約束。
先程の件以来ルイとの距離が近い。
いつも手を繋いで歩いている距離が今はゼロ距離である。
嬉しいけど。
「もうすぐ集合場所にいかないとだよな。」
「今度は乗る所間違えちゃダメだよ?」
「ははっ、今度はルイがいるし大丈夫。」
繋ぐ手を見て気がついた。
「そういえばお揃いの指輪してたんだっけ。」
ヒロの友人、ジャンクショップ屋の婆さんに貰った古ぼけた……アンティークな指輪だ。
「気がついてなかったの?もー、ハルちゃん鈍いんだから。」
冗談混じりにルイが微笑んだ。
「これ、なんの効果があるんだろうな。」
「なんだろうね……でもこれを付けてると……ううん、なんでもない。行こっか。」
「そうだな。」
……
……
バスの前でねーちゃん先生に怒られつつ無事乗車した。
「いやー、良かった良かった。やっぱホームは落ち着くな。」
「あっちのクラス、ちょっと怖そうだったね。」
「そういえばこれどこに向かってるの?」
「次は資料館だよ、一応勉強だからね。」
あーつまんないやつだな……
「ふふっ、今つまんないって思ったでしょ?」
「えっ?なんで分かったの?」
「なんででしょう?」
いたずらっぽく言うルイにドキッとしてしまう。
「えっと……」
「顔赤いよ?大丈夫?」
あーダメ近い近い……
「その……顔が近くて……ルイ可愛いから。」
「えっ……そ……ハルちゃん……」
『なーに盛り上がってるんですか二人共。』
「いやそんなつもりは……」
『いーなー、私も青春したいなー。』
「……そうだな、いつか出来るといいな。その時はケーキ食べような。」
『約束ですよ?』
あー何だか緊張した……
こんな気持ち久々だな。
……
……
『という訳で資料館に到着です。』
「誰に言ってるんだいつも。」
その巨大な建物はここ第4地域だけでなく、大和地区の歴史を学ぶ事が出来る場所だ。
正直、地方の民俗資料館みたいなのを想像していた。
当たり前だが俺のいた世界とは1万年もの差がついている文明だ。
何もかもが桁違い。
真面目に見ていたら3日はかかるらしい。
ガイドのロボットが大切な所を掻い摘んで案内してくれる。
「これは……歴史のダイジェストか。ふーん1万年前は俺らがよく映画とかで見た古代人って感じだな……ん?なになに……」
8千年前、今の名前の文化が生まれたらしい。その頃から力の存在が大きくなってきたようだ。
6千年前、反重力装置を完成させる……
そんな昔からあるのか……
4千年前、現在の世界がほぼ完成され……早くない?こんなに早いスピードで?
2千年前、平行世界とのコンタクトに成功……ここであの月が現れたのか。
なんだろう、違和感を感じるな。
「なぁサクラ……サクラ?」
『……』
サクラが反応しない。
またなにか問題があるのだろうか。
こうしてみると2千年周期で爆発的に世界が発展されている。
偶然なのか……それとも何か別の理由が……
となると今はまさにその転換期か。
「あ、やべーみんな行っちゃったか。」
周りを見ると俺だけに……いや──
「ルイ、待っててくれたの?」
「うん、当り前だよ?」
おぉ神よ……
「ハルちゃん真剣な顔して見てたから話しかけられなくって……もういいの?」
「あぁ、他のも見てみたいし。楽しいな、ここ。」
「ふふっ、良かった。」
……
……
半日かけてざっくりと見終わった。
文明人最高!みたいな内容が殆どだったので、参考程度にしておこう。
「この後どっかで泊まるんだよね?」
「うん、近くの施設みたい。古代風呂っていうのが有名なんだって。」
古代風呂……
ローマの公衆浴場みたいなもんかな?
相変わらずサクラの返事が無い。
一体何がおきているのやら……
……
……
「おぉすげぇ……」
着いた施設は教科書で見たような石造りの建物。周囲がぐるりと水で囲まれている。
これどっかで見たな……なんだっけ。
っていうか湯船に入れるのかなー、久しぶりだな。
こっちの世界は全自動でそんな無駄な機能がないからな。
「みてみてハルちゃん、古代人の服だって。」
これもどこかで見たことがある。
でかい布を体に巻きつけてあるやつだ。
でもここでいう古代ってのは1万年くらい前の話なんだろうな。
そういえば昔聞いた事がある、1万年くらい前に沈んだ大陸……
そうか!アトランティスだ!
水に囲まれた都……それにそっくりだ。
っていう事はアトランティスの人達が文明人の末裔って事になるのか……?
「ハルちゃん、ご飯まで時間があるから古代風呂に行ってみようよ。」
「お、そうだな。楽しみ楽しみ。」
ん?何か忘れてるな……なんだっけ。
風呂場にて気付く。
女として女湯に入らなければいけない事に。




