表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/100

距離感。


 距離感っていうのは人によって違う。

 それこそ日によっても。

 ある日突然近くなったり、その逆も然り。



「ほら、寝癖付きっぱなしじゃない……ハンカチ持った?まだ眠たい?もう、じゃあ一緒に行ってあげるから。ヒロ博士、今日は研究休みます。マクシル、家の事頼んだわよ。」


「行ってきまーす……zzz」


 シュンッ


「……なんだか母親みたいだね、彼女。」


「初めて名前呼ばれた。」


 ……


 ……


「ふー、終わった終わったー。」


『今日もリテイク無しでしたね!』


「お疲れ様、はい紅茶。」


「お、ありが……」


「……?どうしたの?」


『蟻が食べたいんですね?ラウラ様、蟻塚ごと持ってきて下さい!』


「そんな訳ないでしょ!もう……熱でもあるの?疲れた?」


 ラウラがペタペタと顔を触ってくる。

 おでこで熱を確認してくれる。

 

「ラウラ……」


 思わずその豊潤な胸に顔をうずめてしまった。

 女の子特有のいい匂いがする。


「あらあら、甘えん坊さんね。」


『あらぁ〜いいシチュエーション……ちょっとカメラ回しときますね。』


 このむずむずとした気持ちは一体何なんだろう。

 それなりに生きてきた人生だが、感じたことがない。


「……ここじゃ落ち着かないんじゃない?どこか静かな所にでも──」


 シュンッ


「……よしよし、この部屋はどこかしら?」


「第4地域の別荘。お金が貯まったから買ったんだよ。緑に囲まれてて落ち着くし……全部終わったらここで喫茶店でもしようかと思ってて……」


「ふふっ、あなたらしいわね……私のそこ、居心地良いかしら?」


「うん……良い。」


 顔が吸い付いて離れない。

 魔力だな……

 ラウラはずっと頭を撫でてくれている。


「……この世界の事、あなたに全部押し付けちゃってごめんなさい。あなただってやりたい事たくさんあるものね。」


「いや……それがこの世界にいる理由だから──」


 ふと不安になる。

 俺が存在する理由。

 全てを解決した時、俺は……


「……もし、もし二択を迫られる事になったら……絶対にあなただけで決めちゃダメ。いい?」


「……でも──」


「でもじゃない。あなたがいなくなったら……私、嫌だから。」


 ラウラが強く抱きしめる。

 

「私もあなたも……やらなきゃいけない大切な事がある、あるんだけど……そんな事どうでもよくなっちゃうくらいあなたが好き。今も甘えてくるあなたが凄く愛おしい。」


 そう言ってラウラはキスをしてきた。

 

「私があなたに言った事、覚えてる?」


「……いっぱいあるからな、どれだろう。」


「もう……あなたとなら幾つになっても幸せ、それに私が動けなくなるまであなたに料理を作ってあげる、って。」


「……プロポーズみたいだな。」


「そういうつもりで言ったのよ……どういう意味だか分かるかしら?」


「……こういう意味だろ?」


 ラウラを押し倒してそのまま深いキスをする。

 お互いを確認するように、何回も。


 距離感っていうのは人によって違う。

 気付かないうちにお互いが近づいていて。

 いつしかそれは一つに重なる。


 もっと深く交われば、この胸のむずむずとした正体は分かるのだろうか。


「キス、好きなのね。」


「ご、ごめん……」


「ふふ、もっと来て。でも何か言う事あるんじゃない?」


「……いただきます?」


「もう……あなたの気持ち、まだ聞いてないんだけど?」


「す……」


「す?」


「……愛してるよ。」


「……」


「なんか言ってよ、恥ずかしい。」


「ふふっ……召し上がれ。」


 確かに……どうでもよくなってしまう程溢れ出る感情。

 今はただ、重なり合った距離感を味わって……

 世界平和はその後で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script</body></html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ