第9話 天体観測でカルチャーショック!
ある日の夜、
閉店時刻を迎えた栄林庵で遥さんがある話をした。
「天体観測?」
僕が問う。
「はい、なんでも今年はペルセウス座の流星群がキレイに見えるらしいんです」
と彼女が言う。
流星群…。はて、あれはそんなに綺麗なものだったか…
なんか、こう…砂や塵のようなイメージしか僕には無いのだが…
しかし彼女が興味を示すものには僕だって関心がある。
「ユーマさんはご興味あります?」
という質問に二つ返事でYesと答えた。
「じゃあ明日の夜、一緒に見ましょうね!」
おつかれさまでした!といって彼女は店を後にした。
店に残った僕は考える。
…ん?今、彼女は…
彼女は、一緒に、と言わなかったか?
いや言った!間違いなくこの耳はその言葉を捕えたぞ!!
ということは…それはつまり、
で、ででデートと考えて良いのか!?
え、良いの?いいんだよね!
まさかのここでチャンス到来?
やった!やったぞォ!!
「やったぞォ!!」
気づけば叫んでいた。
「うるせぇ」
ヒュン!
「へぶっ!」
額へのレンゲの直撃は正直死ねる…。
◆◇◆
翌日
僕はとにかく楽しみだった、彼女が来るのが待ち遠しかった。
昼の営業中に5分おきに時計を見てたら、ダイさんからレンゲを2発もお見舞いされた。
そしていつも通りの時間になって遥さんはやってきた。
因みに流星群の話題はなかなか有名なことらしくて店のにあるテレビでもその特集が流れていた。
以下の情報はそこから得たものである。
ペルセウス座流星群2013 見頃は22時くらいから!方角は北東の空
ペルセウス座流星群は毎年、毎年コンスタントに
「ピーク時は1時間に50個」も流れてくれる。
しかも明るい流星が多いので肉眼でも、多少の薄曇でも確認出来る。
更には夏休み・お盆休みという事で夜遅くまで観測出来る。
でペルセウス座ってどこにあんの?
まあ北東、「W」の文字で有名なカシオペア座の下辺りと考えておけば良いそうだ。
しかしあれはどれくらい光るのだろうか、
楽しみは後にとって置きたかったから映像は見なかったが
意外と大したことなかったりして…
◆◇◆
そして待ちに待った22時、店の外に出た僕は驚いた。
遥さんが隣にいることすら一瞬忘れて…
!!
そこには…
光、光、また光
数多の光る物体が空を覆わんばかりに高速で飛来していた。
あれは、
あれは…銀河母艦の惑星間照射ビーム…!!
そんな、聞いてないぞ!いつから宇宙戦争が始まったんだ!?
あんな量のビームが着弾したら地球は宇宙の塵と化すぞ…!
僕は直感的に思った。逃げないと…!!
そう思って遥さんを振り返ると彼女は感動した様子でこう言った。
「うわぁ…!本当にキレイですね」
いや綺麗とかじゃなくて、このままじゃ本当にキレイにこの星が消えますよ!!
彼女を建物の中に避難させようとした時だった。
「おおー、今年は随分と量が多いじゃねーか!」
ダイさんも出てきた。
あんたも何、悠長なことを…いいから早く僕の宇宙船に…
…ん?
今年は?ということは去年もあったのか?
そういえば昼のテレビでも毎年とかどうとか…
それにあの速度で迫ってきているにも関わらず衝撃一つ無いのはおかしいんじゃないか?
「あの、ユーマさん…?」
遥さんの遠慮がちな声が聞こえて振り向くと僕の手が彼女の腕をしっかりと掴んでいた。
そして僕は別の衝撃に襲われた。
無論ダイさんの正義の鉄槌という名の暴力に。
「なに、血迷ってんだバカ、困ってんじゃねーか!」
なにがどうなっているんだ??
結局そのあと僕は遥さんから流星群についての説明を受け、一応納得させられた。
その際にダイさんに散々バカにされたのが悔しかったが…
どうやら大気が十分にある地球では、宇宙の塵やごみが大気圏に侵入すると、摩擦の影響で
激しく光るらしい。
流星群はそれが連続的に起こる現象で、大抵の塵やごみは燃え尽きてしまうので地球に害は無いのだそうだ。
これを聞いた僕は脱力した。
一人で取り乱して…まるでバカみたいじゃないか…。
でも言い訳をさせてもらうと、大気が限りなく0に近い我が星ではこんな光景はまず見ないのだ。
しかし、一度安全だと分かると、滝のように降り注ぐ光の軌跡は本当に美しいものだと感じた。
そしてそれを眺める彼女の表情も…
「綺麗ですね…」
僕も心から呟いた。
「そうですね…」
「そーだな」
余計なダイさんの存在もこの時ばかりはどうでもよかった。
僕たちは夜遅くまで天体観測を満喫した。
ただしこの時、密かに新たな来訪者があったことを僕らは知る由もなかった。
次はいよいよ別なエイリアンが登場する予定です。
お楽しみに!




