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第10話 オレ様主義のイカれた野郎


◆◇◆


ザ、ザ、ザ…



明朝の薄もやをかきわけて一人の男が堂々と歩いてくる。


その外見はこの国では少し目立つものだった。






……フ


フフフ…


フハハハハハ!


彼は内心で高笑いをする。




遂に、遂にだ!


この青い惑星、地球を我がものにできる!



途中ではぐれた部下どもよ、残念だったな、手柄はすべてこのオレ様、


リオン少佐がいただきだ!



これで師団長から最高幹部への昇進も夢じゃねーな…


小さな宇宙の漂流物にしがみついてきた甲斐があったぜ。

それにクソつまんねー授業を受けたこともな…



流石に地球にバリアが張っているのにはビビったけどな~

おかげで服にキズがついちまったし…



ま、入っちまえばこっちのもんヨ…地球への適応はカンペキだしな。

自由自在に体内組織を変化させられるオレ様にとっては造作もねーことだ。


最初に出会ったべーぐん兵士なる地球人の姿をパクったんだ。



派手な色の髪と、青い目が気に入っちまってさー。

早口で何かをわめいてやがるから、記憶を消して黙らせてやったケド。


フン、ザマー見ろ!

地球人の分際でオレ様にたてつくからだ!



待ってやがれ、バラ色の未来!!







…ん?前方に何か感じんな~


この星には不自然つーか?


上等だ、手始めにあの建造物から占拠させてもらうじゃねーか…


そうして彼は大きく一歩を踏み出した。



◆◇◆


同時刻

栄林庵2Fユーマの部屋



…ピー…



…ピーピー



何かが耳元で鳴り響いた。

…んぁ?まだ起きる時間じゃ…ない、ぞ…?


それに今日は定休日の日曜だぞ…



ピーピーピー!



!!


ガバッ



「こ、この音は!」

急いでベッドから起き上がる。





眠気が一気に覚めた僕は階段を脱兎のごとく駆け下りて

着の身着のまま裏庭へ続く勝手口を開ける。





さっきのは宇宙船の異常を知らせる警報だった!

それも深刻なダメージを受けた際の…


くっ…光学迷彩を過信していたか。




現場に向かうと時すでに遅し

隠し場所の茂みの奥からは煙が上がっていた。





そしてそこには一人の男が佇んでいた。



僕は震撼しんかんした。


あの宇宙船はまがいなりにも惑星間移動仕様だぞ!?

それを破壊するとはこの男、何者だ・・・?




「貴様、何者だ!」

僕が声を張り上げる。


すると男は面倒くさそうに振り向いた。



見てくれは海賊と軍人を足して2で割ったような黒装束に、ツンツンの金髪と碧眼がよく目立つ

二十歳はたちくらいの若い男だ。



「あれ、もしかしてコレの持ち主?、てかそうだよな~アンタ地球人じゃねーし」

彼は悪びれる様子もなく堂々と言い放つ。




…バカな、瞬時に僕の変装を見破っただと?


動揺からか声が若干上ずった。

「だったら、なんだ…」

…目的を言え。



「いや、ダッセーポンコツ使ってんなーと思ってよ、ホントに動くのかどうかいじってたら案の定壊れちまった」


「ま、アンタにはお似合いだけど(笑)」


そこで彼はフハハと笑う。







…ダサい?


それに仮にも今のが人のものを壊したときの態度か?





僕はなんとか怒りを抑えて質問を続ける。

「最初の質問に答えてないぞ、貴様は誰なんだ…」




すると彼は肩をすくめた。


「人に尋ねる時は自分からってしらねーのか?ま、いっかザコのことは」

ニヤリとして息を吸い込む。


「聞いて驚け、オレ様の名はリオン少佐、武装組織『黒の彗星』の第四師団長だ!」


そこで再び高笑いをした。



「なに!?」



流石にこれには驚いた。



…『黒の彗星』だと!?


この組織は宇宙きっての武闘派集団としてその名を馳せ、強引な侵略を行うことで有名だった。

その構成員は銀河中から集められた荒くれ者の猛者たちだと聞いていた。


いわゆる宇宙のギャング達だ、ではこいつの目的は…




「目的はもち、この星をオレ達の手中に収め、組織の勢力を広げるっつーコト」


「そしてそうなりゃオレ様は…最高幹部…」


勝手に妄想にまで入り始めた彼は

体をかがませ、三度目の高笑いを上げようとしたが…


「フハ…」



ビュン!





ドゴ!!

「うぼえっ!」


何かが後頭部にクリーンヒットし、彼はそのまま地面に倒れ伏した。




「…朝っぱらからうるせーんだ!」

寝起きで不機嫌なダイさんがあろうことか鉄アレイを投げたのだった。



◆◇◆




…んーー?


目が覚めると知らない天井が目に入った。




???



んだ、ココ…


いつの間にオレ様は寝てたんだ…?



「ってッ!!」

体を起こそうとすると頭にヒデぇ痛みを感じてうずくまっちまった。



「気がついたか」


声のほうを向くとさっきのダセぇ男がいた。


「流石は戦闘種族スルメール族といったところだ、あの一撃を受けたのに、短時間で回復するとは」


…あの一撃だと?


あれ、そーいや何かが頭にぶつかったような気も…

いや、それより…


「つーか、てめぇ、なんでオレ様の出身を知ってんだよ」


するとコイツは少し自信ありげな顔をした。


「少し調べさせてもらったぞ、貴様は同類だから話すが、私は銀河連盟第58星雲の諜報員だ」



そこでオレ様は右の掌を突き出した。



諜報員だと?

ザコがコソコソしょぼいマネしやがって


それにオレ様を同類扱いすんじゃねー、


…消してやるよ!





バーン!!


と衝撃が響き、男、もといザコエイリアンは体ごと吹っ飛んだ。


そして壁に叩きつけられたソイツはもはや再起不能。


ザマーねーなァ!諜報員、


と言ってオレ様は高笑いする。









…となるはずだった。






…しかし現実は何も起こらない。




某国民的人気ゲーム『ポ〇モン』での『はねる』並みに何も起こらない。

遠くで小鳥がチュンチュン鳴いた。




…!?


は?


いつもならエネルギー波が撃てんのに…



焦るオレ様にコイツは言った。

「残念な話だがさっきの衝撃で貴様の力が一部麻痺してしまっているようだ」



「そんな、ウソだろ!」


しかし何回やってもダメだった。



し、信じらんねー…


「しばらくの間は破壊活動は休止だな」

男が静かに言う。


チっ!

エラそうに言うな、劣等エイリアンが!



「ふざけんな、せっかく地球に来たってのに…」

すると、



ガチャ…

大男が一人、部屋に入ってきた。


「ああ、無事だったかよかったぜ…」

「流石に悪かったな、つい寝ぼけてたもんで」


この通りだ、といってソイツは頭を下げる。



誰だコイツ、


今はそれどころじゃねーんだけど…





…そこで、ひとつ思い出した。




そーだ、



コイツだ、あの衝撃を与えやがったのは…




薄れる意識の中で、微かに見えた筋肉ヤローだ。




…オレ様の力を奪いやがったのは~~~~!





そう思うと怒りがふつふつと湧いてきて


オレ様は叫んだ


「っざけんな、テメー!謝って済むと思ってんのか、この――――――――ヤロウ!!」







◆◇◆



過激組織『黒の彗星』第四師団長


そして戦闘民族スルメール人であるリオン少佐は迂闊だった。




いや、無知だったのかもしれない。


誰に向かって暴言を吐いたのかを…




この一言が、彼にさらなるダメージを加えることになることを…



彼は唯一無事だった催眠光線を出す力まで、失ってしまった。







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