話を聞かされて正直辟易しましたわ」

「ごめんね……」

「あれからすっかり大人しくなって、話をしてこなくなったと思ったらそんなものに夢中でしたの。へぇ〜」


 なるほど。コーニャが好きな事にグイグイくるのは子供の頃からの癖で、それをくらっていたのがかつての生徒会長だったわけか。

 それがキッカケで2人は疎遠になってしまったのだろうか。あまり詳しく聞ける様な事でもないが。

 2人の間に漂う空気をどうしようかと思っていたところで生徒会長がコホンと咳払いしてこちらへ向きなおった。


「まぁコーニャさんの趣味はともかく、部活を作りたいならば必要な条件が3つあります」

「3つ……?」


 生徒会長が指を3つ立てて切り出した。

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