こんな世界。
『さて、文化祭当日ですね!』
「いよいよだなー……結ぶのってこんな感じ?」
髪の毛がヒラヒラして困るので今日は後ろで結ぶ事にした。
『ハルタソカワユス。』
「……よし、じゃ行くか。」
……
……
「おはようございまーす。」
ルイが頑張って作ってくれたケーキやお菓子を俺が運ぶためルイの姉さんの店に来た。
「ハル君おはよ!ルイ寝ちゃってるからコッソリ持ってって。あの子ついさっきまで作ってたから……」
言ってくれれば手伝ったのに……
ルイの気遣いなのだろう。
「うわー凄い量だな。」
部屋いっぱいにお菓子とケーキが並んでいた。
「奥の保存室にも私が作ったやつがビッシリ入ってるから、足りなくなったら取りに来てね。」
「姉さん……ありがとうございます……」
「いいのいいの、ハル君のおかげで私の店も潤ってるから。」
「え?」
「ハル君、モデルやってるでしょ?ハル君ってこの地域じゃかなり有名よ?取材で私のお店の名前出してくれてからお客さんスゴイんだから。」
確かに、スポンサーから評判が良いからと言われ何度か撮影したりインタビューを受けたりはしていた。
メディアの力ってのはどの世界も凄いんだな。
奥の部屋に行くとルイが寝ていた。
「ルイ……ありがとう、後は任せてね。」
「ハル君、ちょっとこっちおいで。」
姉さんに呼ばれる。
「どうしました?」
「後ろ向いて、髪の毛結び直してあげる。せっかくのモデルさんなんだから、ね?」
「すみません、何から何まで……」
「……よし、出来た。可愛いー!こっち向いて?写真撮ってアップしておくから。」
ポージングもそれなりに慣れてきた。
顔を作るのは恥ずかしいけど……
「じゃ、行ってきます!」
「よし、勝ってこい!」
……
……
「ハルさんおはようござ……」
俺を見てみんなが固まった。
「おはようみんな、どうした?」
「いや……その……」
男達は俯向いたり顔をそむけたりしている。
「なんだよ言ってよ。」
「その……今日目茶苦茶可愛いので……」
「あぁこの髪の毛な、いいだろ。写真撮る?」
すると皆こぞって端末で写真を撮り始めた。
これはもしかしたら使えるかもしれないな……
『ハァハァ』
カシャ カシャ カシャ
「……いつまで撮ってんだ。行くぞ。」
代表者として運営委員会の所へ集まる。
相変わらず立派な建物だ。
「──なので君達は学校の───」
長ったらしい説明を聞く。
思わず欠伸が出る。
「それでは最後に首席兼BTC代表のハルさん、お願いします。」
「えっ?俺?聞いてないよ?」
会場で笑いが起きる。
急に言ってくるなよ……
奥でバルサンがニヤニヤしている。
あいつが仕組んだな。
「えー、ハルです。急に言われたので何にも考えてません……学生らしく明るく笑顔で──」
「それさっき先生が言ってたぞー。」
また会場で笑いが起きる。
「……この学校に転校してきて多くの友人が出来ました。数え切れない程の思い出があります。今日もその友人と思い出をたくさん作ります。皆さんも大切な人と、それから来てくれるお客さんと良い思い出を作って下さい。勿論、ここにいるみんなとも楽しい思い出を作るつもりです。宜しく!」
深くお辞儀をして退却する。
殆どの生徒、先生が拍手してくれた。
なんとかなったかな?
集会が終わり戻ろうとした時だった。
多くの生徒が俺の周りに来た。
「ハルさん、写真撮っても良い?」
「うん良いよ。」
いつもは女子が多いが今日は男も多い。
「写真撮った奴、ちゃんと俺の店に来るんだぞー?」
こんなにいろんな人と接する事が出来るならモデルをやって良かったと思う。
……
……
「諸君、いよいよ本番だ。笑顔を忘れるなよ?それと今日は普通のJCハルちゃんでいたいから怒らせるなよー。」
みんなが笑って返事をする。
いい顔だ。
こんな世界が出来れば……
「ハルさん、門の外スゴい人の量っすよ!こんなん初めてっす。」
「この日の為に各所で宣伝したからな。絶対に勝つ!」
「ハルさんに恥はかかせられないですからね、お前たち抜かるなよ!」
『よっしゃー、文化祭開幕です!』




