猫の皮。
「もうちょっとボタンをしっかりしたら?ほら、シャツもよれよれじゃない。」
「えっ?あぁそうかな?」
「しっかりして頂戴。」
「……」
────
「あら、ご飯粒ついてるわよ?……はい、取れた。まったく子供じゃないんだから。」
「さんきゅー。」
「……」
────
「ほら、支度できた?帰るわよ。」
「おう。じゃ、みんなまた明日な!」
シュンッ
「最近あの二人仲が良いっすね。」
「……通い妻。」
「いいなー、なんか置いてけぼり感が……」
「お二人ともうかうかしてらんないっすね!」
「私は平気。問題はルイ。」
「えっ?なんでなんで?」
「あー確かにそうかもしれないっすね。」
「えっ?えっ?」
「黒髪は人気が出ないのが筋。」
「定石っすね。」
「髪!?でも私ハルちゃんに死ぬまで一緒って言われたよ!?」
「ハルは優しくてどこか抜けてるから。きっとみんなと一緒にいるつもり。」
「流石主役は違うっすね。」
「どうすれば良いのかな?髪の毛染めれば良いのかな?」
「それじゃ意味ない。ルイのアイデンティティが失われる。」
「確かに、ただ優しいだけの女になっちゃうっすからね。キャラが立たないっす。」
「どうしよう……私って髪の毛の色だけが取り柄なのかな……」
……
「平和だな。」
「うむ、平和だ。」
……
……
「ただいまー。」
「おかえり。さて、では今日も始めるとしよう。」
約束通りラウラにはヒロの助手をしてもらっている。
ラウラの父からの記憶と彼女自身の能力が高いため、数日でヒロには欠かせない存在となった。
「しかしリエンの娘とこうして出会えるとは……人生何が起こるか分からないものだ。」
「父の記憶を辿るとヒロ博士がよく出てきます。父にとって博士は最も信頼できる友人だったと思います。」
「……そうだね。リエンは親友だ。彼から託された希望はしっかりと繋げた。後は──」
「ヒロー!このアイロンみたいなやつどうやって使うんだ?制服焦げちゃったよ。」
「……キミね、脱いだなら上着くらい着たら?」
「えっ?あ、忘れてた。失敬失敬。」
……
「……繋げられたと信じたいね。」
……
……
「おーっす、みんなおはよう!」
「ハルさんおはようございまっす!今日も飼い猫連れ回してるんすね。」
「飼い猫?あぁ、可愛いだろ俺の猫。」
「蹴り殺すわよ?」
「冗談っすよ、冗談。」
「駄目だろーそんな乱暴なこと言っちゃ。分かったか?にゃんとか言ってみろ。」
「にゃん……」
「可愛いっすね……」
「ハルちゃん、私って何か取り柄があるのかな?髪の毛だけなのかな?」
「髪の毛?何の話だ?」
「二人、お揃いのヒモつけてる。」
「あー、これはラウラが欲しいっていうからさ。切れると願い事が叶うんだって。」
「会長も乙女なんすね!」
「殺されたいの?」
「ほら、優しくしなきゃ駄目だろ?」
「にゃん……」
『この女!猫の皮を被っている狼です!ハル様、私こそが飼い猫に相応しいですよ!それこそ毎日発情を……』
「なんの話だ……」
「賑やかっすね!」
「髪の毛何色がいいのかな?」
「にゃん……」
「カオス。」
……
「平和だな。」
「うむ、平和だ。」




