武士。
「なぁサクラ、気になってた事があるんだけど。」
『どうしてサクラはそんなに魅力的なのか、ですか?それはですね──』
「聞いてないからな。最近やってくるあの球体なんだけど、あれって何?この星の技術じゃないとか言ってたけど。」
『そうですね……掻い摘んで説明すると、ハル様のお祖父様はこの星で言う、所謂宇宙の民に分類されています。多数の星から構成されている一つのグループでしょうか。それとはまた違ったグループが文明人のバックに付いている、そんな感じです。』
「へー、そのグループ同士はどんな関係なの?」
『もう何千年も敵対関係にありますね。そこで今、間接的な戦争を起こそうと文明人にちょっかいを出して裏で操っているんです。我々ヤマトが宇宙の民派、そして文明人が別の宇宙人派。我々は宇宙規模の戦争に巻き込まれつつある、という状況です。』
「宇宙規模の戦争……」
もしかして俺が全て招いた結果……
「貴様のせいではない。むしろこの程度で済んでいるのは貴様のおかげだ。」
「チェフのおっさん……」
「貴様は宇宙の民との巨大なパイプ役だ。なにしろ彼等グループの総統が貴様の祖父なのだからな。奴等も迂闊に手は出せまい。それに遅かれ早かれ我々地球は巻き込まれていた事だ、気にするな。」
「うん……」
「……大丈夫だ。貴様の祖父はこの銀河一強い。貴様がこの星にいる限り、我々地球に直接的な被害は出ないだろう。だから、その……元気を出せ。」
「……そうだな、せっかくおっさんが食事に誘ってくれてるんだし……いっぱい食べよーっと。」
チェフのおっさんから食事をしないかと誘いを受けた。
なかなか無い機会なので快く快諾し、今に至る。
「うーん美味しー。」
「ふっ……そうか、美味しいか。」
「……おっさんは何で今日誘ったんだ?」
「……まぁ、その、なんだ……この前のコレの礼というか……」
おっさんの胸に光る、花のブローチ。
祖父母の日にあげたやつだ。
「気にしなくてもいいのに。律儀な人だな。」
「……」
『……あらやだッ!ハル様!!この者、ハル様に色目を使ってます!数多の人間を見てきたこの私の目は誤魔化せませんよ!?このロリコン魔術師め!!』
「なっ……そんなつもりは……」
『恋い焦がれていたリア様の姿をハル様に重ね合わせているのでしょう。』
「ふーん、そうなの?」
「違う、私はただ……!?」
ヤマト上空に爆発音が響き渡る。
「なっ、何事だ!?」
『ハル様!敵襲です!球体の夜戦は初めてですね。ヤマトの素晴らしい夜景を舞台に……くぅ〜昂ぶってキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!』
「こ、こいつはいつもこんな感じなのか!?」
「ん?まぁな。じゃあ行ってくるよ。美味しかった、ありがと。」
「待て、私も連れて行ってくれないか?」
『邪魔だ邪魔だ!このロリコン!』
「くっ……」
「……いいよ、理由があって見たいんでしょ?俺が守ってやるから。じゃいくぞ!」
シュンッ
「ハル、遅かったわね……チェフ?」
「母さん、おっさんの事頼むよ。」
ヒョイとおっさんを投げる。
「おっと……リアさん、申し訳ありません……」
「いいのよ、ヤマトの長として直で見たいんでしょ?」
「えぇ。あなた達のお陰で私達は平和に暮らせている。画面越しではなく、この目に焼き付けたいんです。」
『ハル様!来ますっ!!』
いつもより小ぶりな球体君。
その為スピードが桁違いに速い。
「な、なにが起きているんだ?何も見えないが……」
「見えないくらい速く動いてるって事、おまけに暗いし。」
いつもよりパワーは小さいが……
それでもこの都市と人を壊すには充分過ぎる程だ。
「こいつより速く動けばいいんだろ?」
『ですが流石に素手では壊れません。近接戦闘で威力の高い物。それは──』
{刀だ。くぅ〜、ワクワクしてくるね。}
『……なんかキャラ被ってません?』
「そうだな。二人を相手する俺の身にもなってくれ。」
{では必殺技の議論に入る。}
「早くしてくれよ?」
〜10分後〜
{これで決まりだな?}
『異論無し!』
「あのな、敵も律儀に待ってくれてるからいいけど毎度毎度時間かかり過ぎなんじゃない?」
{文句を言うな。キミに任せるとハルちゃんソードとかになるじゃないか。}
「可愛いじゃん、ハルちゃんシリーズ。」
『それではハル様、お願いします!」
「えーっと、‘’武士‘’?これだけ?」
『以前引き算しろと言われたので……我々はこの言葉に数多の思いを込めました!あとはハル様が汲み取り言霊にして下さい!』
{頼むぞ。}
簡単に言いよるな……
武士……
「……やぁやぁ!音にこそ聞け!近くば寄って目にも見よ!我こそは!銀河帝王の孫にして!ヤマトのidolハルるんぞ!」
「なっ、アイツはふざけてるのか!?」
「何言ってるのチェフ、あの子達はいつだって真面目よ?こんな場面でふざけられると思うの?」
「しかし……」
俺の周りを黄色いエネルギーが渦巻き始めた。
それは次第に電気を帯びて大きくなっていく。
暗闇の中で、俺の体が光り輝く。
「疾風迅雷、イクスパーダ!!!」
エネルギーは俺の体の中に取り込まれる。
手をかざすと、雷で出来た刀が現れた。
{素晴らしい。97点だ。}
『イクスとスパーダを合わせる所にセンスを感じますね!94点!』
「おー、高評価だな。じゃあいっちょやりますか!」
『ハル様、勝負は一瞬ですよ!瞬きのその先に刃を置くんです!』
「おう!よくわかんないけどな!」
目を閉じる。
確かに奴は速い。
でも、俺のほうがもっと速い。
風を切る音、電流が迸る音。
奴の迫りくる音。
「そこだーー!!!」
一閃。
ニ閃。
三閃。
数え切れない程に、切り刻む。
塵になった奴は風に乗り消え去った。
「……俺の勝ちだな。」
『ハル様カッケー!!』
「ふぅ……どうだった?おっさん。」
「……滅茶苦茶だな。」
「なんだよそれ。」
「滅茶苦茶だが……ふっ、美しい程に素晴らしかった。いつもこうして闘っているのだな……ありがとう。」
「照れくさいな。じゃ、飯の続きしようぜ。」
「母さんも行くー!」
「あ、そうそう母さん、おっさん俺に色目使ってるんだって。」
「なっ!?」
「そうなの!?チェフ、どういうつもり!?」
「いや、私はそんなつもりは──」
「歳相応の相手を見つけなさい!カメラあるし丁度いいわね。ほらチェフ、恋人募集中ってテロップだすから手を振って。」
「いや私は──」
「チェフ、やれ。」
「はっ!……わたくしチェフビーオストは恋人募集中です。興味のある方はこちらまでご連絡下さい。待ってまーす。」
『……はい、オッケー!!』
「くっ……死んだほうがマシだ……」
「まぁまぁ、連絡来るよきっと。」
その後、連絡は来なかったらしい。




