ボロボロ。
この狭い空間に長く留める必要はない。
後ろにいる二人に被害がいかないようにするには……
「こいつごとテレポートするぞ!サクラ、座標補助頼む。」
『────こちらで補足します。あまり遠くには出来ないのでこの付近の上空にします、適当にテレポートして下さい。』
「よし!星空でも見ようぜ、メルちゃん!」
シュンッ!
「ハルちゃん……」
「ルイ、ここから離れないと……ルイ、どこにいく?」
「ハルちゃんが!見に行かないと!」
「ダメ、邪魔になる。死ぬ。」
「でも……」
「大丈夫、ハル強い。」
……
……
シュンッ
第4地域を下に見る。
こんな状況じゃなきゃ最高のロケーションなんだけどな……
「で、何が起きたんだ?」
『資料館辺りから誰かに監視されていました。私は引っ込んでいましたが、ハル様の力が強すぎて感知されかねなかったので私のフルパワーでハル様の力を抑えていました。』
「だから手袋を外しても力が暴発しなかったのか。」
『途中で監視者を特定出来ましたが……なかなかすんなりとはいきませんね。』
「頑張ってくれてたんだな、ありがとうサクラ。」
『ハル様……攻撃が来ます……』
「うぉ!もっと早く言ってくれ!」
遠距離から炎の飛礫を飛ばしてくる。
当たらなければ問題ない。
しかし……
「この前より早くなってないか?」
『恐らく初めから全力で来てるのでしょう。ハル様、今日は再生出来ない程叩きのめしましょう。』
「……アイツも俺と同じように人間の魂で動いているんだろ?だったら──」
『彼等はハル様とは違います。使い捨ての電池みたいなもの。過去の強者をストックしていくらでも補充出来るのです。』
「でも……」
『彼等には自我が無いのです。彼等の為にも、開放してあげましょう。』
自我が無い……
言いなりって訳か。
ヒロがこの体を改造した理由がなんとなく分かった。
こんなのただの殺戮兵器だ。
俺は……俺は違う。
この体で、力でみんなを守る。
「よし、分かった!せめて俺の手で供養してやる。行くぞ!」
全力で突進。
当然奴も予測して回避する──
が、それを見越してテレポート。
そのまま奴の背後に回った。
「メルちゃん、力勝負だ。こんにゃろう!」
思い切り羽交い締めにする。
奴の体が軋む、そして砕ける。
「あー痛そう……ごめんよっ!」
そのまま更に上空にほおり投げる。
と同時に雷を落とす。
奴は黒焦げだ。
が、まだ動いている。
「……こんな形じゃなかったら違う人生歩めたのにな……次は平和に暮らせるといいな。」
『ハル様……涙が……』
「くそっ!全力でやるぞ、最後だメルちゃん!……ごめんな……」
遥か上空までテレポート。
もう下の街の光がほとんど見えない。
「うおぉぉ!!」
初めて名前をつけた時に山脈を吹き飛ばしたあの爆発。
力を開放して全てを消し去る。
轟音と共に目の前にいたアンドロイドは完全に無くなった。
『メールクリオルスの消滅を確認。ハル様……』
「……帰ろう。」
……
……
施設に戻ると皆が避難していた。
ねーちゃん先生が俺を探していたようで、俺を見た途端安堵していた。
「ハルちゃん!」
ルイとマクシルが俺のもとに駆け寄ってきた。
「ハルちゃん……?泣いてるの?」
「ハル……心が……」
「……大丈夫!心配かけたな。アイツは俺がぶっ飛ばしたから……俺が……」
俺が倒した。
俺が殺した。
どんなに綺麗事を言っても事実だ。
俺にはとんでもない力が宿っている。
俺はこの世界で一番強い。
俺は……無力だ。
「ハル……ハルがみんなを守った。それでいい。世界がハルを敵に回しても……私はハルの味方。手を出して。」
「マクシル……こうか?」
ボロボロになった手袋を取り外しマクシルが俺の手を優しく撫でてくれた。
「ハル、大丈夫。大丈夫。」
そう言ってマクシルは俺の手のひらにキスをした。
「マ、マクシル?」
「次は口にする。元気出た?」
マクシルは優しく微笑んでくれた。
その優しさが今の俺には効いたみたい。
「……すげー出た、ありがとう。」
『ハル様、ハル様のファーストキスは私が!』
「ダメ、私。」
「えっ?えっ?わ、私も……」
みんなありがとう。
俺は幸せ者だな。
『よーし、この調子でガンガン行きましょう!』
「普通に暮らしたい……」
残るアンドロイド、6体。




