桜吹雪。
久々の休日。
なんの予定も無い。
ふと、考える。
「……あれ?これもしかしていけるんじゃ?」
『ハル様、どうしました?』
「今思いついたんだけどさ、あの月みたいなヤツって宇宙の民がくれたんだよね?って事はおじいちゃんに言えば撤去してくれるんじゃない?」
『それがなかなか複雑でして。宇宙の民も一枚岩ではないので、流石のお祖父様でもそれは出来ないかと。』
「へー、そっか…………あれ?その例の天体、あんなに大きかったっけ?」
『……ホントですね。ん?これ、もしかしてこちらに吸い寄せられてるんじゃ……』
「えっ!?やばくない?」
『ヤバヤバです!!でもなんで……とにかく何かしないと……壊すには……しかし……押し返すのも……キャー!ハル様!ヤバいですよ!無理です!!』
「そうだ!おじいちゃんに言えば──」
「ハル!!空見た!?ハルと母さんであれ壊すわよ!!」
「母さん、おじいちゃんは?」
「なんだかドンパチしてるみたいでこっちに来れないのよ……」
『リア様、いくら計算してもあれは壊せません……打つ手なしです。』
「やってみなくちゃわかんないじゃない!」
『しかし……唯一可能性があるとすればハル様の力しか……』
「やれるだけやろう。いざとなったら俺がフルパワーで爆発すれば……」
「そんな事したらハル死んじゃうじゃない!」
『兎にも角にも、落下予想地点まで行きましょう。』
……
……
シュンッ
「ここが落下予想地点か。」
とある山脈のてっぺん。
『時間がありません。もう押し返す事は不可能ですので、受け止めるか跡形もなく吹き飛ばすか……』
「これ受け止められるのか……?」
先程よりも近づいている。
みんな心配しているかな……
「なんだってこんなもんが落ちてくるんだよ……」
『……以前話したお祖父様と敵対しているグループの仕業でしょう。あの天体は宇宙の民の物。あれをおとせば壊すしかない。壊せば宇宙の民と険悪になる。この星が壊れてもただ玩具がなくなるだけ。』
「……下衆い奴ってのはどの世界にもどの宇宙にもいるもんだな。」
「ハル、母さんがなんとかして落ちてくる時間を稼ぐから、決めてちょうだい。いい?」
「うん、俺はそのためにここにいるから。」
「よしよし……ハル、母さんと初めてあったときに渡したアレ、覚えてる?今が使い時かもね♪じゃ、リアちゃん行きまーす!」
シュンッ
初めて……渡した……
そういえば大切にしまってある。
取りに行ってみるか。
シュンッ
あった、この箱だ。
……これって
あれ?連絡が入ってる。
チェフのおっさんからか。
「こちら地球防衛軍、最終兵器ハルるんです。どうぞー。」
【こんな時にふざけている場合か!?あの天体、なんとかしてくれるんだろうな?】
「んー、まぁ……自信ないけどね。」
【……何かあっても貴様のせいではないからな。他の地区の連中が、例の宇宙人に裏切られたと騒いで我々ヤマトに泣付いてきているのが現状だ。】
「そっか……みんなに伝えてよ。俺が……みんなを……みんな……コレだ!!!」
【ど、どうした!?】
「10分したら全世界に中継してほしい。俺は俺の役目を果たす。だからおっさんはおっさんの役目を果たして欲しい。」
【よく分からんが……任せろ。】
「頼りにしてるよ?ボス。じゃ、シェーナと打ち合わせしてくるよ。」
シュンッ
「シェーナ!」
「ハルるん!!こんな時に……行かなくていいの!?」
「シェーナ、これを着たいんだけど。ちょっと動きやすくね。あとメイク頼んだよ。」
「これは……うふふ、これがあなたの勝負服なのね?」
「うん。あとは……ジョロさーん!!無人のカメラ準備しておいて!!」
……
……
〜天体周辺〜
「重たーーーい!!熱ーーーい!!ハル間に合うかしら……ん?なに?この光は……人?」
「この石っころを押せばいいんだね?」
「あら!Qちゃん!身体、出来上がったのね!」
「バッチリだよ!博士がパワーアップしてくれたからハルるんにだって負けないよ!」
「ふふっ。ハルが必ずやってくれるから、私達はなんとか時間を稼ぎましょ。」
「うん!!」
……
……
シュンッ
『さて、先程の山頂に戻ってきました。ハル様!一世一代の大仕事ですね!!』
「おう!ここでやらなきゃいつやるよ!」
母さんがくれた箱に入っていたもの。
それは着物だった。
桜吹雪が刺繍された美しい着物。
襷をし、袖をまくる。
なぜこれをくれたのかは分からない。
でも、もしかしたら今日の日の事を予想していたのかも。
【ハルるーん!準備はいいかしら?】
「オッケー。いつでもどうぞー。」
【3……2…………】
「この星に住むみんな、ハルです。みんな知っての通り、今この星がピンチです。あれが落ちれば……俺の大好きなこの星が壊される。俺の大好きな人達が……いなくなる。自惚れでもなく、この星で一番強いのは俺です。だから、俺がやらなくちゃいけない。でも……俺だけじゃ出来ない。この星に住むみんなの力が、みんなの言葉が必要なんです。」
{ナルホド、そうきたか。その発想は無かったな。}
「どんな言葉でもいい、大きくても小さくても、ちゃんと聞こえるから……だから、俺に向かって言ってほしい。ふざけた事言ってるって思うかもしれないけど……みんなの言葉がエネルギーになるから。」
両手を広げる。
みんなの言霊を、全て力に変えなければアレは壊せない。
少しずつ、俺の周りにエネルギーが渦を巻き始めている。
全然足りない……
……!この言葉はマクシル……
それにラウラにルイ。
エネルギーはピンク色に染まり始めた。
まだだ、この星のみんなが言わなきゃ……
【まだ分からないのか!!!!このバカ者共!!!!!】
チェフのおっさん……?
【この星の為に戦い、この星の住人の為に傷つき、それでもなお立ち向かうこの少女に何も思わないのか!!我々は争っている場合では無い!!我々の敵は誰だ!?常に我々の事を守ってきてくれたのは誰だ!?今こそ人類が一つになる時ではないのか!?……ハル!!私にできる事などこんな事くらいしか無い。それでもお前の役に立てるなら……いや、そんな事関係なく私は言う。ハル!!頑張れ!!ハル!!頑張れ!!】
おっさん……
……!?みんなの声が聞こえる。
ハル……頑張れ……
聞こえる!
この星に住む住人全ての言葉が、想いが一つになる。
それはとてつもない力。言霊。
俺を取り囲むエネルギーは最高潮を迎える。
「まるで桜吹雪だな。サクラ、見えるか?」
『ハル様……私、ハル様と出会えて幸せです。』
「何言ってんだ。こんな戦いとっとと終わらせるぞ。」
『ふふっ♪はい!』
両手を前に突き出す。
みんなの想いが籠もってる。
この一撃は地球みんなの一撃だ。
「母さん!!もういいよ!!」
シュンッ
「ふぅ、熱かったー。ハル、ここで見守ってるからね。」
「ハルるん!!頑張れーー!!」
「Qちゃん!!そっか!良かったな!」
シュンッ
「ほら、みんな連れてきたわよ。ハルに最後のエール行くわよ!」
「ハル、頑張って。」
「あなたなら出来るわ、ハル。」
「ハルちゃん大好き!」
「なんであなただけそんな事言うのよ!?」
「えへへ……つい。」
「みんなハルが大好きよ!ハル、決めちゃって!!」
「技名はどうする?」
{キミの好きにするがいい。これだけの規模だ。名前など誤差の範囲。}
「よし!!いくぞーー!!ハルちゃん……EARTHキャノンッッ!!!!!!!」
全てを飲み込むそのエネルギーは天体を破壊した。
「あっ、細かいのがバラバラになってる!!」
「まだだ!!サクラ!行くぞ!!」
『よっしゃーー!!』
「『SAKURA・LOVELOVE・BUSTER!!!』」
超巨大なエネルギーは枝分かれし分裂した破片全てを片付けた。
散っていくエネルギーはまさに桜吹雪のようだ。
「ふぅ……俺の、俺達の勝ちだな!」
この日、確かに人類全てが一つになれた。




