誇り。
「じゃあ、また後でね。アナタも気をつけて。」
ラウラと分かれ教室に向かう。
「……ちょっと調べるか。」
敷地内全域をサーチする。
流石に生徒の数が多い。
「どうだ?サクラ。」
『ヤマト地区の支配者と幹部、それに隠密部隊が数名、あとは……アンドロイドが6体いますね。』
「豪華な面子だな。っていうかアンドロイドまで引っ張り出してるのか。」
『今は使われていない旧式のアンドロイドですね。今日の為にわざわざ稼働させたのでしょう。』
「……前に見た銃みたいな奴ってイクスを使ってるんだよな?」
『はい、ですのでこの状況下では使われないかと思われます。』
「そうか……とりあえず様子見だな。」
……
……
「ハルちゃんおはよー!いよいよ試験だね!今回は自信あるんだー。」
「おはよ。良かった、ルイは頑張り屋だから大丈夫だよ。」
そこへ担任のねーちゃん先生が入ってくる。
「はーい、とっとと着替えてドームに集合だよー。あっ、ハルさんは別会場でやるみたいだから。」
別会場……何となく分かってきた。
「一緒がよかったなー。ハルちゃんも……ふふっ、程々にね。」
分かってらっしゃる。
でも今日はそういう訳にはいきそうもないな。
……
……
「アンチイクスが働いてるのにみんなどうやって試験やるんだろうな。」
『恐らくはトラブルか何かを装って時間を引き伸ばし、その間にハル様とドンパチやるんじゃないでしょうか。』
“ピピピッ”
端末に連絡が入る。
相手は……ゲスだ。
「こちら地球防衛軍ハルるん、どうぞー。」
《ハルさんふざけてる場合じゃないっすよ!今試験が停止状態で原因がアンチイクスが働いてるって理由なんすけど……俺らBTCだけ呼び出し食らってるんすよ。なんかおかしくないっすか?嫌な気配ビンビンっす。》
呼び出し……
待てよ、力が使えないって事は……
「いいかゲス、よく聞け?今すぐ走ってマクシルの所に行ってくれ。場所は……ドームの西側だ。」
《了解っす!ハルさんは?》
「俺か?俺は──」
呼び出しを食らった場所についた。
ヴァンの競技用会場だ。
人影が6つ。
この雰囲気は……アンドロイドだ。
防壁で守られた最上階の席には何人もの人がいる。
あれがヤマト地区の親玉……
「俺はちょっと挨拶しないといけないから……俺が来るまで頑張れるか?」
《?よくわかんないっすけど勿論っす。》
「それとな……」
《なんすか?》
「頼んだぞ。」
《!……了解っす!!》
ラウラは上手くやってくれるだろうか。
……まぁ俺が早く片付ければ良い話だ。
「全く、人の学園生活を邪魔しやがって……アイツらも自我が無いんだよな?」
『ありません。彼らの為にも……』
「……未熟だな俺は。せめて一撃で。」
『ハル様……私も一緒にいますから。どんな時でも離れません。その辛さ、少しでも私に分けてください。』
「ありがとう、ハニー。愛してるよ。」
『フッフッフーーー♪↑↑↑ダーリン、やっちゃって下さい!』
一撃だ。
見てろよ親玉、お前らが相手にする奴を。
「フルパワーハルちゃん……ブラストッ!!!」
俺の手から放たれたエネルギー波は一瞬にして奴らに到着する。
逃げる間もなく巨大な光に包まれ跡形もなく蒸発した。
「……ごめんな、みんな。」
『大丈夫です、ハル様のその思いは必ず届きますよ。』
「……だと良いな。さて親玉は?」
見ると口をあんぐりと開け目をまん丸にしている。
ギャグ漫画でしか見たことないぞ、あんな顔は。
どれ、挨拶するか。
シュンッ
奴らの目の前にテレポートする。
「よう、楽しんでもらえたか?」
「なっ……何故だ?アンチイクス装置が働いているはず……」
「そんな機械でどうにかなると思ったの?ちょっと甘いんじゃない?」
「……貴様は何が目的だ!何をしたい!?」
「何にもしたくないよ。争うつもりもないし。」
「ふざけた事を吐かす。貴様がいるだけでこの世界の秩序が崩壊するのだぞ!」
「自分達が作っておいて何言ってんだよ。なぁ?」
『そうだそうだー!』
「なっ……では何故貴様はこうして表舞台に出てきた?目的があるはずだろう?!」
「青春を謳歌したいし。ついでに平行世界を守るけど。」
「ついでだと……」
「重っ苦しいんだよね。もっと楽しめない訳?」
『そうだそうだー!』
「……我々はこんな馬鹿を相手にしなければいけないのか……」
───同時刻 ドーム西───
「誰っすか、アンタは!」
「これ以上世界のパワーバランスを崩させる訳にはいかない。悪いが貴様達には死んでもらう。」
「ゲス……どうなってる?力が使えないからよく分からない。ハルは?」
「ハルさんは用事があるみたいっす。大丈夫、俺が必ず守るっすから。」
「後ろの女は利用価値がある。貴様はどこの犬だ?名を名乗れ。」
「ふん、アンタみたいな奴に名乗る名は無い!俺は誇り高き文明人だ!」
「ならばこちら側だろう!何故楯突く!!」
「アンタ達は……この世界を作ってきた俺達は今誇れるような姿をしてんのかよ!決めたんだ……俺は……文明人としての誇りを取り戻すって。」
「貴様の持っている血筋こそ!誇らしいではないか!」
「はっ、くだらない。それは与えられただけ、自分で何か成し遂げてる訳じゃない!」
「言っても無駄なようだな。死んで後悔……しろっ!」
「早っ……でもその程度なら!」
─────
「貴様の部下が戦っているぞ、行かなくていいのか?」
「煩いな、黙って見てろよ。」
『そうだそうだー!』
「なっ……」
─────
「この程度のスピードなら……いける!」
「なかなかやるじゃないか!だがこれなら……どうかなっ?」
「なっ!マクシル!逃げて!」
「えっ?何……?」
(間に合わない……ハルさん……助け──)
【それとな……頼んだぞ。】
「っ!───」
バチバチッ!
「なっ!?何故目の前に来れる!?」
「……分かんねぇけど、一つだけ分かる事がある。アンタは俺を倒せない。10数える、それまで好きなだけ殴ってみな。」
「舐めた真似を……死ねっ!!」
──────
「ハッハッハ!やってしまえ!ほら、助けにいかないのか!?薄情な奴だな貴様は。」
「アンタ、あんまり口開けない方がいいぞ?どんどん小物っぽくなってるし。」
『そうだそうだー!口が臭いぞー!』
「くっ……」
──────
「……どうした……もう終わりか……?」
「馬鹿な!なぜ倒れない!?」
「ゲス……どうなってるの?」
「なに……大丈夫っすよ……ハルさんに頼まれたんす。」
【頼んだぞ。】
「……ハルさんは……あの一言にたくさんの意味を込めて……言ったんす。マクシルだけじゃない……俺の事も、この世界の事も。」
バチバチッ バチバチッ
「なっ……アンチイクスが働いているはず……何故貴様の周りに電気が帯びている!?」
「アンタの拳には魂がない!そんな上っ面だけの拳で俺は倒せない!覚えおけ!俺の名は “アルフレイン” 誇り高き文明人だ!」




