サイン会。
休みが終わり学校に向かう。
朝ルイの部屋でご飯を食べたので2人での登校になる。
美味かった……
校舎に入るといつもより視線が多い気がする。
転校してきた時の事を思い出す。
しかしこの視線の数はなんだろう……
教室に入るとざわめきが消える。
「さっきからなんだろうな、この視線は。」
「うーん……なにかな?」
すると普段話したこともない女子が話しかけてきた。
「ハルさん写真撮っても良い?」
「えっ?いいけど……」
そう言われ適当に撮られる。
「きゃーありがとー。」
その後も休み時間になると他の女の子達から写真やらサインやらを求められた。
サインなんか書いたことないのに……
「なんだろうな今日は……」
するとゲスから連絡が入った。
「こちらハル、どうぞー。」
[ハルさん大変っすよ!説明するのも面倒なんで端末に情報送ったんで見てくださいっす!じゃあまた後で──]
言われた通り端末を見る。
女性向けWEB雑誌のような物だろうか。
それはいいのだが問題は表紙だ……
『ハル様!ハル様が表紙ですよ!これは永久保存しなければ……んほ〜堪んねぇ……』
セクシーな、それでいてワイルド。普段なら絶対にしないポージング。
優勝した後、確かにこんな格好して撮った記憶はあるが……
「このブランド凄い有名だよ?ハルちゃんに付いたスポンサーって……」
「ここだな。だから写真とかサインを……」
おまけに大会のあのシーンもキッチリ流れてくる……
「……何回見ても格好良いね、ハルちゃん。」
「そ、そう?照れるな……」
結局放課後まで来訪が続いた。
「早く部室に逃げないと……」
そう思ったのも束の間──
「見つけたわよ!ホラ、こっちに来なさい!」
生徒会長ラウラに見つかりそのまま会長室まで連行された。
「……で、何の用です?」
「今、世界の地区毎でいがみ合ってるのを知ってるかしら?」
そういえばニュースでなんかやってたな……
「この地区のアンドロイドが以前半壊させられた。こんな芸当出来るのはアンドロイドしかいない。と言う事は他の地区からの刺客。こう考えるのが筋よね?」
「はぁ……」
「そして今回、ヤマト地区のアンドロイドが完全に消滅した。これ、どういう意味か分かるかしら?」
「さぁ?」
「地区毎でバチバチしてるって事。戦争目前よ?長い歴史でもこんな事無かったのに……今日渡航制限が出されたの。政府も大分混乱してるみたい。」
「ふーん。」
「……アナタ興味無いでしょ?もっと関心を持って欲しいのだけど。」
「渡航制限は困るな。この前カロル地区って所行ってきたんだけどいい所だったし。他の地区も見てみたいからなー……」
「呑気ね……まぁそれ位がいいのかしら。」
「じゃあもう帰ってもいい?」
「いいわよ、最後に──」
その時端末に緊急連絡が入ってきた。
「誰だ……コレは……アイツらか!?」
「何か困り事かしら。」
「……せっかくだから会長も来ます?」
「よく分からないけど……いいわ、連れてって頂戴。」
「行くよ、ホラ手繋いで。」
「えっ……はい……」
シュンッ!
〜運営委員会会長室〜
「テメェ等揃いも揃ってどういうつもりだ!えっ!」
「……派閥を抜けさせてもらいたい。」
「何だと?まさかヴィンスターの所に……」
「いや、派閥とかどうでもいいんです。そう言った線引きはもうしたくない。」
「どこかで聞いた台詞だな……ただで済むと思ってんのか!?あ!?」
「……」
パチンッ
バルリードルの指打で数名が部屋に入ってきた。
オルシェイン派幹部。
この部屋に派閥最高戦力が整った。
「お前達、生きて帰れると思うなよ?」
「くっ……ハルさん……」
シュンッ!
「おーっとそこまでだ!動くなよ?動くとこの飛礫が喉元をカッ切るからな?」
「なっ、貴様は……」
「ハルさん!!!」
20名余りの男達は目に涙浮かべた。
「何となく現状を理解したぞ。お前達、コイツから足を洗いたいんだな?」
「はい、そしたらこんな感じで……」
「ふーん……おい、なんだっけ名前……バル……ったく長い名前つけんなよ!バルサン。」
「バ、バルサン?ふざけているのか?この方は──」
「バルサンってのはなゴキブリを殺す煙だ。ガスが好きなアンタに丁度いい名前だろ。」
「くっ……ふざけた奴。派閥を抜けるんだぞ?これは我が派閥の問題だ!貴様には関係ないだろ!」
「こいつ等は俺の友達だからな、関係ある。」
「はっ、またそれか。なれる訳ないだろ!貴様と我々ではなそもそも──」
「馬鹿かお前?」
「なっ……」
「友達ってのはなろうと思ってなるもんじゃない。気づいたら友達になってんだよ。そんなんだからこいつ等に愛想尽かされるんだよ。」
「ハルさん……」
「お前たち、その両手の紙袋はなんだ?」
「ハルさんに貰ったお菓子のお礼です!これ食べながらハルさんとゲームしようと思いまして。」
「……だ、そうだ。これで分かったろ?こいつ等はもうお前の道具じゃない。それでももし派閥なんてくだらない枠にいれたいんだったらな……」
「……なんのつもりだ?」
「こいつ等全員俺の派閥に入れる、それで文句ないな?あるなら俺に言え。まとめてブッ潰してやる。」
「くっ……」
「よーし、お前たち部室に来いよ!お茶くらい出すからさ。」
「ハルさん……」
「なんだ、俺の派閥が泣くほど嫌だったか?」
「俺達!一生ハルさんに付いてきます!ハルさん!!」
そう言って男達がなだれ込んできた。
「そういう訳だ、じゃあなバルサン。」
シュンッ!
「うわっ!なんすかこの人数は……」
「友達だ、もてなしてくれ。」
「わー……お湯沸かさないと!」
「ハル、男が好き?」
「いや男に興味ないよ。ただの友達、仲良くしてやってな。」
「ハルが言うなら。」
……
……
「いやー流石にあの人数相手はキツイっすよ!」
「ごめんごめん、みんなありがとう。」
「でも楽しかったよ?みんないい人だったし。」
「むさ苦しい。」
「会長も何か飲む?」
「……信じられない。」
「?」
「だって文明人よ!?なんであんなに……」
「そうやって自分から垣根を作るからお互い寄添えないんじゃないの?」
「寄り添う……」
「ハルさんは人の垣根をぶっ壊してくるんすけどね!」
「なんだそれ、そんな事無い……よな?」
「……」
「……」
「えっ!?そうなの!?」
「……ふふっ、アナタって不思議な人ね。」
「……所で会長、さっき会長室でなんか言いかけたけどあれは?」
「ええ、写真とサインをお願い出来るしら。」
本日最後のサイン会だった。




