ワンコ。
ドアを開けると奥に人影が見えた。
その時だった。
無数の飛礫のような物が俺たちに降り注ぐ。
サクラが言っていた不穏な気配の正体だろう。
予め張っておいた防壁で全て防ぐ。
「手荒い歓迎だなこれ。」
すると奥から拍手が聞こえた。
「素晴らしい。流石首席、といった所か。」
この拍手している人物が運営委員会の会長……
「首席のハルだ。今日は挨拶に来た、宜しくな。」
「この学校の運営委員会、会長のバルリードルだ。この前は私の部下が粗相をした様で、済まなかったね。」
部下……粗相……
「ハルさん、前にハルさんの家でコーヒー飲んだ時の……」
「あぁアイツらか。アンタが親玉?」
「そう、オルシェイン派のリーダーも兼ねている。」
「ふーん、まぁどうでもいいや。っていうかさっき危なかったよね?何か言うことあるんじゃないの?」
「特に無いが?」
マジかコイツ……
「おや、隣にいるのは……狂犬ラウラ、それに……君は確かこちら側では?」
「そういう線引きは辞めたっす。」
「狂犬に負け犬、飼い主は大変だね。」
そう言われたゲスは悔しそうな顔をしている。会長は憤怒の表情だが……
言い返さない辺りコイツの実力は相当なんだろう。
「おう、可愛いワンコだろ?俺の大切な友達だ。」
「ふっ、何をいうかと思えば。くだらない。本気でそう思ってるのかな?」
「口の悪い奴だな。お前友達いないだろ?」
「必要ない。部下なら大勢いるがね。」
「部下ね……まぁいいや、挨拶は済んだから帰るよ。」
そう言って背を向けた時だった。
ゲスと会長がその場に倒れ込んだ。
「おい、どうした?!二人共大丈夫か?」
息はしているが……まるで眠らされているような感じだ。
「ふっ、この部屋にガスを撒いた。ただでは帰さないぞ?」
こいつ最低だな。
テレポートで帰ってもいいんだけど……
「アンタはこのガス平気なの?」
「20分程度なら平気さ。屈強な男でも5分持たないぞ?さて、君はどれ位持つかな?」
〜15分後〜
「……全然平気なんだけど。アンタ大丈夫か?」
バルリードルは大量の汗、そして体の震えが止まらないようだ。
「顔も真っ青だし……もう止めにしたら?」
「きっ、貴様こそ……もっもも、も、う限界らほれは?」
呂律も回ってない。
ホント、プライドの塊だな。
〜更に10分後〜
「…………」
「完全に落ちたな。よし、帰るか。」
……ただで帰るのも勿体ないか。
とりあえずバルリードルの体を面白い格好にしてみる。
「こんな感じかな?」
『ハル様、もっと顔を……そうです、それで舌を……白目……いいですね、では記念撮影しましょう。はい、チーズ。』
カシャ
「うん、良い出来だ。サクラ、この写真こいつの端末に入れといてよ。」
『了解です!嫌な奴でしたね。』
「まぁこんなもんだろ……換気くらいしといてやるか。」
窓を開け帰る事にした。
……
……
シュンッ
「あっ、ハルちゃんお帰りな……二人共どうしたの?大丈夫?」
「あぁ、寝てるだけ。部屋で寝かしておくよ。」
俺の見た目は華奢な体だが人間二人を持ってもなんの重さも感じない。
デタラメな体だな。
「おっ、ドア直ってるじゃん。」
「マクシルちゃんと二人で頑張ったんだよ、ねー。」
「褒めて。」
「よしよし、二人共良くやった。偉いぞ。」
二人の頭を撫でて抱きしめる。
「えへへっ、なんだか飼い主に褒められた犬の気分。」
「ワン。」
「もう犬の話はいいかな……」
「どうしたの?わんわん。」
「ワン。」
可愛いワンコ達だな、ホント。




