Brilliant Soul。
もうすぐマクシルの誕生日だ。
前にチラッと聞いたので間違いない。
何かしてあげたいんだけど───
「マクシル、ちょっといい?」
「ハルどうした?」
「あのさ、何か欲しいものとかない?」
「……ない。」
「好きなものとかは?」
「……ハル。」
「えーっと、じゃあさ何か一つ願い事が叶うなら何がいい?」
「……無理だからいい。」
「おっ、何かあるの?聞かせてよ。」
「……たい。」
「ん?」
「一度でいいからハルの顔を見てみたい……」
「俺の顔?」
「想像は想像でしかない。そもそも人がどんな感じなのかも想像。ハルは私の全てだから……だからせめてハルの顔だけは……」
「マクシル……分かった。聞かせてくれてありがと。」
……
……
「って事なんだけど、父さん出来る?」
「うーん、無理だね。彼女は遺伝子操作で視覚に関する部分全てを無くしている。無いものに目玉をつけても見えないし、気軽に脳を弄るわけにはいかない。」
「そんな……」
「……キミにはまだ頼れる人がいるだろう?聞いてみたらどうかな?」
「頼れる人……!そっか、うん。ありがと父さん。」
シュンッ
……
……
「って事なんだけど、おじいちゃん何か知ってる?」
「ふーむ、目が見えぬ子に……待てよ、見えるようにする必要は……そうか、見せればいいのか!ハルちゃん、ちょっと待っててね。」
「忙しいのにごめんね、おじいちゃん。」
「ぜーんぜん!ハルちゃんに毎日会いたいくらいだよ。……あった、これこれ。はい、どうぞ。」
渡されたのは尖った透明な石のような物。穴が空いていて紐が通されている。
「何これ?ペンダント?」
「これはね、物凄く遠い銀河の果てにある星で見つけたんだ。」
「銀河の果て……凄いね。」
「ふっふっ。それでね、これは使用者と対象者に分かれていて、使用者の想い出を対象者の魂に焼き付ける事が出来るんだよ。」
「想い出を?」
「そう、だからハルちゃんが見ている景色そのものを見せてあげる事が出来る。」
「ホントに!?じゃあこれで……」
「一つ大事な事があるよ。想い出っていうのは、ただ楽しかったり嬉しかったりそういうのじゃないんだ。魂が震えるような、そんな出来事がなければこの石は反応しない。使用者も対象者も両方、ね?」
「……分かった。おじいちゃんありがと!」
別れ際。ほっぺにキスをした。
おじいちゃんは相変わらずで、立ったまま気絶していた。
……
……
「っていう事なんだけど、みんなお願い出来るかな?」
「勿論っすよ!派手にやるっすよー!」
「私ケーキ作るね♪」
「あの子にバレないように私が一緒にいるわね。」
「あとは俺とマクシル次第だな。」
……
……
『で、マクシル様の誕生日当日でございます!!』
「なんか緊張してきたな。魂が震える程の出来事……そう言われると難しいよな。」
『大丈夫ですよ、ハル様。青春はいつだってBrilliant Soulですから。』
「そうだな、よくわかんないけど。」
「ハルさーん、準備出来たっすよー!」
部室小屋を飾り付けしてパーティー仕様にした。
マクシルが見れるかもしれないから、みんないつも以上に気合を入れている。
「よし、じゃあマクシル達連れてくるよ。」
シュンッ
……
シュンッ
「ここは……部室?ハル、何するの?」
「「「誕生日 おめでとーーーー!!」」」
「え?誕生日?私の……」
「みんなからのサプライズ、マクシルおめでと。」
「あ……ありがとう……」
照れて俯いているが嬉しそうだ。
「まだ終わんないぞ?マクシル、ちょっといい?」
「えっ?──」
シュンッ
「ここは?……ハルの部屋?」
「そう、まずは俺からプレゼントね。はい、これ。」
「……?」
「ペンダント、俺とお揃いだよ。今つけてあげる……よし、うん似合う似合う。」
「……ありがと、ハル。」
「それとさ、マクシルとはこれからもいっぱい想い出を作っていきたいんだ。大人になっても、婆さんになっても。ずっと一緒にいるって決めたから……」
「ハル……」
マクシルの手を優しく握る。
「俺と……死ぬまで一緒にいてくれる?」
「……うん……うん、いる。私……ハル──」
涙を流してるマクシルが愛しくて。
思わず抱き寄せ、口づけを交わす。
「マクシル、大好きだよ。」
「私も……大好き……」
魂が震えるなんて大層な事を言ったけど……
俺達はいつも全力で生きて、全力で向き合ってる。
だから嬉しくて、悲しくて、愛しくて。
マクシルと過ごす日々は全てが大切な想い出。
今この瞬間も……
……!ペンダントが光始めた。
「……マクシル、321でカウントしてみて。」
「……?3.2.1……えっ───」
「マクシル、誕生日おめでとう。」
巨大な鏡を置いた俺の部屋。
今この瞬間、俺の視界をマクシルに焼き付けている。
「ハ……ハル?ハル!私、見えてる……あれ?ぼやけて……」
俺の瞳から大粒の涙が流れている。
これじゃあ何も見えない。
「ご、ごめん…………よし、マクシル見える?俺の顔。」
「うん……綺麗。可愛い。格好良い。私が思ってた通り……」
「マクシルだって可愛いよ。初めて見る景色は、二人だけが良かったから……そんなに長くは見れないかもしれないけど、でも今日見た景色はこのペンダントに焼き付いて……マクシルが願えばいつだって見れるから。これが俺からのプレゼント。」
「ハル……もっと近づいて?」
「うん。……どう?」
「……」
言葉はいらなくて。
ただただ幸せな顔をして。
「私が一番ハルを好きって思ってた。でも、さっきまでの私より、今の私の方がずっとずっとハルが好き。ハル、私幸せ。この想い出があれば私、これから先もずっと……」
「大好きだよ、マクシル。きっと何回もこれを見ると思うから……未来のマクシルに向けて言うよ。今日はどんな日だった?辛くないか?俺は隣にいる?……俺はいつだってマクシルの事を考えてるから。未来の俺にいっぱい甘えてね。」
「ハル、大好きってもう一回。」
「ははっ。大好きだよ、マクシル。」
お互いに抱き合って、キスをして。
「よし、じゃあみんなの所に行くか!」
「うん。」
シュンッ
「みんなー、主役が来たっすよー!!」
「マクシルちゃーん、見えてる?」
「ルイ……可愛い。」
「良かったわね。」
「猫女……おっぱい。」
「自分分かるっすか!?」
「ゲス……想像以上にゲス。」
みんなの顔を見て回る。
みんな笑顔だ。
「よーし、記念写真撮るぞー。」
シュンッ
「ハルー、パパとヒロとチェフ連れてきたよー!」
「母さん!」
「Mammy……ハルそっくり。可愛い……」
「おや、成功したかい?」
「Daddy……禿げてる。」
「……」
「誰?この人。」
「チェフビーオストだよ、ほら魔術師の。」
「チェフ、やってあげなさい。」
「フッハッハッハッハ!!!」
「……ふっ。」
「なっ!鼻で笑う事もないだろう!?」
「ハルちゃん、やったね。」
「うん、ありがと、おじいちゃん。」
「みんな撮るっすよー!マクシルー!!」
「「「誕生日、おめでとーーー!!」」」
「……うん♪」
今日の日の出来事は確かにペンダントに焼き付いた。
けどそれだけじゃなくて、みんなの心の中にいつまでも、消えることなく輝き続けている。
『だから言ったでしょう?Brilliant Soulだって。』
「ちょっとよくわかんないな。」
『あーん!』




