ソレ。
今日バスに乗った辺りで気が付いた。
サクラが出てこない。
こういう時は面倒な事が起きるって事だ。
今日だけは、今回だけは駄目なんだ。
俺の……みんなの旅行を邪魔させない。
「ハル、気づいてるかもしれないけど、朝から誰かに見られてる。」
「今俺もそう考えてたよ。」
「でもハルにじゃない。あの猫女に張り付いてる。」
「ラウラに?」
「そろそろ来そう。どうする?」
「……サクラ、聞こえてるだろ?返事はいいからな。みんなで勝ち取った……かけがえのない思い出旅行なんだ。俺一人で隠密にやる。終わったら出て来い。風呂の写真でも撮らせてやるからさ。」
『……』
分かる。
俺の中で激しく反応している。
さて……どうするか。
もうすぐみんなで宿泊先に行く時間だ。
それまでには片付けたいな。
「ラウラ、こっちに来てくれ。」
「何かしら?」
「そこでバンザイしてくれ。ついでに欠伸も頼む。」
「えっ?何よ急に……」
「俺のお願いだ、頼むよラウラ。」
「?一回だけよ?」
そういいながらラウラは手を上にあげながら欠伸をした。
普段なかなか隙を見せないラウラの圧倒的死角。
必ず食い付いてくるはず。
「ハル、来る。」
小さな光の粒がラウラ目掛けて飛んできた。
一つ残らず手で弾く。
「なっ何事?」
「よぉ、こそこそ跡をつけてないで出てこいよ。俺が相手してやるからさ。」
建物の影から一人、姿を現した。
「よく気が付いたじゃないか。誰だい君は。」
「第2地域指定学校首席のハルだ。俺の学校の生徒に手を出すならまず俺から倒してみろ。」
「餓鬼が、殺されたいのか?」
「やってみろよ、オッサン。」
手招きする。
目の前の男は黒い服を着て顔を布で隠している。
声からして40歳くらいだろうか。
遠距離から光る飛礫を放ってくる。
デコピンで全て叩き落とす。
「遅すぎて欠伸が出るよ。」
こんな奴の為にサクラは隠れているのか?
他に理由があるはずだよな。
「おい、オッサンだけじゃないだろ?他に誰がいる?」
「何を言ってる?私以外に──」
その時空が光った。
あの時と一緒……これは──
爆音と共に目の前に何かが降ってきた。
オッサンは恐らくソレに潰されただろう。
「まーた面倒なやつが来たな。誰だお前。」
【目標排除確認。続いて目撃者を排除します。】




