漬物石。
朝起きて分かる事がある。
今日がどんな一日なのか。
とても良い日、何事もなく終わる日、そして嫌な日。
この世界に来てから幾度となく体感してきた、直感。
そして今目が覚めて分かる事がある。
今日は嫌な日だ。
「おはよう、随分険しい顔をしてるけど、どしたの?」
コーヒーを飲みながらヒロが聞いてくる。
「今日は良くないことが起きそうでさ。妙な胸騒ぎがするんだ。」
「そうか……いっそ学校休んじゃったら?大体物事の発端てキミでしょ?キミがいなきゃ平和に終わるさ。」
人を平行世界に連れてきておいて、とんでもない事言うな……
「ダメよ、今日は中期実技試験があるわ。」
例の件からラウラは家に泊まり込みで来てくれている。
血の繋がった身内はもういないらしく、長い事一人暮らしをしていたそうだ。
まるで家族が一人増えたみたい。
「そっか今日は実技試験か。今回は手加減する必要ないもんな、全力が出せる。」
うーん……でもなんか嫌な予感。
「とにかく早くご飯食べなさい?支度も済ませちゃって頂戴。制服はそこに畳んであるから、髪の毛もちゃんと直すのよ?」
……母親か。
ちゃちゃっと身支度を済ます。
都度ラウラに怒られる。
「じゃ、行ってくるよ。」
「ラウラ、サクラ、その子の事頼むね。」
『はいはーい!』
「相変わらず軽いわね、あなた。」
『ふん!重たいより軽い方がいいんです!この漬物石!』
「なによ漬物石って。」
『そんな事も知らないんですか?へっ!』
「なんですって!このポンコツ!」
『キーー!ハル様ー!この石女がイジメるー!』
「朝から元気だな……」
……
……
シュンッ
「あら?ここ学校の手前じゃない。何故直接入らないの?」
「俺の感は結構当てになるんだ。ほら、学校の方から重っ苦しい気配がするだろ?」
「……そうね、これって……」
『ほら!重いですって!』
「あなたね……この人の初めて、私が貰っちゃうわよ?」
『ハル様ー!この女がー。』
「自分から吹っかけておいて助けを求めるな……」
しかしこの雰囲気はなんだろう。
学校につけば分かるかな。
「……!これって……でもなんで?」
「ん?どうした?」
『学校全域にアンチイクス装置が作用されてます。』
「アンチイクス……力を使えなくさせてるって事か?」
「そうよ、でも今日は実技試験のはず。こんな事する必要が分からないわ。」
「……面白い。早速向こうから喧嘩を売ってきた訳か。サクラ、俺の力も使えなくなるのかな?」
『ハル様なら問題ありません。売られた喧嘩、買っちゃいましょう!』
「他の生徒に迷惑かけないでよ?」
「自分の心配をしろ。なんか嫌な予感がするんだ。何かあったらすぐ俺に連絡入れろ?分かったな?」
「え、えぇ……」
「ちょっと手を出してみ?」
「?こうかしら。」
出された手を握り俺の力を流し込む。
前期試験の時にルイにやった奴だ。
「!凄い……こんなに力が……これならこの中でも使えそうね。」
「これで自分の身を守って……それから何かあったら俺の代わりに動いてくれ。」
「アナタにしては弱気ね。」
「馬鹿言うな、お前が大切なんだ。」
「……はい。」
「よし!じゃあ行くぞ。」
『やったるでー!』
「本当、軽いわね……」




