我が子。
「リアリスフィリー……」
「ふっふっ、長ったらしい名前じゃろ?」
「……俺、その名前どこかで……」
「っ!?……もしかして……しかし……」
「どうしました?」
「……話すと長くなる。そうね、ついでだからあなたのお友達も連れてきなさい。あなた置いてきたじゃろ?」
「あっ!やべー忘れてた……ちょっと連れてきます!」
シュンッ
「……あの子の中で生き続けてるのね……よかった……」
シュンッ
「連れてきました。」
「どこよここ。」
「わー、木のお家だ。」
「!……ここは……」
「みんないらっしゃい。私はリアリスフィリー。リアと呼んでくれれば結構。」
「リアリスフィリー……リア……!あなたは……」
「ふっふっ、そうか、この子がリエンの娘かい。彼も役目は果たしたようじゃな……うん、リエンの瞳そっくりじゃ。実力も申し分ない。」
「あっ、このお婆ちゃんセンターで見た人だ!」
「お嬢さんも元気そうで何より。その指輪が役に立ったじゃろ?」
「……ふふっ、はい。」
「そこの目が見えぬ子よ、そんなに恐れる事はない。ここは特殊な空間でな、余所者が来ぬよう仕掛けがしてある。気味の悪い気配がするじゃろうが安心せぇ。」
「……」
「さて、では昔話でも始めようか。私はヒロの妻でな、大恋愛の末結婚した。」
「えっ!ヒロ結婚してたの!?聞いてないぞ?っていうかサクラ知ってたの?」
『えぇ……時期が来れば知る真実もあるかと思いまして……』
「?」
「……なぜ大恋愛かというとな、私はこの星の人間と宇宙の民との間に生まれた娘だったからじゃ。」
「宇宙の民……あの月みたいなやつを送りつけてきた奴らか。」
「そう、半ば実験的に生み出されたのが私じゃ。宇宙の民はの──」
シュンッ
「なっ……これって……」
「ハルちゃんのテレポートと一緒だ……」
シュンッ
「こんな事が出来るのじゃ、この星の連中は挙って私を欲しがった……正確には私の遺伝子じゃが。」
同じ色の髪……テレポート……
「そこで反発したのが当時政府の中で台頭してきた研究者のヒロだった。同じ人間なんだから自由にしてやってくれ、と。」
「まるで誰かさんみたいね。」
「そうか?」
「……彼の真っ直ぐな瞳に恋するのは時間の問題じゃった。彼の悪知恵と私のテレポートを使ってよく逢引をしてな、その内に私の中に彼との子供が宿った。」
「……」
「流石に身重な私に政府は手を出せず、平和な日々が過ぎていった……気がつけば子供は2歳になった。そこで……宇宙の民からコンタクトがあった。ある技術を教えたいと。」
「技術?」
「……アンドロイド、その技術を継承しにやってきた。政府は尻尾を振って喜んでおった。しかし、その技術はなかなか再現出来なかった……ある研究者がある発見をするまでは。」
「……ヒロ博士ね。」
「そう、ヒロが発見してしまった。1から肉体を作るのではなく、すでにある肉体を軸に作れば……魂の複雑な構造も拒否反応なく作れると。そこで政府は気づいてしまった。宇宙の民の血が流れるアンドロイドを作れば……私の子供は恰好の材料じゃった。」
「なっ、そんな……」
「……ようやく私の名前が呼べるようになった我が子は政府によって実験体にされ……そして成功した。程なくしてそのアンドロイドはヒロ達の手に寄って盗まれる事になり……あとは知っての通りじゃ。」
「じゃあこの体は……ヒロとリアの……」
「その証拠にテレポートが使えるじゃろ?それは宇宙の民の証。」
『そしてヒロ様はご息女の面影を残しつつ、その身体にあった顔を作ったんです。叶わなかった思いを少しでも……』
「……そっか、だから俺リアの名前、なんとなく知ってたのか。俺の中には……名前はなんて言うのかな。」
「……もういいのじゃよ。その体は……ハル、あなたのモノだから。」
「……」
「ハルちゃん……」
シュンッ
「なっ、なんだね急に……君達別荘に行ったんじゃ……リア……!?」
「なんじゃね、こんなむさ苦しい所に連れてきよって。相変わらずじゃの、このハゲ爺。」
「リア……元気そうで良かったよ。」
「……あのさ、二人ともいいかな。」
「……リア、この子に話したのか?」
「えぇ。何か文句でも?」
「……ございません。」
「俺さ、2歳くらいの時に親を両方亡くしちゃったんだ。だから親っていうのがよく分かんなくて……二人の子供とは全く逆なんだよな……でもさ、だから……その……」
「……いいんだよ、君は君なんだ。私達に気を使わなくても──」
「俺の中で何かが反応してるんだ。感じた事のない気持ちで……温かいっていうか……むずむずするっていうか……よく分かんないんだけど……」
「ハル……」
「と、、とっ、父さん、母さん……二人は俺の……この世界での家族……じゃ駄目かな?ははっ……」
言いなれない言葉に照れてしまい下を向いていると、二人が同時に抱きしめてくれた。
「……良いに決まっているだろう?私達は……大切な家族だ。」
「……うん。」
俺の体の中で何かが反応している。
きっと二人の……
「あなたは私の子供よ、ハル。あなたがこの世界に……この体に来てくれたのは偶然かもしれない。だからこそ……そういうの、何ていうか知ってる?」
「えっ……なんだろう……」
「運命っていうの。この世界に来てくれてありがとう、ハル。」
「か、母さん……」
「ふっふっ、我が子はやっぱり可愛いわね。この年まで生きててよかったわ。」
「……あの時から、少しは時が動いたかな。」
「何言っとる、アンタが余計な事発見しなければこんな事にはならんかった。このハゲ。」
「うっ……」
「ぐすん……みんな良かったね……」
「……あの人の両親って事は、将来的には私達の義理の両親になるのよね。」
「そっか……じゃあ私達も呼んでみよっか!パパー!ママー!」
「お義父様、お義母様。」
「Daddy。Mammy。」
「あらあら子供がこんなにいっぺんに増えて。ふっふっ、若返りでもしないとかしらの。」
『引っ越しは当分先になりそうですね!』
「私はここに引っ越してこようかね。」
「リア、これ以上人が増えると……」
「あなたは研究所で寝なさい。さぁお片付けの時間じゃ。みんなでやれば早く終わるじゃろ。」
「よーし頑張っちゃうぞー!」
「ヒロ博士、邪魔なので研究所に籠もってて下さい。」
「あれ?お義父様じゃなかったの!?」
「ほれ邪魔じゃ、このハゲ。」
「どんどん肩身が狭くなっていく……」
「ははっ、みんな一緒になれて良かったな父さん。」
「……そうだな、悪くないな。」
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