様式美。
授業が終わり放課後にみんなでお茶をしている所だった。
古びたドアが思い切り開く。
バタン!!
「聞いたわよ!アナタの仕業ね?」
意気揚々と会長が入ってきた。
と同時にドアが壊れた。
「あー、ドア壊れたっす!このヤローどうしてくれるんすか!?」
「煩いわね、この人と話がしたいから出てってちょうだい。」
会長が顎で指図する。
「なっ……なんすか本当に。いいっすよ外でドア直してるっすから、みんな外出ましょうっす。誰かさんがドア壊したから。」
二人共落ち着いてくれ……
まさに犬猿の仲、火に油。
しぶしぶ三人は外に出る。
これで会長と二人きりだ。
「で、誰が何の仕業?」
「とぼけないで。今朝諜報員から連絡があったわ、この地区のアンドロイドが何者かによって破壊されたと。」
あぁその事か……
なんでこの人はこうガツガツしてるのかな……
「へー、そいつは良かったな。お茶でも飲む?」
「映像も入手したわ、勿論極秘のね。ほら、見て頂戴。」
すると俺の目の前にモニターが現れた。
相変わらずよく分かんない仕組みだ。
「この青白い髪がアンドロイドよ、で反対側、見える?」
見ようにもそこだけボヤケていて見えない。
「見えませんけど?」
「そう、これは超高度な隠密装置によるもの。これじゃ誰か分からない。」
へー、あのターバンそんな効果があったのか。
「じゃあなんで俺の所に来たんだよ。」
「この後、この巨大な雷見えるかしら、こんな事出来るのアナタしかいないわよね。」
「いやこんなの誰にだって……」
「出来る訳ないでしょ!アナタの癖だと思うんだけど雷が龍の形してるのよ。この前見た校舎での雷もそう。ね、アナタでしょ?」
ここまで熱意があると関心するな……
「はいはい、私がやりました。これでいい?」
「やっぱり!」
そう喜ぶ会長は見た事がない顔をしていた。
それはまるでときめく乙女の表情だ。
「で、用はそれだけ?」
「勿論、確認したかっただけよ。」
良かった、面倒事にはならなそうだ。
「あ、そういえば聞きたかった事があるだけどさ、この学校ってなんで同好会しかないの?普通部活じゃないの?」
「あるわよ、部活。」
「えっ?リストに無かったけど……」
「同好会は一般人で形成されている物、部活動は文明人で形成されている物、当たり前でしょ?」
どんな当たり前だよ……
この世界の住人はどこかズレている気がする。
「名前以外の違いって何?」
「主に規模と予算ね。そもそも同好会は予算なんてくれないわ。」
「なんだよそれ、生徒会として見過ごす訳?」
「あのね、私達生徒会は一般人の為にあるのよ?文明人には運営委員会っていうのがあるの。そもそも土俵が違うのよ。」
ドンドン!!
外でドアを直す音が聞こえる。
[あーあ、誰かさんがドアを壊すから大変っすよ!]
ついでに声も聞こえる。
「あの子、覚えてなさい……」
怖ぇー……
「じゃあさ、その運営委員会に案内してよ。」
「えっ?アナタ何するつもり……?」
「首席として挨拶に。」
「また暴れるつもりかしら?」
イヤイヤ、暴れた事無いし……
俺にどんなイメージ持ってんだ?
「嫌なら一人でいってくるよ。」
「……分かったわ、行きましょう。」
そう言うと俺の手を引っ張って外に出た。
凄く尻に敷かれてる感がある。
「あれ、話はもういいんすか?」
「あぁ……そうだ、ゲスも一緒に来いよ。」
「分かんないけど楽しそうっすね、マクシル、ルイさん、ドア宜しくっす!」
「私直せるかなぁ……」
「無理。」
……帰ったら俺が直そう。
……
……
運営委員会、その名の通り部活動を運営する団体なのだが、生徒会が台頭してきた今この2つは非常に拗れた関係である。
パワーバランスは崩れ始め徐々に効力を失いつつあるらしい。
まさに目の上のたんこぶ。
「って事であってるのかな?」
「フフン、その通りよ。」
会長はなぜか誇らしげである。
学校は社会の縮図とよく言われるが、実際このようにパワーバランスが崩れるとどうなってしまうのだろうか。
戦争のない、ある種平和な世の中である。
俺がその火種になる可能性が……
「さぁ、ついたわよ。」
校外にあるその建物はビル5階分はあるだろうか。
俺達の小屋と比べ物にならない。
これが文明人との差か。
「相変わらず豪華な建物っすね。うちらの小屋なんかあばら家っすよ。」
「まぁそう言うなって。よし、入るぞ。」
入口はいたって普通。
手続きを済ませて会長室に向かう。
「これが会長室か。」
そこにはあのブサイク門番4兄弟の一人が待ち構えていた。
「ふむ、貴様は……弟達が世話になったようだな。」
達って事はコイツは……うん、ホクロが2つあるから次男か?
「私は甘くないぞ?さぁ開けれるものなら開けてみろ。」
聞き飽きたセリフ。
最早様式美である。
「アナタにやらせるまでもないわ、私がやる。」
「いや、自分がやるっす!」
「何よアンタ。」
「何すか?」
あーあ、こりゃダメだな。
二人の間に火花が見える。
「いいよ、俺がやる。面倒だから一瞬で済ませる。お前達見てろ。」
手袋を外し全力をかます。
「ギャーーーーーーーーー!!!!??!」
こんなもんかな?
「ドルルルルルルルル」
もう何個多いかも分かんないな。
「測定不能!測定不能!」
「どうだ、早く開けろ。」
「やっぱハルさんスゲーっす!カッコいいっす!」
「そうね……素敵ね。」
「そりゃハルさんっすから。俺のヒーローっすよ。」
「アナタの……」
会長は少し悩んでいる様子で呟いた。
「……私では測りきれない……入れ。」
「よーし、行くぞ。」
『ハル様、不穏な気配がします。気をつけて下さい。』
いざ、御対面。




