求心力。
ヤマト地区が独立して数日が経った。
世界は慌ただしく動いているが、今日から学校が始まる。
俺の学校はヤマト地区代表みたいなもので、なにかと率先して新しい事をやる。
そして今回、新たな試みとして一般人と文明人のクラスを併合する事になった。
俺が目指している世界への第一歩だ。
……でも少し不安な事がある。
あんな事をしでかして、俺はみんなから受け入れられるのだろうか。
せっかく友達も増えたのに……
「ハルちゃん、なに悩んでるの?」
「ルイ……どんな顔して学校に行けばいいのかなって思ってさ。」
「……ハルちゃん、私と同じクラスだし、席も隣だよね。」
「え?うん……」
「私がずっと一緒にいるよ?ふふっ。」
「ルイ……ありがとう。俺──」
「私もいる。今日から同じクラス。」
「えっ?マクシルが!?」
「特殊クラスが撤廃された。好きにしろって言われたからハルと同じクラスにしてもらった。フフン。」
「みんな一緒で良かったな!あっ……」
「私だけ除け者ね。」
ラウラが少し拗ねる。
「ご、ごめん……」
「いいのよ。登下校は一緒だし帰っても同じ屋根の下。それだけで充分幸せだから。」
「ラウラ……」
「さぁ君達、惚気けてる場合じゃないよ。遅刻しちゃうでしょ?今日も元気に行ってらっしゃい。」
「よーし、行ってきまーす!」
シュンッ
「全く……あれ?リアがいないな。」
……
……
久々の学校。
みんな元気にしてたかな。
……なんか緊張するな。
「やっぱりいつもより視線が強烈だな……」
「気にしない気にしなーい!久々で嬉しいね♪」
「ハル、手繋ぐ。これで安心。」
「あなた達、その人の事任せたから。じゃ、私こっちだからまたお昼ね。……ちょっとこっち来て。」
ラウラに手招きされる。
「どうした?───っ!」
不意な口づけ。往来の多い校舎前。
「しっかりね、ハル。大好きよ。」
「お、おう……俺も……」
ラウラなりの激励なのだろう。
が、日に日に過激になっていく
二人からギャーギャー言われたがよく聞こえなかった。
ラウラと別れ校舎に向かう。
しかしあちらこちらで大規模な工事が始まっている。
一体なにを作っているのだろうか。
「なんか生徒が多いな。文明人クラスって少数精鋭だったよな?いくら併合したからって……」
「確かに多いね……見たことのない顔も多いし……」
疑問は尽きないが教室についた。
「いつも通りいつも通り……よーし入るぞ、おっはよー。」
勢いよくドアを開ける。
一瞬教室が静まり返る。
コレ、ヤバいやつかな……?
〔 ハルるんおはよー ハルるん昨日の新しいCM見たよ! 久々の生ハルるんだー…… ハルるんなんで突っ立ってるの? 〕
あれ?案外普通な感じだな……
「ほらハルちゃん、席座ろ?」
「……そうだな。」
その後も普通に時間は過ぎていった。
いつも通りな感じで。
担任の姉ちゃん先生に言ってマクシルの席を俺の横にしてもらった。
あとは平常運転。
違和感を感じる程の。
『で、なんやかんやもなくお昼になりました!』
「ハールすわぁーーん!!!」
「おー!ゲスー、元気だったか!?隊長に元ヴィンも!」
「早く会いたかったっす!みんなとはちょくちょく会ってたんすけどね。」
「相変わらず可憐ですね!今日が待ち遠しかったです。」
「でもハルさん元気そうでよかったよ。みんなニュースでギャーギャー騒いでたからな。大体あの人も心配しすぎなんだよなー……」
「馬鹿者!その話はするなと言われてるだろう!」
「あっ、ヤベぇ……ハルさん、今の無しで。」
あの人……
「ふーん、お前達のボスは誰だ?」
「ハ、ハルさんっす……」
「じゃあ分かってるよな♪」
「目が笑ってないっすよ!?」
……
……
「これっす、この動画が昨日全生徒の端末に送られてきたっす。」
「俺達には来てないよな?って事はあえて弾いてるのか。どれどれ……」
【ヤマト指定学校の諸君、ヤマト代表のチェフビーオストだ。変わりゆく世界状況の中、ヤマトに残ってくれてありがとう。そして、同じ志を持ちヤマトに移住してくれた大勢の諸君、ありがとう。現在移住してくれた諸君の為に急遽校舎を増設している。不便はかけるかもしれないが、しばし我慢して頂きたい。さて、知っての通り君達の学校には例の少女がいる。在校生は知っていると思うが……ふっ、彼女は滅茶苦茶だろう?滅茶苦茶だが……その魅力に気がつけば取り込まれてる生徒も多いのではないだろうか。彼女こそが、この世界を革新しようと立ち上がった張本人である。そしてその行動は広がりを見せ、国を動かした。今や彼女はヤマトの、そして世界のシンボルになりつつある。しかしだ、彼女は普通の学生生活を望んでいる。皆と友達になりたいと常々言っているそうだ。そこでお願いなのだが、諸君にはこれまで通りに接して頂きたい。普通の、いつも通りの、それこそが彼女にとっての理想であり、我々にとっての理想なのだと思う。我々は今歴史的瞬間に立ち会っている。新たな歴史が日々、作られているのだ。後世に語り告げられるであろう時代、その時を諸君は生きている。そして、作っていく。諸君一人ひとりが核となり、歴史を歩んでいく。その求心力が、原動力が彼女なのだ。彼女は強い、この世界で一番強い。しかし……同じ人間だ。心無い一言で簡単に傷付くであろう、悲しむであろう。そんな彼女を守れるのは、私達大人ではなく、同じ目線で同じ時を生きる諸君だ。……長くなってしまって申し訳ない。ヤマトの、世界の平和を願い、諸君に託す。宜しく頼んだ。】
「って感じっす!」
「おっさん……ありがとう。」
「まぁ俺達にはこんなの関係ないけどな!ハルさんは何やってもハルさんだし。」
「うむ、我々の首領であり友達だからな。」
「あっ!こんな所にいた。もう、探しちゃったじゃない。」
「これでみんな揃ったな。やっぱりみんなといると幸せだな。」
「ふふっ、私も。」
「ホラ、支度して行くわよ。」
「えっ?どこに?」
「どこって……全校集会があるでしょ?」
「へー。」
「何話すんすかね。」
「行ってみよー♪」
……
……
「───で、あるからして───」
偉い先生の長い話を聞く。
これも日常だな。
「それでは、カウンセリングルームの新しい教師を紹介します。どうぞ。」
へー、カウンセリングルームか。
確かに急激に生活が変わってるもんな。
生徒のケアは必須だ。
「新しく入ります、リアリスフィリーでーす!宜しくお願いしまーす!」
「ブッ!!か、母さん!?」
「ハルー!学校では先生と呼ぶ様に!いいわねー!?」
騒がしくなりそうだな……




