猫。
「はーい、みんな端末にチケット入ってるっすか?夜までここで遊んでくっすからねー、じゃスタートっす!」
第6地域最大の遊園地。
見たことの無いアクティビティばかり。
ワクワクが止まらない。
「なぁあれなんだろう?乗っていい?」
「あれはね……あれっ?ハルちゃん?」
「もう並んでるっすね。」
「おーい!早く来いよー!」
「……あの人、人前で平気で大声出すっすね。羞恥心とか無いんすかね?」
「……前にね、私に言ってくれたの。“大切なのは自分がどうしたいか、どう思ってるか。だから周りの事なんか気にしなくて良い”って。」
「ハル理論っすね。」
「でも周りの人がどう思ってるか、とかきっとそんなの関係ないんだよね。ハルちゃんの言う通りだと思う……ハルちゃーーん!待っててー!」
「よーし、自分も大声出すっす!ふおおおぉおおおぉぉおおお!!!」
「ゲス、馬鹿。」
「……ふふっ、面白いのね貴方達。」
……
……
「なぁ今度はあれやろうよ!」
「ハルさんもう10個は乗ってるっすよ?ちょっと休憩を……」
「そうか……分かった……」
「あんなにションボリしてるハルちゃん見た事無いね……なんだか可愛い。」
「そうね、俯いてる彼女は珍しいわね。」
「……」
「ハル、私と行く。ほら並ぶ。」
「えっ?良いのか?」
「手繋ぐ。」
……
……
「マクシルは疲れてない?」
「平気、ハルといれるから。」
そう言うとマクシルは体を寄せてきた。
「最近ハル成分が足りない。ハル、忙しそう。ちょっと寂しい。」
「……ごめんな、なにせ体は一つだから。でもいつでもマクシルの事考えてるからな?」
「うん。」
段々と暗い空間になっていく。
マクシルの端末の光だけが輝いている。
これはなんのアクティビティなのかな。
「ハル、ちょっと屈んで。」
「ん?こう?」
ちょうどマクシルとおなじくらいの目線。
マクシルは全端末をシャットダウンさせる。
まさに暗闇だ。
「マクシル?」
「私と同じ世界、どう?」
そうか、何も見えない暗闇。
いつもマクシルがみている世界だ。
「……怖いな。でもマクシルがいるって分かると安心する。」
「そう、私には何も見えない。でも感じる事は出来る。ハルの匂い、声、温もり。ハルがいる、それだけで私は……」
マクシル……
なんだろう、この胸を締め付けられる気持ちは。
俺はそのままマクシルを引き寄せ抱きしめた。
「ハル?」
「ちょっとこうしてたい。ダメ?」
「ううん、私も。」
マクシルの髪の毛、体温、匂い、そして唇の感触。
「ハル、大好き。」
「あぁ……俺もだよ。」
正直その時何のアクティビティをしたかよく覚えていなかった。
ただマクシルと1つになれた気がして嬉しかった。
……
……
「おっ、二人が出てきたっすよ!」
「おーいハルちゃーん!」
「なんかマクシルがドヤ顔してるっすね。」
「ハルちゃんどうだった?」
「えっ?あぁ……柔らかかった。」
「不思議な感じだね。お昼ご飯食べよ?」
「そうだな、そうするか。」
「マクシルどうしたんすか?なんか嬉しそうっすね。」
「秘密。」
……
……
「マクシル、ハルさんにベッタリっすね。」
「そうね、なんだか赤ちゃんみたいね。」
「マクシルちゃん?ちょっと近いかな?」
「ふふ、ハル。」
頬を擦り寄せ抱きついてくる。
「可愛いな、マクシルは。よしよし。」
「なんか猫みたいっすね。」
「ハルちゃん私にも……」
「よしよし。」
「会長も猫得意っすよね?どうっすか?」
「蹴り殺すわよ?」
「ほらラウラもこっちこいよ。」
「……これでいいのかしら?」
「よしよし。」
「……ニャン。」
……
「愛おしいな、見ているだけで幸せになる。」
「そうだな、見守りたくなるな。」
「ふっ、だから言っただろう?」
「しかし男は寂しいっすねー。野郎だけで飯っすか?」
「それは言わない約束だろう……」




