↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由研究の終わり方  作者: さいべり屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/30

26. なつのまもの

 資料館に入るつもりはなかった。

 自転車を留めて屈伸していると中から佐伯が出てきたが、もの言いたげにこちらを見るだけだった。


「……なんで、好きになったんですか」

 予想外の質問だったのか、佐伯は初めて会った時のように小首をかしげて、それから微笑んだ。

「そうね。父の仕事の関係で、時々うちに来てくれることがあって。女の子には、年上の男に憧れる時期がどうしようもなくあるのよ。ちょっと都会っぽくて、陰のある雰囲気で……なんていうか、格好良かったの」


 佐伯は、胸ポケットを祈るように押さえた。

「そのうち、父の工場が傾き始めてね。いつの間にか良からぬところに債権が渡っていて、怖い人たちが押しかけてくるようになった。母は泣いてばかりで……。毎日、家に帰るのが怖かった。でも彼が、自分も昔ここに隠れてたんだって、秘密基地を教えてくれたの。ここにいれば大丈夫って。俺が何とかするからって……。そんなの、惚れないわけないじゃない?」


 秋山は声をあげて笑った。出来過ぎだ。そんなことをされたら、たぶん自分でも惚れている。

「すげー! 特撮のヒーローみたいっすね、遼さん。でも、俺も十年後は負けてないですよ。佐伯さん後悔するかも」

 軽口を叩きながら準備運動を終え、徒競走のようなポーズをとる。森の中に自転車が落ちていたら警察だって気づく。何もなかったということは、きっとここから走ったはずだ。

 だったら自分も、走ってみるしかない。携帯電話を開けて時刻を確認してから、ポケットに仕舞う。


  よーい


  どん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。