役目。
「どうだーマクシル、温かいだろ。」
「うん、気持ち良い。」
約束してた風呂。
無事来れて良かった。
「あんな出来事があって貴女達よく普通に出来るわね……」
「だって約束したんだもん、なぁ?」
「うん。楽しみだった。」
「呆れた人達ね。」
「何があったの?」
ルイが不思議そうに聞いてきた。
一連の流れはルイがトイレに行っている間に終わらせたので、ルイは何も知らない。
「あぁ、ちょっとアトラクションで冷えてな。」
「スリル満点。」
「えーいいなぁ、今度は私も一緒だよ?」
カシャ カシャ カシャ
「……サクラ、いつまで撮ってんだよ。」
『永遠に……』
……
……
広い宴会場を借りた。
今日はここで大宴会である。
「それではみなさんカンパーイっす!」
ゲスの音頭でスタートする。
「それではハルさん挨拶お願いっす!」
普通逆だろ?いいのか?
「えーハルです。みんなのおかげで文化祭を優勝出来ました。仲間も増えました。一人ひとり、俺にとってかけがえのない宝物です。だから今日は凄い嬉しい……それに幸せだ。みんな、ありがとう。」
会場がしんみりしてしまう。
盛り上げなきゃいけないのにいかんな……
「悪いなゲス、なんかやって盛り上げてくれ。」
「……1番ゲス、会長のモノマネしまーす……“お待ちしてますニャン♪”」
会場が一斉に盛り上がる。
ゲスの後ろに阿修羅が見える。
「殺されたいようね。」
「これは盛り上げる為で……ハルさーん助けてくださいっすー!」
すまん、ゲス……
「ハルさんこれ食べてください、それと飲み物を……」
「どけ、俺がハルさんを饗す。」
元オルシェインと元ヴィンスター、何かと対立してしまう。
「みんなで一緒に食べようぜ、な?ほら座れ、俺が注ぐから。」
結局みんな来てしまい広い会場を狭く使ってしまう。
「ハルちゃん人気だね、私も一緒に食べたいのに……」
「仕方ない、ハルはボス。」
「はースッキリしたわ。良い蹴り心地だった。」
シュンッ
「やっぱりここの居心地は良いなー。」
「ハルちゃん!はい、これ取り分けておいたよ、飲み物はこっちね。」
「さんきゅー、いやー楽しいな。ホント……」
……なんだろう、この焦燥感は。
何か問題が……いや、無いよな。
どこかスッキリとしない。
モヤモヤする……
「ハル、ハル?」
「あ、あぁ、ごめんどうした?」
見るとマクシルは何故か涙を流していた。
「マクシルどうした!?何かあったのか?」
「……」
何も言わずにマクシルが首を横に振る。
一体どうしたんだろう。
「ちょっと部屋に連れてくよ。」
シュンッ
……
「ほら、二人きりだよ。どうした?」
「ハルの心の中が見えて……」
「俺の心の中?」
「……ハル、こっち来て。」
言われた通りマクシルの横に座る。
マクシルは俺を抱きしめ頭を撫でてくれた。
「マクシル?それは俺の役目じゃ……」
「違う。私の役目。いいから目を閉じる。」
なんだか分からないが目を閉じた。
「ハル、ハルは遠い所から来た。ここはハルを知っている人が誰もいない世界。心の中は正直者。とても寂しがっている。そんな世界をハルは背負っている。とても大きくてとても多い。重たい、心が悲鳴を上げてる。ハルは優しい、出会った人皆んなを好きになる。ハルは皆んなを幸せにしたい。でもそれって大丈夫?心がそう言ってる。本当は不安。でもやらなきゃいけない。知らず知らずに心が疲れ切ってる。」
マクシルは部屋の電気を消した。
「ハル、ハルは強い。でも強いからって弱音を吐いちゃだめなんて決まりはない。私はいつだってハルの事考えてる。今は私に身を委ねて。」
マクシルは俺を抱きしめながら優しくキスをしてくれた。
なんだかとても安らいだ気持ちだ。
深い深い水の底にいるような……
自然と涙が出てくる。
「俺は……欲張りなんだ。全部拾ってあげたいしみんなを笑顔にしたい。でも分かり合えない人達がいるってのも理解してる……今俺がやってる事が正しいのかも分からない。たまに不安になるんだ……」
マクシルは何も言わずに聞いてくれる。
「でもみんながいるから頑張れるんだ。大丈夫、俺は──」
言い終わる前にマクシルに押し倒された。
「ハル、全然分かってない。」
マクシルの涙がポタポタと俺の顔に垂れてくる。
「初めて出来た……好きな人の心が磨り減っていくのを見るのが辛いの……」
「マクシル……」
マクシルはそのまま俺の胸へと顔を埋めた。
「……もうちょっと弾力が欲しい。」
「ごめんな、つるペタで……」
「私の方が有る、多分。」
「いや、そんなハズは……」
そのまま半回転する。
確かにそこには柔らかな弾力があった。
「ね?」
「認めたくないが……」
「ふふ、勝った。」
「……ははっ、参った。マクシルには敵わないよ。」
「当たり前。私が一番好きだから。」
「なんだか照れちゃうな。ありがとう。……よし、戻るか。」
「あと1分だけ。今だけは私のハルだから。」
それは短くて長い、甘いキスだった。




