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生中継。


「今日は一日ゆっくりしてなさい、いいわね?」


 どこかへ出かけようとしたがラウラに釘を刺される。


「でもさ、せっかくの休みだし……」


「……今世界中が大混乱なのよ?アンドロイド、宇宙の民、腐った政府。全部明るみに出たんだから……あなたが心配なの。もしかしたら、心無い言葉で傷付いてしまうかもしれない。だから、今はじっとしてて?」


「ラウラ……なんか大切にされるっていいな。幸せだ。」


「今までずっと守ってきてくれたんだから、少しは守られなさい。」


「はーい。」


 仕方がないのでベッドでゴロゴロする。


 ガチャッ


「そうそう、言い忘れてたんだけど……」


「ん?どうした?」


「好きよ、ハル。」


 ガチャ


「……それは反則でしょう……」


 あそこまで言われたら出掛ける訳には行かないよな。

 ……ニュースでも見るか。


「サクラ、ニュースの一覧見せて。」


『はいはーい。今朝はこんな感じですね。』


「んー、なになに……政府は宇宙人だった!衝撃の嘘と本当、ハルるんの涙の訳、今明かされる人類史……どれもこれも胡散臭いな。」


『昨日から政府に批判的な記事が多いんです。今までは規制統制されていたんですが、追いつかない程批判が激しいようですね。』


「他には……真実、ハルるんは作られた存在、アンドロイドハルるん、政府と裏で繋がるハルるん、あの涙は全て嘘……へー、どんな内容なのかな……」


『ハル様、あまり見ない方が……』


「ふんふん……へー……」


 ガチャッ!


「もうっ!見ちゃダメでしょ!全部デタラメなんだから!」


「ラウラ……でも俺───」


「あなたが悪く言われるのが嫌なのよ。あなた程この世界を愛してる人はいないんだから……だからニュースを見るたびに腹が立つのよ!!好き勝手言って……」


「……いいよ、好き勝手言わせれば。」


「でも……」


「ラウラは俺の事を理解してくれてるんだろ?じゃあいいよ、それで。それで充分。」


「……隣座ってもいいかしら?」


「うん、おいで。」


「……手、繋いでいい?」


 そう言ってラウラは俺の手を握った。

 お互い無言だけれど、お互いの気持ちはそれで充分伝わって。


 ガチャッ!


「ハルちゃん!今シェーナさんが!見て!」


 慌ただしく入ってきたルイは俺にニュースを見るよう促してくる。

 緊急会見……?


【では謝罪の意思は無いという事ですね?】


【ありません。だってハルるん悪くないし、あの子が何か悪い事しました?】


【しかしながら様々な記事が出まわっています。ある記事によるとシェーナ氏も加担していたと書いてありますが。】


【裏取ってあるの?ソレ。憶測でやめて頂戴。】


【シェーナ氏がプロデュースしている限りそれなりの覚悟が必要かと思われますが。】


【結構。】


【そこまで開き直られるとこの会見の意味が分からないのですが。】


【えらーい人にやれって言われたのよ。勿論えらーい人側の良い様に改変しろって言われたけど。知ったこっちゃないわね。】


【…………】


【もういいわね?……ハルるん、聞いてる?何があっても私はあなたの味方よ。長年こういう仕事をしてると分かることがあるの。あなたの涙、あれは嘘なんかじゃない。あの涙にどれほどの人の心が動かされたか、分かる?あんなの演技じゃ出来ないわよ。あなたが何か強い意志を持って表舞台に出てきたのを知ってる。応援してるから、最後まで頑張って。それに明日の仕事、遅刻しちゃダメよ?じゃーね♪】


 ───


「シェーナ……」


「あの人、ちょっと心配ね。」


『ハル様。』


「うん、行ってくるよ。」


 シュンッ


 ……


 ……


「ふぅ……あら、アナタ達、何の用?」


「約束と違うようだが……なんだ!あの会見は!!」


「何って……私のスピーチだけど?」


「ふざけた奴だ……覚悟は出来てるんだろうな?」


「あらやだ、女の子に寄って集って。」


「貴様は男だろう!!やれっ!」


「ハルるん……頑張ってね。」


 ガキンッ!!!


「っ…………えっ?」


「きっ、貴様は!?」


「大丈夫か?シェーナ。」


「……ホント、あなたって何やっても絵になるのね……」


「ごめんなシェーナ、俺のせいで……」


「いいのよ、私が惚れ込んだ女優なんですから、最後まで面倒を見るのが筋ってもんでしょ?」


「ははっ、ありがとう。さ、おっさん達はどっか行ってくれ。それとも俺に敵うと思ってんの?」


「くっ……覚えておけ!」


 そう言い残し暴漢共は去っていった。


「シェーナ、立てる?」


「あらあら、ちょっと腰を抜かしちゃったみたい。ジョロちゃん、上手く撮れたかしら。」


「バッチリネ!!生中継大成功ヨ!」


 見るとジョロさんが物影に隠れ撮影している。


「ジョロさん?生中継ってどういう事……?」


 ガチャッ


「彼女に協力して貰ったのだ。」


 部屋に入ってきたのはまさかのチェフビーオストだった。


「おっさん……何でここに?」 


「彼女はヤマト地区で保護する。本店もそこに移すといい。スタッフも全員な。」


「あんな会見したんだから、後に私が殺されるって誰でも分かるでしょ?だからそれを利用したのよ。会見前にこの人に唆されてね♪」


「まもなく我々ヤマトは連邦から独立する。つまり全世界が我々の敵という訳だ。貴様は好まんだろうがこれは戦争だ。やるからには必ず勝たねばならん!貴様のおかげで世論は確実に我々ヤマト側だ。癪だが……貴様の目指す世界とやら、我々に示してみろ。全力でサポートする。」


「おっさん……」


 少しずつ、少しずつ積み上げてきた物が、少しずつ形になっていく。

 多くの人の手を借りて、それは大きくなっていく。

 俺のやってきた事は……間違いじゃなかったんだな。

 …………


「……!ふっ、泣くのはまだ早いだろ?それに言っただろう、貴様には──」


「分かってるよ、分かってる……嬉しくてつい……」


「ハルるん……」


「……よーし、ハルちゃんスマイル全開で……テッペンとるぞ!」 


『宣戦布告の時間だー!!』



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