パジャマ。
静まる部室。
お互い目を逸らさない。
いや、本当は逸したいんだけどね……
すると会長が口を開いた。
「私は……貴女をずっと待っていました。貴女が私達の希望の光……」
希望の光ね……なんだか重っ苦しいな。
「私達は政府から反乱軍と呼ばれています。この世界に疑問を持ち、政府の蛮行を知っている者達の集まり。」
「……他の地区にもいるの?」
「各地区毎に反乱軍の支部があり、私達もその支部の一員でした。」
「で、俺にどうして欲しいわけ?」
「是非力を貸して下さい、政府を倒し文明人をこの世から消すのが私達の使命。」
「……断る。」
「なっ……どうして?!貴女も知っているはず、彼らがどんな事をしてきたか。」
「俺は昨日人を殺した。アンタ達は文明人だの一般人だの言うが俺からしてみれば同じ人間だ。昨日殺した奴だって家族がいたかもしれない。その家族からしてみれば俺はアンタ達の言う文明人と同じ立場だ。」
「甘いのよ!!そんなんじゃ……駄目なのよ……」
彼女は震えながら叫んだ。
ごもっとも。
彼女は何十人もの仲間が殺されたのだから。
「……俺のいた世界では“勝てば官軍負ければ賊軍“って言葉があるんだ。経過がどうであれ勝てば正義、負ければ悪。いくら人を殺そうが関係ない。」
「そんなの当たり前──」
「誰かの為に戦って、死んだらそれは悪なのか?違う。それは確実に正義だ。」
「勝たなきゃいけないのよ!!殺さなきゃ殺される、だったら皆殺しにするしか無いじゃない!!」
「……まぁそれも一つの答えだろうけど。今この世界は平和だろ?争い事もない。何が不満なんだ。」
「貴女はあの死体の山を見なかったの!?政府は数え切れない程の人間を殺した、この世界も平行世界も。そして次の機会がまもなくやってくる。ここ5年以内に確実にくるそうよ。それまでに──」
5年以内……初耳だ。
でもまぁ……
「アンタ達はもう何もするな、これ以上死人をだしても仕方ない。アイツら変な武器を持ってたろ?あんなのに勝てるのか?」
「状況が分かれば対策のしようもあるわ。それに今日やられたのは非戦闘部隊よ。」
……平行線だな。
「俺は俺のやり方でやる。出来る限りアンタ達の事は助けるけどそれ以上は今の所しない。」
「くっ……また来るわ。」
そう言って会長は足早に部屋を出ていった。
何かあるはずだ。
この世界をひっくり返す事を、俺だけにしか出せない答えが。
バタン
「ハル、着替え持ってきた。」
「なんか会長さん凄い顔してたけど大丈夫かな?」
入れ代わり女子二人がやってきた。
「ありがとう、じゃあ今日もゆっくりしますか。」
5年以内か……
下手したら来年来るのかもしれない。
俺一人で止めきれるかな……
予想通り奴ら武器を持ってたし、超兵器みたいのが来たらこの体もつのかな。
他にも地区毎にアンドロイドがいるみたいだし……
いや、例え俺が壊れてもやらなきゃいけない。本来こんなもん必要ないしな。
「ハル、一人で悩まない。」
マクシルが真剣な顔で俺に話す。
今の考え事も全部分かっちゃったかな。
「大丈夫……とは言い難いな、ははっ。」
「ハル、今日は忘れる。何か楽しい事をする。」
「そうだなー……みんなと一緒にいれればそれでいいや。」
「ハル……」
「はい、お茶どうぞ。ハルちゃん悩み事?」
「ありがとうルイ。いやいいんだ、今日は忘れる事にしたから。」
そう言うとマクシルは照れくさそうに下を向く。
バタン!
勢いよくゲスが入ってきた。
「あの女もういないっすね?アイツとは相性悪いっす。」
「悪かったな、ゲス。ありがとう。」
「そんな、いいんすよ……あ、そうだせっかくの休みなんでセンター来ないっすか?」
センター……?
「えっ!?センター?私なんかが行ってもいいのかな?着替えないと……緊張しちゃう……」
ってなんだ?
「私も行ったことない。」
いや、センターって何よ。
『皆様、ハル様が置いてけぼりです。まずはセンターのご説明から。』
「えっ?ハルさんセンター知らないんすか?どんな生活してるんすか?」
「うるせぇな、知らんもんは知らん。で、センターってなんだサクラ。」
『おっほん、センターとは基本的に文明人しか入る事の出来ないエリアのようなもので、そこでは全てが最先端。ファッション、道具、機械、様々な物が一般人のお店では買うことの出来ない代物ばかりなのです。』
「へー、そんな所入れるの?」
「知り合いのダフ屋に頼んでおいたんす。昨日手配して皆さんの端末に入れたんで、もう入れるっすよ!」
「すごーい、夢見たい……ゲス君と友達になれて良かった……」
「そんな、照れるっすよ。」
どうやらセンターってのは一般人憧れの場所みたいだ。
文明人が集まる場所か……
何か答えが見つかるかもしれないな。
「よし、じゃあ行くか!」
「ハル、パジャマ。」




