メガネ。
「あれ、あの人は?」
「昨日の夜から仕事。お昼には帰ってくるって。」
「そう……大変ね。」
「アナタも。アンドロイドの研究と家事、大変。」
「私はいいのよ、これが成すべき事……っていうかあの人に任せちゃってるから……」
「猫女、たまには休んだほうがいい。」
「誰が猫女ですって?アナタこそ犬娘じゃない。」
「私はハルの忠実なる名犬。」
「自分で名犬って言っちゃうのね……」
「ふふ。」
「……ふふっ、おかしな子。一緒にクッキーでも作る?」
「作る。でもルイが……」
「あの子にはあの子の成すべき事があるんじゃないかしら。それに私はあの人の為に作りたいから作る、それだけよ。」
「猫女、変わった。」
「……あの人、甘えるのすごく下手だから。これくらいしないと分からないのよ。」
「分かる。それに強がるけどメンタル弱い。すぐ折れる。」
「そうそう、でも弱ってるあの人も可愛いっていうか守ってあげたいっていうか……」
「……」
「って何言わせるのよ!ニヤニヤしないで頂戴。」
「ハルの事、好きなんだ。」
「……アナタだってそうでしょ?」
「私が一番好き。負けない。私が好きな人を好きになってくれるのは嬉しい。」
「……案外大人なのね。」
シュンッ
「いやー、撮り直しが無かったから早く終わったよ。お、なんか作るの?手伝うよ。」
「いいから、あなたは──」
「猫女がハルとどこか行きたいって。」
「そう?じゃあその辺出歩くか。」
「ちょっと……」
「猫女もたまには息抜きする。」
「……じゃあ行ってくるわ。」
……
……
「ふぁあ……」
「あなた寝てないんでしょ?大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。でもちょっとゆっくりしたいかな……そうだ、手繋いで。」
「……こう?」
シュンッ
「……凄い、綺麗な所ね。」
「森の中の湖、たまたま見つけたんだ。ここなら誰もこないし。そこの木陰にでも座ろうよ。」
「……静かで良い所ね。」
「お気に入りの場所なんだ。撮影でサンドイッチ貰ったから……ほら、ピクニック。」
「ふふ、良いわね。お茶持ってくれば良かったわ。」
「あぁ……そうだな……zzz」
「……もう、お腹出てるわよ。」
「zzz」
「……こんな事しててもいいのかしら。反乱軍のみんなはどう思うのか……私にはこの空間は似合わないわね……」
「……そんな事ない。」
「あなた起きてたの?」
「ちょっと膝枕いい?……ふぅ……落ち着くな、ここは。」
「そうね、良い場所ね。」
「……違うよ、ラウラの膝の上だよ……」
「……あなた寝ぼけてるでしょ。」
「……zzz」
「もう……可愛い人ね。好きよ、誰よりも。」
!!!!ザバンッ!!!!
「湖に何か降ってきた?何なの!?」
『アンドロイドです!ハル様!!ハル様起きて下さい!!』
「zzz」
『あーっもう……ハル様ーーー!!』
「zzz」
「起きるまで何とかするしかなそうね。っていうかあんなアンドロイドいたかしら……」
『話は後です!来ますよ!』
「早い……!あの人は大丈夫なの!?」
『睡眠時はオートガードされてます。ハル様の周りには強力な防壁が発動されているので問題ありません。』
「そう……ってアイツ素手で木をなぎ倒してるわ!あんなの食らったら……」
『とにかく時間を稼いで下さい。ハル様ー!起きないと攫われちゃいますよー!』
「zzz……」
「ダメね……もう、しっかりして頂戴!」
『仕方ないですね。ラウラ様、胸ポケットのメガネを付けて下さい。』
「メガネ?……これでいい?」
『これはお父様、リエン様のメガネです。ラウラ様に託されたこのメガネ、私と同期可能です。リエン様はこのような事態を想定していたのでしょう。』
「お父様……私の事を……」
『一時的に力をお貸しします!因みに私はハル様と常に同期しているのでハル様の力も少しながらお貸し出来ます。準備はいいですか!?』
「……いいわ、最高の気分よ。」
『よっしゃー!ラウちゃんサクちゃんがお相手致すっ!!』
「あの人、このテンションによくついて行けるわね……」




