世界最強の親子。
「我々人類は古くから二種類に別れていた。文明を築き、発展させてきた所謂文明人。そしてそれらに搾取される事を条件に文明を与えられてきた一般人。我々にとって当たり前の事である。しかし!ある少女が言った……この星に住む、同じ人間であると。何故区別するのか、と。文明人は与える側、そして一般人は与えられる側……本当にそうだろうか!?一般人が生産しなければ我々文明人は生きてはいけない!文明人が文明を与えなければ一般人は豊かに暮らす事が出来ない!どういう事か!?我々は平等である!そんな簡単な事さえ、我々は気が付かなかった。そんな簡単な事を、少女は教えてくれた…………我々ヤマト地区は連邦から離脱、そして独立する!真に平等で真に平和な……くだらぬ仕切りを取り同じ地球人として……手を取り合って生きていける世界を作る!連邦政府は我々すら知らぬ兵器とアンドロイドを使って攻めてくるであろう。しかし!こちらには世界最強の親子がいる。我々に様々な知識と技術を授けてくれた宇宙の民の血を継ぐ親子が。かつて政府はこの親子を引裂き娘は実験体にされた。しかし!いくつもの奇跡が重なって二人は今新たな人生を歩んでいる!彼女達は誰も恨まず、元凶である政府にでさえ優しく手を差し伸べてくれる!……我々は一体何をしている!我々は誰だ!?誇り高きヤマトだ!例え私の命が尽きるとも、世界は動き出す!我々の手で、新たな世界を作ろうではないか!!もう二度と!あの少女に涙を流させる訳にはいかない!!我々ヤマトは全ての移民を受け入れる!!共に戦い、共に豊かに暮らそうではないか!!立ち上がるのだ!人類よ!!!」
それは歴史的な演説となり、歴史的な日となった。
その日、ヤマト全体が、地球全体が歓声によって揺れた。
……
……
「ふぅ……」
「おっさん、良い演説だったぞ。」
「チェフカッコよかったわよー!」
「これから忙しくなるな。全く、貴様のせいだぞ?」
「でもなんで急にこんな事思いついたんだ?おっさん俺の事嫌いだろ?」
「そうなの!?チェフ!あなたね──」
「素直じゃない、貴様達に言われた言葉だ。その意味を深く考えた。この歳になると、この立場になると、引き返せない事が多い……この歳になるとこうして言い訳がましくなる。自分を正当化しようと……な。私は、私のした事は正しいと思っていた。そう思わなければ、私という存在が否定されてしまうからな。それが人間なんだ。」
「おっさん……話が長いぞ……?」
『せやせや!これだから年寄りは!』
「くっ……いいから聞け!貴様達を見ているとなぜそんなに楽しそうにしているのかと不思議に思っていた。では私は今、楽しくないのか?そう思い振り返ると、私の楽しい思い出は……リアさんやヒロさん、リエンさん達といた頃の思い出しか出てこないのだ。それが私の青春だった。みんなといれて……私は幸せだった。もし私があの時動いていれば……悔やんでも悔やみきれなかった。」
「チェフ……」
「政府側についた私はそれを肯定する為に幸せだったあの頃とは真逆の人間になった。幸か不幸か貴様達親子が私の前に現れた。その姿に……私の青春が重なるのは至極当然であった。素直になる、その言葉の真は……私は、私はもう二度と後悔したくない!だから決めたのだ、私は……リアさん、そしてハル、貴様を守る。それこそが、あの頃素直になれなかった私への脱却であり……私の、第二の青春なのだ。」
「おっさん……真面目な顔で青春とか言うなよ……プッ、笑っちゃうじゃん!」
「そうね……ふふっ、チェフったら。」
「なっ!なぜ貴様達親子は私が真面目にしているのに───」
「真面目すぎるんだよ。母さんが好きなだけだろ?それでいいじゃん。立派な理由だよ、好きな女の為に人生を賭けるって。」
「……」
「チェフ、今度はもう自分に嘘ついちゃダメよ?」
「よーし、じゃあ3人でアイス食べに行こうよ。俺が奢るからさ♪」
「こ、こんな大変な時に……無理に決まってるだろ!」
「大変な時だからだろ?ほら、帽子とメガネすれば……うん、冴えないおっさんだよ。」
「うん、いい感じで冴えないわね!」
「……二人の後ろを歩く、それでいいだろう?」
「よーし!ちゃんとついてこいよ?」
「ハル、腕組んでいこ♪」
「母さんくっつきすぎ……」
「いいじゃない、好きなんだもん♪」
「……俺も母さん大好き。」
「きゃーん♪このまま夜の街に消えましょーう!」
「まだ昼間だよ……」
「…私は忘れられてないだろうか。」
『いなくても結構ですよ?』
「……」
『うそうそ♪』
「くっ……」




