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修行。


 何か忘れている事がある。

 ただ、とてつもなく大切な事だというのは覚えている。


「うーん、なんだっけなー……」


「ハル、どうした?問題が分からない?」


 教室でのテスト中。

 ついつい考えてしまう。


「いや、なにか忘れてる事があってさ。思い出せないんだよ。」


「……私がハルの心の中、覗いてあげる。こっち来て。」


「えっ?そんな事出来るの!?ちょっと待ってて。」


「二人ともー……テスト中だよー……」


「ハルさん、マクシルさん、ルイさん、テスト時間によくお喋り出来ますね。放課後追試ですからね。」


「げっ……マジかよ……」


「マジマジ。」


「えーん、私何もしてないよー……」


 ……


 ……


『と、いう訳で仲良く追試を受けています!』


「仲良くか……そう捉えれば悪くないな。」


「そうだね、楽しいね!」


「追試上等。」


「あなた達……追試なのによくそんなホワホワ出来るわね。」


 先生の代理で生徒会長のラウラが俺達を見てくれている。


「……あれ?なんだろう?」


 ぼんやりと空を眺めていると遠くの方で光が見える。

 望遠モードなのではるか先だが確かに光って……近づいている。


「……ハル、気をつけて。」


「マクシル……流石だな。気がついてるんだな。」


「フフン♪」


 得意気なマクシル。

 可愛いな。


「なになに?なにか起きるの?」


 その時ヤマトに巨大な打撃音が響く。


「えっ?何の音!?」


「ヤマトの防衛システムに何者かが引っ掛かったのよ!」


「行ってくるよ。ラウラ、俺の代わりに追試やっといて!」


 シュンッ


「あっ……もう、それじゃ意味ないでしょ?」


 ……

 

 ……


 ヤマト上空。

 巨大な防壁が張り巡らされ侵入者を拒む防衛システムが壊されている。

 

「なんだこれ……誰の仕業だ?」


『ハル様!前!前!』


 そう言われ目線を前に戻した瞬間、目の前が光り輝いていた。


 この光はヤバい。


 本能的にテレポートで逃げる。

 この間コンマ数秒。


「なっ、なんだアレ?ヤバくない?」


『ヤバヤバです。イクス世界大会で現れた球体といい……この世界の技術では作れない物。となると、他の星から……』


「宇宙の民って奴か?」


『いえ、それにしては構造が……あー、これ面倒な奴ですね。』


「……とりあえずヤマトを守んないとな。」


 光の実体は縦横1メートル程の球体。

 周りの景色と同化し姿をカモフラージュしている。

 光の反射でその存在が確認出来た。


「なんか凄いエネルギーを感じるんだけど……こいつ……」


『ハル様!巨大なエネルギー波が来ます!!防壁で少しでも威力を緩和して全力でハルちゃんブラストを!!』


「よし!」


 出来る限り奴の周りを防壁で囲む。

 今までやった事がない、全力のハルちゃんブラスト。

 俺のありったけを両手に込める。


『ハル様!もっと溜めて下さい!!』


「えっ!?これで足りないの!?この後立ってられるかな……」


『!来ますっ!!』


 その瞬間張っていた防壁は崩れ去り見たことのない程の巨大なエネルギー波がこちらに向かってきた。


「ハルちゃん……ブラストッ!!!」


 負けじと巨大なエネルギー波で撃ち合う。

 が、ジリジリと押されている。


「マジかよ!?押されてるぞ!?」


『ハル様!こんな時こそ、あの辛かった修行を思い出すんです!!』


「おう!……って修行とかしてないから!」


 このままだと……

 母さん……


 いや……これは違うよな。


「……昔どっかの偉い坊さんが言ってたんだ。人生は修行だ、って。俺の毎日が、この瞬間が修行なら……俺はまだまだ強くなれる!昨日の俺より、今日の俺の方が強い!一秒前の俺より、今の俺の方が強い!この地球背負ってんだ!負けらんねーよ!!」


 体の中から、力が湧き出てくる。

 全力なんか出したことがなかった。

 俺の底を、俺はまだ知らない。


「ハルちゃん……バスターッ!!!」


 ハルちゃんブラストの3倍はある大きさ。

 そのエネルギー波は球体を丸呑みにし、消し去った。


「ハァ……ハァ……勝った……───」


 意識が朦朧とし空から落ちていく。

 薄れゆく意識の中で、暖かな何かに包まれた。


 ……


 ……


「──、──!ハルッ!大丈夫!?」


「……母さん?」


「良かった!……頑張ったね、ハル。」


 母さんの膝の上で目が覚める。

 ここは……どこだ?


「母さん……俺……勝った?」


「うん、うん。勝ったよ、カッコよかった。手伝えなくてごめんね……ハル……」


「……泣かないで、母さん。泣いてる顔も可愛いけど。」


「……もう、ハルッ!」


 力強く抱きしめられる。

 意識がハッキリとしてきた。

 辺りを見回すと見慣れぬ場所だった。

 無機質というか、なんというか。


「母さん、ここどこ?」


「ここは……パパの船、つまりハルのおじいちゃんのお家よ。」


「パパ……おじいちゃん……」


 ……!思い出した!

 忘れていた大切な事。

 母さんにずっと聞きたかった事が……


「パパー、ハルが目を覚ましたよ!こっちに来てー!」


 俺の予想が合っていれば俺のおじいちゃんは……


『ドキドキですね……生宇宙人ですよ!』


 そう、おじいちゃんは宇宙人だ。

 

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