女優。
時刻は15時を回った。
お茶をするには丁度いい時間である。
客足は落ちる事なく進んでいた。
そこへ30人程の男共がやってきた。
奴等はイスや机を蹴飛ばしその場にいた客をどこかへと追いやってしまった。
俺が声をかけるより先に元オルシェイン部隊長が声をかけていた。
「なんなんだ、アンタ達は。他のお客様が迷惑しているだろう?やめてくれ。」
「何って俺達も客なんだけど?ホラ、饗せよ。」
「くっ……ご注文は如何──」
すると奴等は足蹴にしツバを吐き捨てた。
「水持ってこい、100人分な!3分以内だぞ?ハッハッハ!」
隊長は何も言わずに水を持ってくる。
「ハルさん、なんすかこの騒ぎ……あれってヴィンスターの連中じゃ……奴等邪魔しに来たな?」
騒ぎは立てたくない、となると対処のしようが無い。下手に動けば……
いや、関係ないな。
もっと大切な事があるよな。
「代表のハルです。水100人分ですね、今お持ちします。」
「ハルさん……ダメですよ……」
「馬鹿、お前達より大切な事があるか?」
シュンッ
「なっ、消えた?」
シュンッ
「ほら、100人分だ。味もついてるぞ。」
上空に巨大な水の塊。
海から持ってきた。
奴等の周りに防壁を張り上空から水を叩き落とす。
他の客には当たらない。
奴等は小さなプールの中でびしょ濡れだ。
「テメェ……こんな事して──」
「お客様だろうがなんだろうがな、俺の友達に手を出した奴は許さない。謝ってくれ。」
「誰がキサマ等なんぞに……」
シュンッ
「おかわりいる?」
「……」
もう1度落とす。
奴らの腰まで水が浸かっている。
シュンッ
「おかわりは?」
「……悪かったな。これでいいか?」
「うん、いいよ。いいよな?」
「ハルさんがよければ。」
水だけ元に戻して中に熱風を吹かせる。
メールクリオルスがやっていた炎の応用だ。
こっそり練習していたのが役に立った。
「どうなってんだこれ……」
「水かけて悪かったな、お詫びにケーキ食べてってくれよ。」
「は?何言ってんだ、なんで──」
隊長がケーキとコーヒーを持ってくる。
「問題発生って聞いて来たんだけど、何があったのかしら?」
「今は黙って見てるっす。」
「いいから食べてみろ。」
そのまま隊長が接客をする。
「ったくなんでこんなもんを……」
「どうだ?」
「……美味いよ。」
「ふっ、そうだろう。これはな、ハルさんの……そして俺の友達が徹夜して作った物だ。」
「何が友達だ、くだらない。」
「……哀れだな、貴様達は。」
「なっ……」
「貴様はボスの為に命を懸けれるか?死ねるか?」
「……」
「俺は死ねる。何故か分かるか?分かるまい。ハルさんは俺の為に命を懸けてくれる。俺達の為にいつも全力で向き合ってくれる。だから俺達もハルさんの為に全力でやる。それが仲間……友達。同じ目線で見てくれるボスなんて他にいるか?凄いだろ、ウチのボスは。」
「ふん……そんなもの……」
そろそろ俺の出番か。
「ま、今日の事はお互い水に流してさ、仲良くしようぜ?」
「……なんでアンタはそんなに馴れ馴れしいんだ。」
「なんでって……ダメ?」
「っ……いや、駄目じゃないが……」
「今人手が足りないんだよね、誰か30人くらい手伝ってくれないかなー……」
「チラチラ見るな……」
「あーあ、散らかったイスと机、誰か片付けてくれないかなー……」
「……分かったよ!やればいいんだろ!?お前らもいいな?」
「うっす……」
「良かった、ありがと♪」
「わ、分かったからもうこっち見ないでくれ……」
「何か今日のハルさん可愛いっすね。」
「そうね、らしくないっていうか……」
「ハルチャン、女、演じてるネ。相手が求めテル事を表現スル。立派な女優ダヨ。」
「ナルホド……恐ろしいっすね……」
……
……
日が徐々に暮れ始め、客足も落ち着き始めた。
相手は飲食店。これからも客が見込める。
ここでブーストしないと確実に負ける。
「ハルちゃん!みんな!ごめんねっ!」
そこにルイがやってきた。
これで揃った。
「よし!お前達、最後の仕上げだ。今からテッペン取りに行くぞ!姉さん、ルイ、会長、マクシル、これを着てくれ。」
「ちょっと……何よこの服……こんなの着れるわけ……」
「着るんだラウラ、お前の力が必要なんだ。」
「そっ……えっ……はい……」
「今度は男演じテルネ。」
「流石っすね……」
「サクラ、校舎全域のモニターをジャックしてジョロさんのカメラと繋げておいてくれ。」
『やっと私の出番ですね……やったるで!』
「ジョロさん、可愛く撮ってくれよ?」
「任せてネ!最高にエッチに撮るヨ!」
いざ決戦へ。




