↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/100

素直。


「ハルさんこのお菓子どうですか?」


「お、ありがとな。」


「いや、ハルさん俺が持ってきた方を食ってくれよ。」


「さんきゅー。」


「ハルさーん、お菓子持ってきたっすよ!」


「……そんなに食えるかー!」


 超大型のバスに乗って第6地域に向かっている。

 なにせ人数が60人近くいるからまとめるにも一苦労する。

 文化祭の後、ヴィンスター派だった連中はそのまま俺の所に居着いてる。

 今日は2泊3日の祝賀旅行だ。


「しかしハルさんよくこんな豪華なバス呼べましたね。」


「あぁ、運営委員会にお願いしたら追加予算くれてな。」


(絶対に揺すりましたね……)


「ハルさん、元ヴィンスターの連中は分かるんすけどなんでアイツもいるんですか?」


 そう言うゲスが指をさしている方向には会長ラウラが座っていた。


「功労者だし人数多いほうが楽しいだろ?」


「自分苦手っす……」


 会長がこちらに気づいた。

 ゲスを睨みつけている。


「ハルさん機嫌取ってきて下さいっす……」


 とりあえず会長の隣に座る。

 近寄りがたいのか周りにはマクシル以外誰もいない。


「楽しんでくれてる?」


「……これが楽しんでるように見えるのかしら?」


「はは……ほらお菓子いっぱい貰ったんだ、一緒に食べようよ。」


「いらないわ。」


「固いこと言わずに、はい、あーん。」


「……あーん。」


 照れくさそうにしながら口を開けお菓子を食べる。


「バスの中で食べるお菓子っていつもより美味しいよな。」


「……そうね。」


「ハル、あーん。」


 マクシルが隣に座り口を開けてきた。 


「はい、どうぞ。」


「美味しい。」


「なっ、美味しいよな。」


「ハルちゃん私もあーん。」


 ……


「うちの派閥は偏差値高いっすね。」


「うむ、皆可愛いからな。」


「しかしあれだな、付け入る隙が無いな。」


「そりゃハルさん相手っすから。俺らはこうやって見守ってるんすよ。」


「うむ、こう微笑ましくなるよな。」


「お前達、達観してるな……」


 第6地域、場所は俺達の世界でいうと九州地方になる。

 ヤマト地区最大の観光地。

 ワクワクするなー。


 途中休憩エリアに入る。


「よーし1時間散策していいぞー。ここに集合だからな。」


 会長だけつまらなそうにしていたので誘い出す。


「一緒にいこうよ、ホラ。」


「いいわよ私は……」


「いいから、来いっ。」


 そう言って強引に手を繋いで引っ張る。

 会長は強めに言うと素直になる癖がある。


「分かったから……手を……」


「手がどうした?」


「……恥ずかしいから……」


「なに言ってんだよ、ほらデートデート。」


「デート……」


 様々な屋台が並んでいる、観光客目当のスポットなのだろう。


「会長はこういう所来たことあるの?」


「ないわよ……その、手を離してくれないかしら……」


「嫌なの?」


「嫌じゃないわよ……」


 色々と買食いをする。

 すると会長がある店の前で立ち止まった。


「どうした?……ふーん、これ欲しいの?おっちゃん、2つ頂戴。」


「はいよ、切れたら願いが叶うからね。」


「だってさ、ほらお揃いだな。」


 この世界にもミサンガがあるんだな。

 こんなに文化が発達していても、こういったオカルトチックなのは変わらないのかな。


 ミサンガをつけた会長は少しだけ微笑んでいた。


「……ありがとう、大事にするわ。」


「どういたしまして。」


「ハルさーん、なにしてるんすかー?」


「おう会長とデートだ。」


「ハルさん!これ美味しいですよ!」


「いやいやハルさんこっちの方が美味いから食ってくれよ。」


「ハルちゃんあっちに可愛いお店あるよ!行こ?」



「……愛されてるのね、彼女は。」


「ハル、みんなを好きになってくれる。だからみんな好きになる。」


「不思議な人ね……」


「アナタも今日は素直になる。じゃないとハルが困る。」


「……そうね。」


「おーいマクシルと会長もこっち来なよ、一緒に行こうぜ。」


「今行く。ほら、アナタも来る。」


「……」


 会長が走って俺の前に来る。

 俺の目を見て動かない。


「ん?どうした?」


「……名前で呼んでちょうだい。アナタだけよ?他の人には呼ばせないから。」


「……ラウラ、ほらあっち行こうぜ。」


「自分も呼ぶっすーラウラー!!」


 その瞬間ラウラの回し蹴りがゲスにクリーンヒットする。

 身体強化を加えていたのかゲスは遥か彼方へと飛んでいった。


「ふん、気安く呼ばないで頂戴。」


 この件で俺以外誰もラウラと呼ぼうとはしなくなった。


 楽しい旅行の始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script</body></html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。